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尿には、体のさまざまな成分が現れますが、その排泄物である尿に血液が混入すると(血尿)、何が原因なのかと焦りますよね。

また、血尿となると、癌の可能性もあるのでしょうか?

今回は血尿について

  • 原因
  • 癌発見の確率
  • 危険因子
  • 再検査

など、気になる情報を、血尿診断ガイドラインを元に図でわかりやすく解説します。


血尿の原因とは?

cause of blood urine

血尿の原因としては、

  • 腎臓の病気(糸球体疾患、間質性腎炎)
  • 尿路結石
  • 感染症(尿路感染症)
  • 腫瘍(尿路性器腫瘍)
  • 外傷(尿路外傷)
  • 血管の病気(腎血管性病変)
  • 憩室症(腎杯、膀胱)
  • 血液凝固異常
  • その他

が挙げられます。

医師
それぞれ原因となる疾患を挙げてみます。

糸球体疾患糸球体腎炎

  • IgA腎症
  • Alport症候群
  • 菲薄基底膜病

間質性腎炎

  • 薬物過敏症など

尿路感染症

  • 腎盂腎炎
  • 膀胱炎
  • 前立腺炎
  • 尿道炎
  • 尿路結核

尿路性器腫瘍

  • 腎細胞癌
  • 腎盂腫瘍
  • 尿管腫瘍
  • 膀胱腫瘍
  • 前立腺癌
  • 子宮癌
  • 卵巣癌

尿路外傷

  • 腎外傷
  • 膀胱外傷

腎血管性病変

  • 腎動静脈血栓
  • 腎梗塞
  • 腎動静脈瘻
  • 腎動脈瘤
  • ナットクラッカー現象

憩室症

  • 腎杯憩室
  • 膀胱憩室

血液凝固異常

  • 凝固線溶異常(DIC、血友病)
  • 抗凝固療法

その他

  • 壊死性血管炎
  • 紫斑病
  • 多発性嚢胞腎
  • 海綿腎
  • 腎乳頭壊死
  • 前立腺肥大症
  • 放射性膀胱炎
  • 間質性膀胱炎

など様々な原因が考えられますが1)、女性特有・男性特有の疾患が原因で、周囲の臓器や組織からの腫瘍性浸潤によって血尿が見られることもあります。

血尿には肉眼的血尿と顕微鏡的血尿がある!

urine blood test3

また、血尿には2種類があり、

  • 肉眼的血尿=尿の色調を見れば赤色〜ピンク色の尿だとわかる
  • 顕微鏡的血尿=見た目ではわからず、尿潜血反応や尿沈渣検査といった検査で初めてわかる

と分類されます。

当然目で見える肉眼的血尿の方が、見ても分かるほどの血液量が含まれているため重症であり、癌が原因の確率も高くなります

また血尿には、たまに血液が混じる間欠性の血尿と、朝でも昼でも夜でもいつでも尿に血が混じる持続性の血尿に分けられ、こちらも原因を追求する上で、重要な因子です。

血尿の定義や検査方法についてはこちらにまとめました。
血尿とは?定義・検査について徹底解説!異常なしのこともある?

医師
とくに目で見て血液が混じる場合は、よく観察して医師に伝えるようにしましょう。

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血尿から癌が見つかる確率は?

医師
肉眼的血尿と顕微鏡的血尿に分けて説明します。

肉眼的血尿から癌が見つかる確率

尿に目で見て分かるような血液が混ざっている肉眼的血尿がみられた場合、

  • 男性の10%
  • 女性の3%

腎尿路系の癌(膀胱癌・尿管癌・腎盂癌・腎癌)が隠れていると言われます。

また、50歳以上の場合、肉眼的血尿の原因として最も多いのが膀胱癌であり、逆に膀胱がん患者の8割以上がこの血尿を認めるのです2)

顕微鏡的血尿から癌が見つかる確率

医師
ちなみに、目で見て分からないものの、尿試験紙法などで発見される顕微鏡的血尿の場合についてはこちらです。
  • 腎尿路疾患が隠れている確率が2.3%
  • が隠れている確率は0.5%

と肉眼的血尿と比較するとかなり低い割合であることが分かります2)

血尿がある場合、癌の確率が上がる危険因子は?

危険な背景因子として、

  • ベンゼンなどの化学物質の暴露歴がある
  • 40歳以上の男性
  • 大量に喫煙をする

といったことが挙げられます3)

また血尿と合わせて体重減少がある場合は、癌が隠れている確率が上がり、注意が必要です。

肉眼的血尿がみられたらどんな検査をするの?

肉眼的血尿がみられたらその原因を突き止めて、治療しなくてはなりません。

医師
原因を突き止めるにはさらなる以下のような検査が必要です。
  • 腹部エコー(超音波検査)
  • 腹部CT検査
  • 膀胱などの細胞診

など、さらなる尿検査を含め、原因追求をおこないます。

症例 40歳代男性 血尿、右腰背部痛

CT findings Ureteral stones

腹部単純CT検査において、右の尿管膀胱移行部に尿管結石を認めました。

参考文献:
1)最新 尿検査 その知識と病態の考え方 第2版P33・68〜71
今日の臨床検査 2011ー2012 P34
最新 検査のすべてP21
よくわかる検査数値の基本としくみP54・56
新版 検査と数値を知る辞典P182
参考サイト:
2)3)血尿診断ガイドライン

最後に

血尿の原因についてまとめました。

血尿=癌というわけではなく、最初に説明しましたように、血尿には様々な原因があり、問題のない一時的なものの場合もあります。

しかし、命に関わる癌のような疾患が隠れていることもあるため、くれぐれもそのうち治ると思って放っておいたということのないように、血尿が出たら泌尿器科・腎臓内科といった専門科を受診するようにしましょう。




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