神経膠腫(しんけいこうしゅ)というと、別名グリオーマとも呼びますが、その中で膠芽腫(こうがしゅ)に次いで多いとされる、びまん性星細胞腫という腫瘍があります。今回はこのびまん性星細胞腫について
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療法
- 予後
をご説明したいと思います。
びまん性星細胞腫とは?
WHOグレードⅡに値する悪性腫瘍です。
神経膠腫(グリオーマ)のうち、星状膠細胞(アストロサイト)又はその前駆細胞から発生する腫瘍にはびまん性星細胞腫、退形成星細胞腫、膠芽腫などがあり、びまん性星細胞腫は膠芽腫に次いで2番目に多いと言われ、神経膠腫の28%を占めます。
最も高分化で異型度が低いものがびまん性星細胞腫です。グレードⅡからⅢ、ⅡやⅢからⅣといった悪性化が見られます。
好発
- 30~40代に好発
- 前頭葉・側頭葉・頭頂葉など・・・大脳半球を中心に脳のどの部位にも発生する
びまん性星細胞腫の症状は?
- 痙攣発作(てんかん)
- 片麻痺
- 失語
- 頭痛
- 嘔吐
再発を繰り返しながら悪性化していく特徴です。脳局所症状により痙攣発作や片麻痺や失語が、頭蓋内圧亢進により頭痛や嘔吐症状が現れます。
局所症状は腫瘍が周辺脳組織を圧迫しないし損傷することで生じ、頭蓋内圧亢進症状は腫瘍と周囲浮腫によって脳圧が上昇することで生じます。
脳表近くで緩徐に発育していくために、局所症状が先行する場合が多く、中でもてんかん発作で発症することが多くあります。
[adsense]
びまん性星細胞腫の原因は?
発生には複数のがん遺伝子やがん抑制遺伝子の異常が関わっていると考えられているものの、詳しい原因は不明です。
びまん性星細胞腫の診断は?
CTやMRI検査を行い診断します。
CT検査
境界がやや不鮮明で低吸収です。また、造影CT検査を行ってもほとんど増強されません。
MRI検査
T1強調画像では低信号、T2強調像では高信号の腫瘍が見られます。石灰化は15~20%と少なく、腫瘍内出血は稀です。
びまん性星細胞腫の治療法は?
手術+放射線療法が基本となります。
手術
可能な限り、全摘出を目指します。
放射線療法
放射線感受性は高くないものの、術後も腫瘍が残存する可能性が高いため、分割照射を行います。
びまん性星細胞腫の予後は?
再発や悪性転化に備えて化学療法を追加することもあります。
5年生存率は68.3%で、一定期間(平均4~5年)を経て再発や悪性化をきたすことも多くあります。
最後に
- WHOグレードⅡに値する悪性腫瘍
- 神経膠腫(グリオーマ)のうち、星状膠細胞(アストロサイト)又はその前駆細胞から発生する
- 脳局所症状や頭蓋内圧亢進症状が現れる
- 再発を繰り返しながら悪性化していく特徴
- 詳しい原因は不明
- CTやMRIなどの画像診断を行う
- 手術+放射線療法が基本
- 5年生存率は68.3%で、一定期間(平均4~5年)を経て再発や悪性化することもある
治療はできるだけ大きく腫瘍を取り除く必要があります。また、予後は定期的な検診をしっかり続けていくことをおすすめします。