皆さんはネマリンミオパチーという病気をご存知でしょうか。
あまり聞き慣れない病名なのでご存知ではない方も多いと思います。
今回はネマリンミオパチーの症状と遺伝子、治療法をまとめていきます。
ミオパチーとは
ミオパチーとは筋肉自体に何らかの問題が発生して筋肉が萎縮してしまうことで筋力低下を招く疾患のことです。中でも、生まれつきのミオパチーを、先天性ミオパチーと言います。
その先天性ミオパチーの中でも最も発症頻度が高いものがネマリンミオパチーなのです。
ネマリンとは、筋肉の線維に見られる桿状(ロッド状)あるいは糸状の構造物を意味します。ネマリンミオパチーの人の筋組織では、糸状の構造物(ネマリン小体)を認めることから名付けられています。
次はそのネマリンミオパチーの症状を発症型に分けて説明していきます。
ネマリンミオパチーの症状。発症型別に!
①重症新生児型の場合の症状
生まれてすぐから先天性ミオパチーの症状である筋緊張低下が強く出て、floppy infantと呼ばれます。呼吸不全となるため、とても危険とされています。「人工呼吸」や「人工栄養」が施されることがありますが、それも困難で早期に死亡します。
②通常の場合の症状
通常の場合の症状は重症新生児型のように死に至る可能性も低く、進行もゆっくりになっています。
乳児期や小児期に運動機能の発達遅滞として症状が現れます。その後の経過は進行するタイプとしないタイプがあります。顔面の筋肉や呼吸筋などの全身の筋力低下がよく見られますが、その他、
- 細長い顔
- 高口蓋
- 顎の突出
と言った特徴的な外見を示し、漏斗胸、後側弯症、凹足、内反足などを認めます。
③成人型の症状は?
重症新生児型や通常の場合の症状よりは発症頻度が少ないのですが、まれに起きる場合があります。 成人になってから突然発症するケースと非常に軽症である通常の場合の症状が成人になって悪化するケースがあります。
近位筋の筋力が低下することが多いと言われます。
このようにネマリンミオパチーと言っても発症型によって違う部分があります。 そしてネマリンミオパチーの原因として遺伝子異常がありますが、その遺伝子異常の原因について次は見ていきましょう。
ネマリンミオパチーの遺伝子異常の原因とは?
ネマリンミオパチーには5個の遺伝子が関連しています。これらがいずれも細いフィラメントthin filament関連蛋白(たんぱく)コードをしているという事実からこれらの構造物の組み立て、相互作用の異常が重要な発症機構となっていると予想されています。
また、重症新生児型、幼児型の場合、ネブリン遺伝子(NEB)の変異が原因とされています。
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ネマリンミオパチーの検査は?
検査では、
- 血清のCKは正常〜やや上昇。
- 筋電図ではミオパチー性変化。
- 筋生検ではネマリン小体の集積。
を示します。
筋電図と筋生検が重要です。
ネマリンミオパチーの治療法は?
2015年現在、先天性ミオパチーの症状を和らげる薬はありますが、治す薬や方法は見つかっていません。そしてネマリンミオパチーの治療法は「入院療法」です。抵抗力の弱くなった患者さんを感染症から保護します。
清潔を保った病室で食事の管理などを行いながら経過観察をして進行を遅らせる治療になります。ただし症状が進行が進んでおり呼吸困難などになってくると人工呼吸器などを使用することもあります。
先天性ミオパチーの他の病気とは
- ネマリンミオパチー
- セントラルコア病、ミニコア病
- ミオチュブラーミオパチー、中心核病
- 先天性筋線維タイプ不均等症、全タイプ1線維ミオパチー
- その他、分類不能な先天性ミオパチー
などが主な先天性ミオパチーの他の病気です。
ネマリンミオパチーの症状、遺伝子異常の原因、治療法のまとめ
- ネマリンミオパチーの症状は筋力低下が見られ、悪化すると自力呼吸や歩行も困難になる。
- 重症新生児型は生まれ落ちてからすぐに発症する。
- 通常の症状の場合は死に至る可能性は低く進行性も比較的遅い。
- 成人型は成人になって発症するケースと比較的軽症だった症状が悪化することがある。
- 遺伝子異常の原因は構造物の組立て、相互作用の異常が原因とされている。
- 治療法は今は症状を和らげる薬などはあるが治す薬や方法は確立されていない。
- 先天性ミオパチーの他には5種類の病気がある。
いかがでしたでしょうか。あまり聞き慣れない病気ですが先天性ミオパチーにはタイプがあり、死に至るケースもあれば死には至らないケースも。そしていきなり発症してしまうケースもあります。
他にもやけに体が柔らかかったり、お子さんの場合2歳ほどになっても歩こうとしないなど不思議な点があったら病院を受診しましょう。