停留精巣の手術方法は?入院・術後の過ごし方と費用の目安、時期との関係

停留精巣というと、精巣が本来あるべき陰嚢内にない(降りてきていない)状態をいいます。

生まれてから市町村の検診で、陰嚢にコリコリとした精巣がないことで気づくことも多く、治療法としては手術が主流です。

ですが手術となると、小さな子供の場合、親としては様々なことが気になり心配になってきますよね?

今回は停留精巣の手術について

  • 手術方法
  • 術後
  • 費用
  • 時期(年齢)
  • リスク

など、気になるあれこれを調べましたので、参考にされてください。手術の時期については、別記事で詳しく説明しています。

停留精巣の手術って、いつするの?

欧米のガイドラインでは、生後6〜12か月ごろの手術が勧められています。時期の詳しい説明は別の記事にまとめています。

先に結論

  • 手術は精巣固定術(精巣を陰嚢内に移して固定する手術)です。
  • 精巣が触れる場合は鼠径部の小さな切開で行うのが標準的です。触れない場合は腹腔鏡を使うことが多く、2回に分けて手術することもあります。
  • 入院期間は施設や方法で異なり、目安は1〜4日程度です。
  • 手術の時期は生後6〜12か月ごろが欧米のガイドラインの目安です(Pakkasjärvi 2024)。詳しくは停留精巣の手術時期について詳しく説明した記事をご覧ください。
  • 費用は自治体の助成で自己負担が少ない、または無料になることが多いですが、あくまで目安で、自治体・年齢・施設で異なります。

 

停留精巣の手術方法は?

手術は精巣固定術という方法で行われます。

ただ、精巣が触れる場合(手で陰嚢を触って分かる)と触れない場合で異なります。

医師
それぞれに分けてご説明します。

精巣が触れる場合の手術方法

  1. 鼠径部を2〜3cm切開します。
  2. 周囲の血管や精管を丁寧にはがす。
  3. 精巣が陰嚢まで伸びる状態にする。
  4. 陰嚢を1cm程度切開する。
  5. 精巣を陰嚢内に収める。
  6. 糸で固定する。

手術時間は1時間前後が目安です(施設や方法で異なります)。

標準的なのは鼠径部(足の付け根)を切開する方法ですが、精巣の位置によっては、陰嚢の切開1か所で行う方法が選ばれることもあります(Pakkasjärvi 2024)。

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精巣が触れない場合の手術方法

腹腔鏡検査を行い、精巣の位置を確認します。

(へそのあたりに小さな穴をあけてカメラを入れます)

欧州泌尿器科学会や北欧のコンセンサスでは、触れない精巣には腹腔鏡が勧められています。米国泌尿器科学会のガイドラインでは、腹腔鏡か切開手術のどちらでもよいとされています(Pakkasjärvi 2024)。

その後、手術が可能ならば上記と同じように精巣を陰嚢へ固定します。精巣につながる血管が短いときは、精巣の血流を守るため、2回に分けて手術することがあります(Pakkasjärvi 2024)。

触れない精巣でも、超音波やCTなどの画像検査は、通常は必須ではありません。画像検査は、結果で手術の方法が変わる場合などに限って使われ、専門医への紹介を遅らせないよう勧められています(Kolon 2014、Pakkasjärvi 2024)。

中には萎縮精巣といって精巣としての機能が期待できない場合もあります。そのような場合は、状況に応じて手術で精巣を摘出することがあります。

停留精巣の手術のしかたの表

小児外科で行われる同じ鼠径部の病気、鼠径ヘルニアについては、鼠径ヘルニアとは?症状や治療、手術についてでくわしく解説しています。

停留精巣の手術後は?

入院期間は1〜4日程度が目安です(施設や年齢、手術方法で異なります)。

(手術日前日に入院することが多く、2泊3日が多い、とされます)

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手術後に吐き気や痛みが出ることもありますが、多くはしばらくすると落ち着きます。痛みが強い、発熱があるなどのときは、病院に連絡してください。

退院後、歩行や抱っこも可能ですが、陰嚢を圧迫しないよう注意が必要で、激しい運動は1〜2週間ほど控えるよう指示されることが多いです。

入浴は、手術後1週間程度で医師の許可がおりれば可能になることが多いです。具体的な時期は、施設の指示に従ってください。

手術のあとは、精巣が再び上がっていないか、大きさが保たれているかを確認するために、定期的な診察が必要です。精巣が再び上がる、精巣が小さくなる(萎縮)といったことが起こりうるためです(Pakkasjärvi 2024)。成長してからも、長期のフォローが大切とされています。

公園で手をつないで歩く親子のイラスト

停留精巣の手術費用は?

