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神経膠腫(グリオーマ)は、悪性度によって4段階のグレードに分類されますが、今回はその中でも悪性度が最も高いグレードⅣに当たる膠芽腫(読み方は「こうがしゅ」英語ではglioblastoma(読み方はグリオブラストーマ、略してグリブラト呼ばれることもあり))について

  • 症状
  • 原因
  • 画像診断
  • 治療法

を実際の画像を見ながら詳しくご説明します。


膠芽腫とは?

脳腫瘍で最も悪性度が高いグレードⅣの悪性脳腫瘍です。アストロサイト(またはその前駆細胞)から発生し、急速に進行する特徴があります。

神経膠腫の悪性度による分類はこのようになっています。

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上記のように、神経膠腫はびまん性星細胞や退形成星細胞腫、膠芽腫、毛様細胞性星細胞腫とに分類され、重症度合いも異りますし、好発年齢も異なります。

グレードⅡのびまん星細胞腫についてはこちらをご覧ください。→びまん性星細胞腫の症状と原因、治療法のまとめ

 

膠芽腫には、初発時から膠芽腫の所見を確認出来るもの(一次性膠芽腫)と、星細胞腫などから悪性に転化して生じたもの(二次性膠芽腫)の2種類があります。その中でも、一次性膠芽腫の方が頻度が高く、90%を占めます。

好発

新傾膠腫の中では37%を占め、45~70歳代に好発します。成人の場合は大脳半球に発生することが多く、小児にも見られますが、前頭葉と側頭葉の白質に発生することもよくあります。

膠芽腫の症状は?

急速に症状が進行する特徴があります。

発症時、進行時と分けて症状をご説明します。

発症時

  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 痙攣発作
  • 片麻痺
  • 言語障害

1番多く感じることの多い症状が、頭痛です。それ以外に、頭蓋内圧亢進による症状が麻痺などの脳局所症状よりも多く報告されています。

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数週間から数ヶ月という短期間に症状は進行します。

進行時

  • 人格変化
  • 失語

頭蓋内圧亢進症状が進行し、悪化します。脳梁を介して対側の大脳半球まで浸潤することも多くあります。

 

膠芽腫の診断は?

CTやMRIなどの画像診断に加え、PET検査により腫瘍が悪性かどうか診断します。より詳しく診断するためには、CTよりもMRIが効果的です。

画像所見についてご説明いたします。

大脳半球において、MRIT1強調像で境界不明瞭な等~低信号が描出されますが、実際には広範囲に浸潤している場合が多くあります。また、脳室周辺への浸潤により、髄液を介した播腫が見られることもあります。

T2強調像にて不規則で広域な高~混合信号を確認できます。造影MRIT1強調像では、リング状増強効果を示す腫瘍が見られます。

  • 壊死
  • 嚢胞変性
  • 腫瘍周囲の浮腫

なども脳の内部、広範囲に確認できます。

症例1:50代女性

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右の頭頂葉に不整な腫瘍性病変を認めています。T1強調像で内部に高信号を認めており、出血を伴っていることがわかります。また造影剤を用いた造影MRIでは不整なリング状の造影効果を認めています。画像からは膠芽腫を疑う所見であり、手術の結果、膠芽腫と診断されました。

症例2:70代女性

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左の頭頂葉に周囲に浮腫性変化を認める腫瘍性病変を認めています。不整なリング状の造影効果を示しており、拡散強調像(DWI)では不均一な高信号を認めています。ADCにて信号低下を認めており、悪性腫瘍、中でも膠芽腫を強く疑う所見です。手術の結果、こちらも膠芽腫と診断されました。

不規則な厚みなため、「花輪状」とも呼ばれます。

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膠芽腫の治療法は?

以下のような治療が行われます。

  • 外科的療法
  • 放射線療法
  • 化学療法

外科的療法

外科的療法で可能な限り、腫瘍を摘出することを目指します。また、手術後には放射線療法や化学療法を併用します。

放射線療法

放射線療法は、手術を行っても残存する可能性が高いため、拡大局所照射を行い、その後局所照射を加えるという方法で行われます。

化学療法

化学療法では、テモゾロミドアルキル化薬を用います。

しかし、治療を行っても平均生存期間は12~14ヶ月程度と言われており、大変重篤な疾患ということがお分かり頂けるかと思います。

最後に

  • 脳腫瘍で最も悪性度が高いグレードⅣの悪性脳腫瘍
  • 急速に症状が進行する特徴で、頭痛から始まり、頭蓋内圧亢進症状が悪化する
  • 画像診断が行われる
  • 手術で可能な限り腫瘍を摘出を目指す

 

中には、手術を行い、腫瘍が取りきれたと思っても、数ヶ月後に再発することもあります。それだけ術後の治療も重要ということです。なかなか根治が難しいとされる病気なため、手術を繰り返すこともあります。




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