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乳がんの病名は広く知られており、早期発見の為に定期的に検診を受ける事は大変重要とされています。

そんな乳がんに関して、『遺伝子検査』が出来る事を知っている方も増えてきているのではないでしょうか?
乳がん患者の中には、遺伝的な要素がある方もいるのは分かっています。

乳がん遺伝子検査を受ける事で自分が遺伝性乳がんかどうか調べる事が可能となるのですが、実際どの様な検査になるのでしょうか?

今回は、そんな『乳がんの遺伝子検査』について

  • 検査内容
  • 乳がんと遺伝の関係
  • 検査費用

など、気になる内容についてご説明したいと思います。


乳がん遺伝子検査とは?

DNA (2)

遺伝性乳がん、卵巣がん症候群(HBOC)のがんの発病に関わりのあるBRCA1遺伝子BRCA2遺伝子に病的変異(遺伝子を構成している塩基配列の変化)があるかどうかを調べる遺伝子検査があります。

その検査のことを、BRCA1/2遺伝子検査と呼びます。

この検査は通常の乳がんの発症リスクを調べるものではありません。
医療機関の遺伝カウンセリングにより家族や血縁者の病歴などを調べた後に、遺伝性乳がんや卵巣がん症候群(HBOC)を疑われる人、又はその血縁者のみが対象となる検査です。

BRCA1/2遺伝子は、乳がんや卵巣がんが多く見られる家系について調べた研究により、乳がんや卵巣がんの発病と関連している2タイプの遺伝子が発見され、それぞれ、

  • BRCA1遺伝子(BRCA1)
  • BRCA2遺伝子(BRCA2)

と呼ばれています。

これらの遺伝子のどちらか一方に、生まれつき病的変異がある場合、乳がんや卵巣がんを発病するリスクが高くなることが分かっており、「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群」と診断されます。

病的変異のある遺伝子は、親から子へ50%の確率で遺伝されますので、家族又は、血縁者の中に乳がんや卵巣がんを発病した人が複数見られることがあるのです。

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乳がんは遺伝するの?

日本には現在約6万人の乳がん患者さんがいます。

このうち家族歴の見られる乳がんは15-20%と言われています。

(参照:遺伝性乳がん・卵巣がんの基礎と臨床

また乳がんになりやすくなる遺伝子の異常として先ほど説明したBRCA1遺伝子/BRCA2遺伝子の異常があります。
(これ以外にも乳がんになりやすい遺伝子異常はあります)

この遺伝性の乳がんは、乳がん全体の5-10%です。

しかし、遺伝子の異常がある=乳がんになる、というわけではありません。

BRCA1遺伝子/BRCA2遺伝子とは?

ではこのBRCA1遺伝子/BRCA2遺伝子とは一体どういった遺伝子なのでしょうか?

実はこの遺伝子は、細胞ががんにならないように働いています。

ですので、これらの遺伝子に異常が起こることによって、がんになりやすくなるということです。

そして、BRCA1遺伝子/BRCA2遺伝子の異常を持つ場合、乳がんに生涯発症するリスクは65~74%と言われています。

(参照:2012年版 患者さんのための乳がん診療ガイドライン)

乳がん遺伝子検査の費用は?

遺伝の心配がある方は、検査を受けて調べてみたいと思われるかもしれません。
そこで気になるのが費用ではないでしょうか。

Money 3

 

まず、遺伝性乳がんについて詳しく知りたい方は、「遺伝カウンセリング」が勧められていますが、こちらの費用は、5,000円ほどとなります。

遺伝子検査の方は健康保険が適用されませんので、およそ20万円から40万円の負担となる様です。

予防的乳房切除術をされると、遺伝子検査と同様に健康保険の適用外となりますので、手術費用はかなり高額となります。
片方の乳房の切除で20万円から50万円、両側の乳房の切除で50万円から100万円が必要となります。

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遺伝子検査で陽性だったらどうすればいい?

定期検査をこまめに受ける

定期的になるだけ頻繁に検診を受けることが大切です。
そうする事で、超早期発見し初期段階で摘出してしまう事が可能になります。

遺伝性乳がんの場合、10代・20代でも発症リスクが高まります。

マンモグラフィだけではなく、できればMRIや超音波と組み合わせたより詳しい検診をされるのも大切です。

 

乳房の予防的全摘出術+乳房再建

乳がん発症リスクを抑えるために、現時点で問題の無い健康な乳房を手術で切除してしまうことは、難しい問題とされていました。

しかし遺伝性乳がんが一般の方にも知られるようになってきた現在では、手術の準備を進める医療機関が増えて来ている様です。

Cancer (2)

2年ほど前、ハリウッドを代表する人気女優アンジェリーナ・ジョリーさんが、将来の乳がんの発症リスクを減らす目的で予防的全摘出術により両乳房を切除したことは記憶に新しいですね。

アンジェリーナさんは、母・祖母・叔母を乳がんと卵巣がんで亡くすという辛く悲しい経験をしていることから、発病していない健康な乳房を切除するという決断を下した様です。

彼女がこの体験を公表したことで、乳がんの遺伝子検査がさらに広まったのも確かでしょうから、この決断は称されるものかもしれません。

乳房を切除することは女性として大変辛い事ですし、乳房を失った後の悲しみや喪失感は大きいものです。

しかし乳房切除の技術は大変進歩してきており、乳房の中にある乳腺だけを取り除き、乳頭や乳輪、乳房の皮膚はそのまま残す技術も確かになっています。

胸のふくらみは失われますが、乳房再建手術を行うことで女性らしいふくらみを取りり戻すことが可能とされます。

最後に

  • 発症リスクを調べるものではなく、遺伝子を構成している塩基配列の変化があるかどうかを調べるのが遺伝子検査
  • 生まれつき病的変異がある場合、乳がんや卵巣がんを発病するリスクが高くなる
  • 乳がんを発症した人の5%〜10%は、遺伝的に乳がんを発症しやすい体質を持っている
  • 遺伝カウンセリングは、5,000円ほど
  • 遺伝子検査の方は健康保険が適用されないため、およそ20万円から40万円の負担
  • 予防的乳房切除術は、片方の乳房の切除で20万円から50万円、両側の乳房の切除で50万円から100万円
  • 定期的にこまめな検診を受けるのが大事
  • 予防的乳房切除術+再建術という選択肢をとるのもアリ

 

女性にとって大事な胸ですが、将来乳がんになる可能性が分かっていたら、遺伝子検査は早期発見・早期治療の大事なポイントとなります。

しかし、そう簡単に考えられるものではなく、分かってしまえば精神的負担も大変大きなものとなります。

何が正解で何が間違いという答えは人それぞれですが、将来の自分が笑顔で過ごしていられるように、遺伝子検査がその大きなきっかけになることもあるでしょう。




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