バレット食道は癌化する?年間リスク・症状・検査・治療を画像で説明

上部消化管内視鏡(胃カメラ)を受けると、「バレット食道」と診断されることがあります。

イギリスの外科医にちなんで付けられたこのバレット食道ですが、主に逆流性食道炎が原因となり起こります。

問題なのは、このバレット食道が癌化することがあるということです。

今回は、このバレット(Barrett)食道について、どんなものなのかを含め

  • 症状
  • 検査
  • 治療

などをわかりやすく説明していきたいと思います。

先に結論

  • バレット食道は、食道下部の粘膜が胃に似た円柱上皮に置き換わった状態で、主な原因は逆流性食道炎です。
  • 癌化することがありますが、デンマークの研究では食道腺癌になる年間リスクは0.12%でした(Hvid-Jensen 2011)。
  • 症状がない人も多く、胃カメラ(内視鏡)で見つかります。
  • 治療は症状に応じた胃酸を抑える薬が中心で、バレット食道自体はなくなりません。定期的な内視鏡検査が大切です。
  • 胸やけ・飲み込みにくさ・体重減少などがあれば、医療機関を受診してください。

バレット食道とは?定義は?

食道下部は本来、扁平上皮という粘膜で、そして胃は円柱上皮という粘膜で覆われています。

バレット食道とは、食道下部の扁平上皮の一部が円柱上皮に置き換わったもので、主に逆流性食道炎が原因となります。

わかりやすくいうと・・・

食道と胃の境目を超えて、胃の粘膜が食道へと広がった状態でもあります。

barrett

バレット食道は癌化することがある?

食道粘膜は胃酸に弱いため、逆流で炎症を繰り返すと、酸に強い円柱上皮に置き換わることがあります。これがバレット食道です。その粘膜の一部に異形成(細胞の異常)が生じ、そこから癌化することがあると考えられています。

デンマークの全国調査(11,028人)では、バレット食道の人が食道腺癌になる年間リスクは0.12%で、一般の人と比べると約11倍でした(Hvid-Jensen 2011)。つまり、癌になる人は多くありませんが、一般よりリスクが高いため、定期的な内視鏡検査が検討されます。

バレット食道から発生する癌のことを、「バレット食道癌」と呼び、腺癌が多いのです。

ちなみに食道は扁平上皮ですので、通常の食道癌は扁平上皮癌です。

腺癌と通常の食道癌(扁平上皮癌)を画像だけで区別することは難しいのですが、食道下部〜食道胃接合部付近の腫瘍を見たときには、このバレット食道癌(腺癌)も考える必要があります。

 

バレット食道と粘膜、癌の種類の表

食道がんの検査やステージ別の治療については、食道がんとは?検査(内視鏡・CT・PET)とステージ別の治療法を解説でくわしく解説しています。

バレット食道の症状は?

胃酸の逆流による

  • 胸焼け
  • 胸痛
  • 吐き気
  • 嚥下障害

このような逆流性食道炎の症状をともなうこともありますが、無症状のことも多いといわれています。

どうしてこのようなことが起こるのか、気になりますよね。

原因は?

など胃酸の逆流によって、食道粘膜が敏感になり、炎症を繰り返すことで細胞が変化するといわれています。

逆流性食道炎を長きに渡って放置し、症状があらわれた時だけ対処薬を使用するだけで、根本的な治療を行なっていなかったことが原因とも考えられています。

しかし、どうしてそのことで細胞が変化するのかなど、詳しい原因については解明されていません。

胃酸が逆流する原因や検査については、逆流性食道炎の原因|ストレスは関係する?何科を受診し、どんな検査をする?でくわしく解説しています。

バレット食道の検査は?画像は?

内視鏡によって、食道から胃までを観察します。

イラストで内視鏡所見をあらわすと、このような感じになります。

barrett

本来の扁平上皮に赤みのある円柱上皮が見られるとバレット食道を疑い、その部分の細胞を採取しさらなる病理検査をおこないます。

症例 60歳代男性

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上のように上部消化管内視鏡(胃カメラ)において、食道下部のところで、バレット粘膜が上に上がってきている様子がわかります。これがバレット上皮です。

この症例では、隆起性病変をバレット粘膜に認めており、生検で腺癌と診断されました。(バレット食道癌)

胃カメラ検査を受ける男性のイラスト

バレット食道の治療は?

バレット食道そのものに特別な治療が必要とは限りませんが、経過観察は必要です。

症状を有する場合は、基本的には内服治療で症状軽減を待ちますが、胃酸の逆流が関与するとされるため、胃酸分泌抑制薬が使用されます。

これにより症状は軽減しますが、薬で症状がおさまってもバレット食道そのものが消えるわけではなく、癌化のリスクは残るため、定期的な検査は必要となります。

しかし、バレット食道により食道が狭くなってしまい、嚥下障害をともなう場合には、拡張器による処置を行うこともあります。

また逆流防止手術として、食道の周囲で胃の底部を包み込む方法もあります。

通常、胃の入り口(下部食道括約筋)は閉じていますが、その圧力が弱くなると胃酸や胃内容物が逆流しやすくなります。

この方法は、運動検査で下部食道括約筋圧が持続的に不十分な状態で、食道体部の嬬動性収縮(収縮運動によって食道体部が収縮している状態)を示す患者には下部食道括約筋圧を高める効果があり、一般的な逆流防止処置に加えて有用です。

また、癌が見つかった場合は、癌の治療法に基づいて治療されます。

逆流を減らす食事の工夫として、野菜や飲み物の選び方については、逆流性食道炎の食事は?オススメ野菜とNG野菜、飲み物と食べ方のコツでくわしく解説しています。

よくある疑問

Q. バレット食道と診断されたら、全員が癌になりますか?
A. いいえ。癌になる人は多くありませんが、一般の人よりリスクが高いため、定期的な内視鏡検査を担当医と相談して続けることが大切です。検査の間隔は、粘膜の範囲や異形成の有無などで医師が判断します。

Q. 何科を受診すればよいですか?
A. 消化器内科(内視鏡検査を行う科)です。

Q. 生活で気をつけることは?
A. 脂っこい食事や過度の飲酒、喫煙を控え、食後すぐに横にならない、肥満を避けるなど、逆流を減らす工夫が勧められます。

参考文献:Hvid-Jensen F, et al. Incidence of adenocarcinoma among patients with Barrett’s esophagus. N Engl J Med 2011;365:1375-83. PubMed

最後に

  • 食道下部の粘膜が胃と同じ、円柱上皮に置き換わってしまった状態をバレット食道という
  • 食道腺癌のリスクが一般より高い(年間の発癌リスクは0.12%と報告)
  • 胃酸の逆流による逆流性食道炎症状を伴うこともあるが、無症状なこともある
  • 逆流性食道炎や慢性化した食道炎、食道裂孔ヘルニアが原因と考えられるが、詳しいことは不明
  • 内視鏡によってバレット食道所見を確認
  • 症状があれば胃酸分泌抑制薬が使われるが、バレット食道自体は消えず、定期的な内視鏡検査が必要

 

逆流性食道炎は長期の薬の服用と管理が必要になることもあり、再発しやすい病気です。症状があるときは、早めに医療機関で相談しましょう。

まずは、食事や生活習慣を見直すことも重要です。

胃酸の逆流を少しでも防止するため、脂っこい食事や過度のアルコール摂取、喫煙には注意し、ほどよい運動を心がけましょう。