ノロウイルスに感染してしまうと、ツライ嘔吐や下痢の症状が出てきます。
人から人へと感染(二次感染)するため、感染者の嘔吐物を処理する際には十分に注意する必要があります。
嘔吐物はただ触らないように拭き取って、アルコール除菌しておけばいいんじゃないの?
そこで今回は、必ず覚えていただきたい、ノロウイルスの嘔吐物の処理方法について
- 処理する際に、準備しておきたいもの
- 処理方法
- 間違い方法
- 感染経路
などを、徹底的にまとめました。
ノロウイルスの嘔吐物の処理に準備するものは?
処理する際の服装
- マスクとゴーグル・・・ウイルスを吸い込んでしまわないよう、マスクはとくに重要
- エプロン・・・処理後、脱ぎ、洗濯を
- ゴム手袋・・・使い捨てのビニール手袋を2重にして、手指からの二次感染を防ぐ
- ヘアゴム・帽子・・・髪が嘔吐物に触れないように束ね、帽子などをかぶる
- 靴カバー・・・床に付着した嘔吐物に、直接触れないようにする
準備する物
- キッチンハイター・・・次亜塩素酸ナトリウム・台所用塩素系漂白剤(5~6%の次亜塩素酸)の主成分
- 2Lペットボトル容器
- ビニール袋(大) 2枚以上
- ビニール袋(小)
- ペーパータオル
- 新聞紙など
*全て使い捨てのものを準備し、使用後は処理して下さい。
ノロウイルスの嘔吐物の処理方法は?
- 換気
- 処理前の準備(着替え・装着)
- ハイターを水で薄め、溶液を作る
- 嘔吐物の除去
- 溶液で床を掃除
- ビニールにゴミをまとめる
- 床を水拭き
- 着用していた物を脱ぎ、処理
- 手洗い
STEP1:換気
窓を開けて、空気中に浮遊するウイルスと塩素による刺激臭を、外に出すようにします。
※嘔吐物の処理には、高濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイター)を使用しますので、お子さんや取扱いには十分注意をしてください。
STEP2:処理前の準備
手袋は、2重に装着し、エプロンなどをしっかり着用して処理前の服装にも気をつけてくださいね。
STEP3:溶液を作る
0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液を作りましょう。。
2Lのペットボトル容器に50mLの次亜塩素酸ナトリウムを入れ、水を半分入れます。
次にそれをよく混ぜあわせて、残りの水を加えます。
ペットボトルにウイルスが付着しないよう、ビニール袋をかぶせてください。
STEP4:嘔吐物の処理
ぺータオルで嘔吐物を広く覆い、その上に0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液を静かに注ぎ10分以上放置しましょう。
嘔吐物をペーパータオルごと外側からかき集めように回収して、準備しておいたビニール袋(大)に入れてください。
STEP5:床掃除
0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液を染み込ませたペーパータオルで、床全体を拭きます。
ペーパータオルに0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液を注ぎ、その上で足踏みする要領でスリッパなどの裏側についた嘔吐物を取り除き、ビニール袋(大)へいれます。
STEP6:ビニール袋に入れる
1枚目の手袋を裏返しながらはずし、ビニール袋(大)へ入れます。
ビニール袋(大)に0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液をひたひたになるまで一様にぬれる程度にふりかけ、ビニール袋の中に空気がのこらないように固く縛ってください。
もう片方の手袋を裏返しながらはずして、もう一つのビニール袋(大)へ入れます。
STEP7:着替え
嘔吐物の入ったビニール袋を片方の手袋を入れたビニール袋に入れ、帽子・マスク・エプロン・もう片方の手袋などをはずして入れます。
この時、汚れている面に触れないように十分に注意してください。
最後に空気を抜いて固く縛り、ゴミ袋に穴がありたりしないように、何枚かゴミ袋を重ね、一般可燃ゴミとして出しましょう。
嘔吐物が服などに付着した場合は、100倍に薄めた塩素系漂白剤に5~10分ほど浸してください。
しかし漂白剤なので色落ちの可能性もありますので、色落ちが心配なものには、85℃以上の熱湯に2分以上浸すようにしましょう。
消毒した後は、普通通り洗濯しますが、その際は、他の洗濯物とは別に洗うようにしてください。
STEP8:手洗い
嘔吐物処理をした後は、丁寧に2回程手洗いを行い、うがい、洗顔もしてください。
この方法は間違い!ノロウイルスにアルコール消毒は効かない?
