下痢や嘔吐といった症状に悩まされる感染性胃腸炎の原因として、ロタウイルス・ノロウイルス・アデノウイルス・細菌などが多くあります。

その中でも、ノロウイルスの初期症状は風邪と勘違いするケースも多く、この誤った判断が、二次感染を広める原因となることも多くあるのです。

つまり、初期症状の時点で、早めの対策を行うことが感染拡大予防として重要となります。

そこで今回は、ノロウイルス(Norovirus)に感染するとどのような初期症状が起こるのか?

また、大人と子供では症状に違いがあるのか?

今回は、ノロウイルスの初期症状についてまとめました。


ノロウィルスの初期症状とは?

医師
ズバリ、ノロウイルスに感染した場合の初期症状はこちらです。
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 発熱
  • 腹痛

腹痛で異変を感じ、その後こみ上げるような痛みや不快感、吐き気を引き起こします。

潜伏期間(感染から発症まで)は24~48時間で1)、発熱は比較的軽度(38度を超えることはほとんどない)2)なことが多いものの、頭痛や寒気を伴うこともあり、初期症状で風邪と間違える人が多くるのです。

症状は、通常1~2日ほど続いた後、改善します。

しかし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引いてしまうこともあり、嘔吐や下痢が酷い場合は脱水症状に気をつける必要があります。

また、感染しても全員が発症するわけではなく、発症しても軽い風邪のような症状の場合もあります。

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そもそもノロウィルスとは?

ノロウイルスとは、人の小腸粘膜で増殖するウイルスのこです。

医師
ノロウイルスには、以下のような特徴があります。
ノロウイルスの特徴
  • 少ないウイルス量で発症
  • 人から人に便や吐物を介して感染
  • 食品中では増殖せず、人の腸のみで増殖
  • 死滅には85度で1分以上の加熱が必要
  • アルコールや高温に対する抵抗性が強い
  • 一度かかっても何度も感染することがある

 

例年、日本では秋から冬(11月から3月)流行しますが、熱帯地域では年間通して流行があるため、旅行者がウイルスを持ち帰って感染拡大する例もあります。

少量のウイルスでも発症し感染力が強いウイルスですので、高齢者施設や学校など集団生活の場では感染がひろがりやすく集団感染や食中毒を引き起こすこともあります。

何が原因で感染するのですか?

  • 汚染された牡蠣などの二枚貝

などの経口摂取で感染し、食中毒の原因として第一位を占めるノロウイルスは非常に感染力が強く、ノロウイルス感染者の便や嘔吐物などからの経口感染により起こります。

しかし、症状が回復した後も、1〜3週間はウイルスが患者の体内から排出されるため、その間にも感染拡大に注意が必要です。3)

 

ノロウィルスの症状、大人と子供では違うの?

ノロウイルスの症状は、大人と子供では違うのでしょうか?

とくに、高齢者施設などでの集団感染や、乳幼児には注意が必要です。

医師
大人の場合と子供の場合にわけ、詳しくは以下で説明します。

大人の場合

子供に比べて体力があるため回復が早く、症状は1~3日で治まる傾向にあります。

しかし、高齢者の施設内感染は問題視されており、基礎疾患の悪化嘔吐物の誤嚥などにより死亡例の報告もあります。

 

ノロウイルスからの仕事復帰のポイントはこちら

子供の場合

子供の場合は年齢により症状の重さに違いがあり、とくに乳幼児期では急性重症胃腸炎としてロタウイルスが約50%を占めるほどです。

その乳幼児期(2歳以下)では、下痢が強く出る傾向で、大人のように短期間とは限らず、

  • 脱水
  • 代謝性アシドーシス
  • 低血糖
  • けいれん

などの合併症が現れることもあります。4)

参考文献:
最新醫學 11号増刊号 70巻 感染性胃腸炎P74〜75
病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症P226

 

1)厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A
2)最新醫學 11号増刊号 70巻 感染性胃腸炎P75
3)最新醫學 11号増刊号 70巻 感染性胃腸炎P74
4)ノロウイルス感染症低年齢児にみられる重症化要因 松永健司

最後に

ノロウイルスの症状について、ポイントをまとめます。

  • 吐き気・嘔吐・下痢・発熱・腹痛などの症状が出る
  • 発熱は軽度(38度を超えることはほとんどない)
  • 牡蠣などの二枚貝経口摂取により感染する
  • 感染者の便や嘔吐物などにより、経口感染する
  • 高齢者施設内感染には注意が必要で、基礎疾患の悪化・嘔吐物の誤嚥による窒息による死亡例もある
  • 乳幼児では急性重症胃腸炎となる

 

感染した場合は、水分摂取を心掛け、とにかく安静にして症状が治まるのを待ちましょう。

また、患者を看病する際には、便や嘔吐物の扱いには十分に注意し、手洗いを徹底するしかありません。




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