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4ヶ月の赤ちゃんから2歳の幼児にもっとも多く発生する腸重積(読み方は「ちょうじゅうせき」)。

治療が遅れると重症化し、腸管壊死につながりショックを起こすこともあります。

しかし赤ちゃんだと症状をうまく訴えることができず、初めて子育てをする親にとっては気付きにくくもあります。

早期に気づけたら早期治療早期回復につながりますので、今回はもしもの時のために知っておきたい腸重積(英語で「intussusception」)について

  • 症状
  • 診断
  • 治療法

についてイラストや実際のCTやエコーの画像を見ながら、分かりやすくご説明したいと思います。


腸重積とは?

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腸重積とは、口側の腸管の一部が肛門側の腸管に入り込んでしまうことで発生する疾患です。

血管が巻き込まれて血流が途絶えると、開腹手術が必要な絞扼性イレウスになることもあります。

腸重積は、4ヶ月〜2歳の小児に最も多く起こります。

しかし、小児だけのものではなく、成人にも起こることがあります。

詳しい原因については分かっていませんが、小児の場合は回盲部(小腸と大腸の境界)でよく起こり、成人の場合は大腸癌やリンパ腫などの腫瘍やポリープなどができた場所で起こりやすくなっています。

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腸重積の症状は?

医師
以下のような症状があらわれます。
  • 腹痛
  • 腹部膨満感
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 便秘(浣腸すると血便)

 

特に腹痛では、急激で持続的な激しい痛みが特徴です。

赤ちゃんの場合ですと、

  • 泣き止まない
  • 顔色が悪い
  • 吐き戻し
  • 苦しがる
  • 便が出ない(浣腸すると血便)

といった症状で異変に気付きます。

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腸重積の診断は?

症状から腸重積を疑い、腹部単純X線・注腸造影CT検査・エコー(超音波検査)・MRIを行い診断します。

特に小児の場合は、はっきり症状を訴えることができないので、小児腸重積症の診療ガイドラインにて小児腸重積の診断基準(試案)というものがあります。

小児腸重積の診断基準(試案)

A項目
  • 腹痛ないし不機嫌
  • 血便(浣腸を含む)
  • 腹部腫瘤ないし膨満感
B項目
  • 嘔吐
  • 顔面蒼白
  • ぐったりして不活発
  • ショック状態
  • 腹部単純X線にて腸管ガス分布の異常
C項目
  • 注腸造影検査・超音波検査・CT・MRIで特徴的所見

 

A項目にて2つ、A項目1つB項目1つ、ないしC項目3つ以上で腸重積を疑います。

さらに、A項目・B項目の疑いに加え、C項目にて確認ができると、確定診断となります。

(小児腸重積症の診療ガイドラインより)

医師
C項目にある検査では、腸内に腸が入り込んでいる様子が確認できます

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CT検査やエコー検査では、上のように、脂肪である腸間膜が、あたかも腸管の中にあるように見えるような所見を認めるのが特徴です。

医師
注腸造影では、カニの爪型欠損像も特徴的です。
症例 40歳代 女性

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単純CTの横断像で、口側の横行結腸が、肛門側に入り込んでいる様子がよくわかります。

また矢状断像で見てみると、腸管の中に脂肪があるように見えます。

腸重積を疑う所見です。

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冠状断像でも腸重積の様子がよくわかります。

重積の先(肛門側)には脂肪成分が主体の腫瘤を認めており、これが原因で腸重積が起こったことがわかります。

この症例を動画解説でチェックする。

医師
また、これらの検査により軽症・中等症・重症に分類されます。(小児腸重積症の診療ガイドラインより)

小児腸重積の重症度評価基準(試案)

重症
  • ショック症状
  • 腹膜炎症状
  • 腹部単純X線写真で浮遊ガスを認める
中等症
  • 発症より48時間以上経過
  • 生後3ヶ月以下
  • 先進部が脾湾曲より肛門側
  • 回腸回腸結腸型
  • 白血球数増多(>20.000/ul).CRP高値(>10mg/dl)
  • 腹部単純X線で小腸閉塞
  • 超音波検査で以下のいずれかの所見

(血流低下・腸管重積部の液体貯留・病的先進部の存在)

軽症 重症・中等症の基準を満たさないもの

 

重症度では全身状態が不良または、腸管壊死が疑われ上記のような基準を認めるものをいいます。

中等症では全身状態は良好なものの、腸管虚血の可能性を示す上記の条件を確認できます。

(小児腸重積症の診療ガイドラインより)

腸管壊死とは?

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循環血流量が減少することで、腸管の血流が阻害された状態。
さらに進行すると、血流が途絶えて腸管の一部が機能を失う腸管壊死へと陥ります。

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腸重積の治療法は?

保存的療法もしくは手術療法(外科的手術)を選択します。

医師
それぞれについてご説明します。

保存的療法

整復が第一選択となり、診断と治療を兼ねた方法です。

空気や造影剤を肛門から入れることにより問題の場所にて、入り込んでしまった部分を膨らませ戻すことができます。

絶飲食を基本とするため、水分補給と電解質補正のため、輸液療法もおこないます。

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手術療法

保存的療法で改善しない場合や発症から時間が経ちすぎている場合(24時間)には、手術が検討されます。

手術は、開腹手術によって入り込んだ腸を取り出し、壊死がある場合などには壊死部分を切除し、問題のない腸同士をつなぎ合わせます。

最後に

  • 腸管の一部が肛門側の腸管に入り込んでしまうことで発生
  • 腹痛・腹部膨満感・悪心・嘔吐・便秘(浣腸すると血便)などの症状があらわれる
  • 赤ちゃんのは、不機嫌で泣き止まない顔面蒼白症状がある場合は、医療機関を受診すべし
  • 症状から腸重積を疑い、腹部単純X線・注腸造影CT検査・エコー(超音波検査)・MRIを行い診断
  • 保存的療法もしくは手術療法を選択

 

早期発見・早期治療が重要で、診断が遅れることよって重症度が異なります。

また、治療後もなかなか便が出ず赤ちゃんが苦しむと「再発?!」ということが脳裏をよぎると思います。

そのような時は、綿棒浣腸をしてみて様子を見るのも良いと思いますが、顔色や全身症状が不良な場合は一度受診することをオススメします。




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