胆石症になると激痛を伴い、プロレスラーでもその痛みには耐えられないと訴えるほど。
うちの母も数年前に、胆石症になり、急性胆嚢炎と診断され、胆嚢摘出手術を行いました。
最初の予定では、内視鏡手術の為、日帰り手術も可能だけど、念の為3泊4日の入院をすることに・・・。
ですが、母の場合、「4日で退院なんてとんでもない!」というほど術後の経過が順調ではなく1週間たっても起き上がれないほどだったのです。
今回は胆嚢摘出後に注意が必要な、胆嚢摘出後症候群(英語表記で「Cholecystectomy after syndrome」)について
- 症状
- 原因
- 治療
を分かりやすくご説明したいと思います。
胆嚢摘出後症候群とは?
胆嚢摘出したら、もう治った!問題はない!と思われると思いますが・・・
中には胆嚢摘出後に起こる胆嚢摘出後症候群というものがあります。
胆石や胆嚢炎などになり、胆嚢を摘出手術した後に起こる、まるで胆嚢が残っていて胆石症のような症状が出現するものです。
胆嚢摘出後症候群の症状は?
- 上腹部の痛み
- 発熱
- 黄疸
- 吐き気
- 下痢
まるで胆石の発作のような痛みやモヤモヤとした不快感や吐き気、黄疸や発熱、下痢などの症状が出る場合があり、これを胆嚢摘出後症候群と呼びます。
胆嚢摘出後症候群の原因は?
どうしてそんなことになるんですか?
原因についてご説明します。
- 胆管狭窄
- 遺残結石
- 胆嚢管遺残症
- Oddi括約筋の狭窄または異常運動
- 胆汁酸による下痢または胃炎
胆管狭窄
上腹部痛や黄疸の原因として考えられ、胆管が狭くなってしまうことで起こります。
遺残結石
手術で全ての胆石を取りきれず、胆石が残ってしまったことが原因です。
それにより、胆石症の症状が続いたり、また月日が経って出てくるものがあります。
胆嚢管遺残症
胆嚢管全部を切除できずに遺残することがあります。
中には胆石が残っていたり、腫瘍があったりすると胆汁の流動運動が悪くなり、胆道内圧が上昇し症状が出現します。
Oddi括約筋の狭窄または異常運動
十二指腸乳頭の周りにある括約筋が狭くなったり、異常な運動を起こすことで起こるものです。
胆汁酸による下痢または胃炎
胆汁酸は体の中のコレステロール代謝から産みだされるのもであり、肝臓は胆汁として胆汁酸やコレステロールを体の外に排出します。
しかし、この胆汁酸が消化に必要な量分泌されないため、糖分や脂質を消化しきれず下痢や慢性的な胃炎になってしまうものがあります。
胆嚢摘出後症候群の治療法とは?
まず、胆嚢摘出後症候群にならない予防法というのはありません。
術後すぐ出る場合や、術後時間が経過して、数年後に出る場合もあります。
中には、他の臓器に疾患がある可能性もあるため、手術をした病院を受診する必要があります。
- 細菌感染に対し抗生剤を服用
- 狭くなったものを広げる処置(手術)
- 残った胆石を取り除く
- 胆汁の流れを良くする薬の服用
- 胆管の機能を改善する薬の服用
また、薬によって残った胆石を溶かす胆石溶解療法として、ウルソ錠などが処方されることもあります。
適切な治療を受けることで症状を軽減することが出来ますので、胆嚢を取ったんだから色々不具合は出るもんなんだろうと甘く考えず、きちんと受診しましょう。
参考文献)ハリソン内科学 第2版 (原著第16版) P623
参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P360〜365
参考文献:内科診断学 第2版 P552
胆嚢摘出したら終わりと思ってたんですが、このような症状が出る場合もあると分かり、大変参考になりました。
最後に
- 胆嚢を摘出した後に起こる胆嚢摘出後症候群は予防できない
- 上腹部の痛み、発熱、黄疸、吐き気、下痢などの症状がある
- 遺残結石、胆嚢管遺残症、Oddi括約筋の狭窄または異常運動、胆汁酸による下痢または胃炎などが原因
- 手術をした病院を早目に受診
- 症状に応じた治療で症状を軽減できる
実は、うちの母がまさにこの症状が現れました。
同じ胆嚢摘出した他の患者さんは4日で退院していく中、母だけ1週間経っても起き上がることも出来ず・・・
発熱・黄疸・上腹部痛などの症状が現れ、肝機能障害を起こし、入院は長引き、1年後に急性胃炎となり再び入院しました。
また、術後に過敏性腸症候群を併発することもあり、術後は普段から食生活にも気を付ける必要があります。
糖分・脂質・刺激物の摂り過ぎ注意しましょう。