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慢性膵炎の治療は、代償期と非代償期で分けて考えられます。

また慢性膵炎は、多くの合併症にも注意する必要があり、早期に治療を始めることが症状を悪化させないために重要なポイントとなります。

そこで今回は、慢性膵炎の治療について

  • 治療方法
  • 治療薬
  • 手術
  • 合併症
  • 食事

などを、わかりやすく説明したいと思います。


慢性膵炎の治療は?

最初に述べました通り、慢性膵炎の治療は代償期非代償期と分けて考えられます。

chronic pancreatitis

慢性膵炎の代償期・非代償期について詳しくはこちらをご覧ください→慢性膵炎の症状や診断基準は?原因はアルコールだけじゃない?

医師
それぞれについて説明します。

代償期の治療

上腹部痛などの臨床症状があり、血中膵酵素が高いのが、この代償期です。

  • 薬物療法
  • 合併症治療
  • 生活指導

が基本となります。

非代償期

非代償期の治療としては、

  • 外分泌不全治療
  • 糖尿病治療
  • 生活指導
  • 外科的治療(手術)

という治療法があります。

医師
では、それぞれについて細かく説明していきます。

慢性膵炎の治療薬は?

使用される薬は、目的によって使い分けられます。

医師
目的と効果を説明します。

代償期の治療薬

代償期に行われる薬物療法は、疼痛対策が主となります。

  • NSAIDs
  • 抗コリン薬
  • 消化酵素薬
  • 蛋白分解酵素阻害剤
  • 鎮痛薬

などが選択されます。

NSAIDs

坐薬や飲み薬を痛みの症状があるときに、頓服で使用します。

抗コリン薬

抗コリン作用によって副交感神経が抑制する作用があるため、外分泌(迷走神経を介する)を抑制するために用いられます。

消化酵素薬

消化酵素の働きを補い、消化吸収を助ける作用のある消化酵素薬ですが、外分泌(コレシストキニン(CCK)を介する)を抑制するために用いられます。

蛋白分解酵素阻害剤

酵素の働きを止める作用があり、膵炎の進展を抑制するのに効果的とされています。

鎮痛薬

Oddi括約筋を弛緩させ、膵管圧を低下させる働きをします。

非代償期の治療薬

外分泌不全治療糖尿病治療で薬物療法が選択されます。

まず、外分泌不全治療薬として

  • 消化酵素薬
  • 酸分泌抑制薬
  • 脂溶性ビタミン剤

が使用されます。

また、糖尿病治療としてインスリン治療が行われることがあります。

糖尿病治療について詳しくはこちら→糖尿病の薬と副作用!種類や注意を知ると安心

消化酵素薬

脂肪便と体重減少の改善として、消化酵素薬を大量投与します。

酸分泌抑制薬

胃酸の分泌を抑え、胃酸による酵素の失活を抑制する効果があります。

PPIやH2RAなどが選択されます。

脂溶性ビタミン剤

こちらは、サプリメントとしても販売されているもので、食事療法や消化酵素薬の投与後に、補充として用いられます。

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慢性膵炎の手術は?

  • 急性再燃を繰り返し症状が改善しない場合
  • 重篤な合併症を伴う場合

外科的治療(手術)が検討されます。

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医師
以下が主な手術法となります。

膵管減圧術

画像診断により、膵液の流出障害による主膵管拡張が認められた場合に適応となる手術です。

膵切除術

膵管狭窄の程度や部位によっては、膵頭十二指腸や膵体尾部切除術を行なう事があります。

この手術を行う事で、疼痛が軽減され、膵機能の進行を防ぐなどの効果があります。

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慢性膵炎の合併症は?

など、膵内・膵外合併症があります。

特に多いのが膵石で、この合併症が現れた場合、それぞれの治療が必要となります。

慢性膵炎は食生活の見直しが重要!

特に慢性膵炎の原因として多いアルコールですが、断酒や禁酒をはじめとした、原因改善が非常に重要となります。

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医師
では、その他の食生活の見直しポイントを説明していきます。

糖質中心の低脂肪食を心掛ける

  • 白身魚(タラ・カレイなど)・ささ身・豆腐・卵など
  • 脂分の多い肉(牛・豚ロース・ステーキ・鳥の皮)インスタント食品などは避ける
  • 難消化性食品(きのこ類・海草類・繊維質の多い野菜など)は避ける

などに注意しましょう。

脂肪摂取制限は、禁酒・断酒と合わせ、基本となります!

脂肪摂取量は、

  • 代償期の場合→30〜35g/日
  • 非代償期の場合→40〜60g/日

としましょう。

薄味を心がけ塩分摂取にも注意

料理の味付けに注意するのはもちろんですが、意外な盲点として

  • 漬物
  • ハムやソーセージなどの加工品

なども塩分が多く含まれます。

そのため、極力避けることをオススメします。

カフェインなどの飲み物にも注意

  • コーヒー
  • 紅茶
  • 濃い目の緑茶
  • 炭酸飲料

は刺激となります。

過剰摂取は負担ともなりますので、日頃の飲み物も見直しましょう。

香辛料にも注意

  • カレー粉
  • 辛子
  • わさび

などの刺激が強いものも同様で、特に多く好んで使用していた方は、極力避ける必要があります。

参考サイト:慢性膵炎ガイドブック
参考サイト:慢性膵炎の診断と治療
参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P211〜216
参考文献:内科診断学 第2版 P902・903
参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P238〜241
参考文献:新 病態生理できった内科学 8 消化器疾患 P277〜279

最後に

慢性膵炎は、難治性の疾患なため、治療期間はいつまでと定めることができず、長く付き合っていく必要があります。

そこで非常に重要なのが、食事を含め、食生活の改善です。

これまで暴飲暴食を習慣とされてきた方には辛い事かもしれませんが、これをチャンスと考え、病気を進行させない為にもご自分の体を労わる事を習慣とされて下さいね。




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