ノロウイルスは、アルコール対して抵抗力があるため、アルコール消毒の効果はありません。
ノロウイルスにアルコール消毒が効かないのは、細胞やウイルスに存在しているエンベロープと関係しています。
このエンベロープとは、細胞やウイルスを保護する膜のことでインフルエンザウイルスやRSウイルスなど約80%のウイルスがこの膜を持っており、これは脂質で出来ているためアルコールに触れることで溶かし簡単に破壊することができます。
しかし、ノロウイルスは、このエンベロープという膜を持たないためにアルコールによる消毒が効かないのです。
ちなみに、ノロウイルス同様にエンベロープが無いウイルスとしては、ロタウイルスやアデノウイルスなどもあります。
ノロウイルスの感染経路は?
- ノロウイルスに感染した人が、手指を十分に洗わずに調理に携わることで、食品が汚染されてしまい、その食品を摂取した場合
- ノロウイルスを含む糞便や吐しゃ物を処理した後、手指についてしまったウイルスや不十分な処理で残ったウイルスが口から入った場合
- ノロウイルスに汚染された牡蠣や貝類を生あるいは十分に加熱しないで摂取した場合
ノロウイルスは、人から人へ感染していきます。
- 汚染された食品や便・吐しゃ物に接触した手指を介して感染する「接触感染」
- 吐しゃ物などからの飛沫を吸入して感染する「飛沫感染」
- 吐しゃ物や下痢便の処理が適切に行なわれなかったために、残存したウイルスを含む小粒子が乾燥して、塵やホコリとなり空気中に舞い上がり吸入して感染する「空気感染」
ノロウイルスについて、詳しくはこちらをご覧ください。
ノロウイルスに感染しないために!家庭でできる予防法は?
多くの場合、手を介して感染が拡大します。
そのため、手洗いを徹底することです。
しっかり石鹸をつけ
- 指先や爪の間
- 指の間
- 親指の周り
- 手首
- 手のシワ
などを注意して洗う必要がありますが、爪の長い人はとくに注意が必要です。
この手洗いの際にも、アルコールを使用するのではなく、しっかり石鹸を使いましょう。
- 洗面所の蛇口
- 電気のスイッチ
- ドアノブ
- トイレのレバー
- 手すり
- 子供が触れたおもちゃ等
- 椅子
- 机
感染者が嘔吐した後に使用した洗面所の蛇口・電気のスイッチ、下痢をした後に使用したトイレのドアノブ・電気スイッチ・流すレバーなどを、薄めたハイター液を染み込ませた布で拭くと除菌になります。
参考文献:
INFECTION CONTROL 11 2016P39
ノロウイルス現場対策 その感染症と食中毒P135〜140
最後に
ノロウイルスの嘔吐物処理方法について、ポイントをまとめます。
- 嘔吐物の処理方法は、
- 換気
- 処理前の準備(着替え・装着)
- ハイターを水で薄め、溶液を作る
- 嘔吐物の除去
- 溶液で床を掃除
- ビニールにゴミをまとめる
- 床を水拭き
- 着用していた物を脱ぎ、処理
- 手洗い
- アルコール除菌はノロウイルスには効果がない
- ノロウイルスは、接触・飛沫・空気感染する
- 予防には、手洗いが重要
ノロウイルスの予防に最も効果があるのは、手洗い、食品の十分な加熱、次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒となります。
また、二次感染を防ぐためにも、嘔吐物を処理する場合は、手袋・マスク・エプロンを着用することはもちろん、処理の手順をしっかり把握して周りを汚染させないように十分に注意してください。