乳幼児であれば、乳幼児医療証などの自治体の助成制度により、手術費用の自己負担が少ない、または無料になることが多いです。ただし、これは目安で、施設や制度によって異なります。

(市町村によっても助成の対象となる年齢が異なり、負担がある場合も負担額が異なるため、お住いの市町村役場にて確認ください。)

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ただし、入院中は食事代など、助成の対象にならない自己負担が生じることがあります。金額は施設や制度で異なりますので、病院の窓口で確認してください。

(付き添い入院となる病院が多く、親のベッドや食事が用意されないこともあります。

その場合、子供と同じベッドに添い寝、食事は自分で用意する必要があります。)

停留精巣の手術時期は?いつまでにやるのが良い?

手術の時期については、停留精巣の手術時期について詳しく説明した記事で詳しく説明していますので、ここでは要点だけお伝えします。

欧米のガイドラインでは、生後すぐは自然に降りてくることもあるため少し様子を見て、生後6〜12か月ごろに手術することが勧められています(Pakkasjärvi 2024)。生後6か月ごろまでに降りてこない場合は、専門医への紹介が勧められています(Kolon 2014)。

3ヶ月検診、1歳検診、1歳半検診など、市町村の検診で見つかることも多いです。その後に発見された場合でも、手術を悩むよりは早めに専門医へ相談することをおすすめします。

手術が早いほうが、精巣の発育や将来の妊孕性(子どもをつくる力)によいとする報告が増えています(Pakkasjärvi 2024)。一方で、精巣を陰嚢に戻しても、将来の不妊や精巣がんのリスクを減らす可能性はあるものの、なくなるわけではないとされています(Kolon 2014)。

将来の妊孕性とも関わる男性の検査については、男性のブライダルチェックとは?検査内容・費用の目安・受けられる場所でくわしく解説しています。

停留精巣の手術にリスクはない?

手術というと、小さな子供に全身麻酔を使うことにリスクを感じる方が多いでしょう。

小児の全身麻酔のリスク

全身麻酔により、まれにアレルギー症状やショック症状など、重い合併症を起こすことがあります。

そのため、全身麻酔を使用することを了承した上で手術を行うという同意書が必要になります。

 

しかし、手術をしなかった場合の将来不妊になることのリスクの方が大きいため、手術をしないという選択肢よりは全身麻酔のリスクの方がずっと少ないのも事実です。

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麻酔を行う前に、子供の全身状態を繊細に知るため、十分な診察や検査を行った上でやる必要がありますね。

停留精巣の手術は、小児外科や泌尿器科で比較的よく行われる手術であるという説明を受けると思います。

医師の十分な説明を受けた上で、不安要素を少しでも減らして行うのが良いでしょう。

その際、停留精巣は癌化する可能性が正常に比べて高いというリスクの説明もあるでしょう。

(この癌化のリスクにつきましても、関連記事に説明がありますので、参照ください。)

最後に

  • 手術は精巣固定術というものが行われ、精巣を陰嚢内に戻し、固定する
  • 萎縮精巣といって精巣としての機能が期待できない場合は、精巣を摘出する
  • 精巣が触れない場合は腹腔鏡を使い、2回に分けて手術することもある。画像検査は通常は必須ではない
  • 入院は1〜4日程度が目安(施設で異なる)
  • 費用は自治体の助成で少ない、または無料になることが多いが、目安であり自治体・施設で異なる
  • 手術時期は生後6〜12か月ごろが欧米のガイドラインの目安(詳しくは別記事)
  • 術後は精巣が再び上がっていないかなど、定期的な診察が必要
  • 全身麻酔のリスクより、手術を行わなかった場合に不妊となるリスクの方が高い

 

まだ何をやるのか理解出来ない小さい子供にとっては、手術や入院は不安なものです。ご家族でよく相談し、時期や方法を主治医に確認してください。

よくある質問

Q. 精巣が触れない場合、手術の前にCTやMRIが必要ですか?

通常は必須ではありません。画像検査は、結果で手術の方法が変わる場合などに限って使われ、専門医への紹介を遅らせないことが大切とされています(Kolon 2014、Pakkasjärvi 2024)。

Q. 手術のあとに通院は必要ですか?

必要です。精巣が再び上がっていないか、大きさが保たれているかを確認します。成長してからも長期のフォローが大切とされています(Pakkasjärvi 2024)。

Q. ホルモン療法で下ろすことはできますか?

米国泌尿器科学会のガイドラインでは、ホルモン療法は勧められていません(Kolon 2014)。治療の中心は手術です。

お子さんの精巣が陰嚢にないなど、気になる点があれば、小児科や泌尿器科にご相談ください。

Pakkasjärvi N, Taskinen S. Surgical treatment of cryptorchidism: current insights and future directions. Front Endocrinol 2024 PubMed
Kolon TF, et al. Evaluation and treatment of cryptorchidism: AUA guideline. J Urol 2014 PubMed