慢性肝炎は、肝臓の炎症が6ヶ月以上絶え間なく続く状態で、多くの場合はウイルス感染が原因とされています。
この病気は、肝臓病の中で最も多いとされており、発見が遅れると肝硬変へ進んでしまう場合もあります。
今回は、早期発見が重要と言われる肝臓病、その中の慢性肝炎についてまとめました。
慢性肝炎にはどんな症状がある?
慢性肝炎の患者の内の約3分の2の方は、その病状が肝硬変にまで進行しないと明確な症状はなく、知らない間に慢性化に進んでいます。
そして、約3分の1の患者は、急性ウイルス性肝炎が発症した後に肝炎が継続してしまうか、あるいは再発により慢性肝炎へと進行します。
症状としては、倦怠感、食欲不振、疲労、微熱、上腹部の不快感、などがありますが、多くの場合は症状が見られないのが慢性肝炎の特徴です。
この様に、症状が無い為に進行が進んでしまう可能性も高く、慢性肝疾患や肝硬変の合併症を発生してしまう事もあります。
慢性肝炎の原因は?
慢性肝炎は、いずれかのタイプの肝炎ウイルスに感染して発生します。
その内、約60-70%はC型肝炎ウイルスが原因とされ、急性C型肝炎の約75%が慢性肝炎に移行するとされています。
又、B型肝炎ウイルスに感染すると、その内にの約5-7%が慢性化するようです。母子感染時にしばしばキャリア化して慢性肝炎になることがありますが、性交渉や針刺し事故による成人感染の場合は多くは一過性に経過し、キャリア化することは少ないとされています。
A型、E型肝炎ウイルスは、慢性肝炎に移行する事はありません。
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慢性肝炎の検査は? 数値は?
ここでは、C型慢性肝炎とB型慢性肝炎の検査法をご説明します。
✔C型慢性肝炎
―血液検査を行い、HCV抗体、HCV-RNA,血清ALT、AST(GOT)、血小板数を測定。
―腹部CT検査、腹部超音波検査。
―確定診断の為に、腹腔鏡検査や肝生検を行う事もある。
✔B型慢性肝炎
―同じく血液検査で、AST(GOT),ALT(GPT),HBs 抗原、HBc抗体、HBe 抗原、HBe 抗体、HBV-DNAなどを測定。
―確定診断の為に、腹腔鏡検査や肝生検を行う事もある。
上記にある血液検査のAST(GOT)とALT(GPT)は、肝臓病の有無を調べる場合に重要とされています。
この検査により、肝臓、心筋、筋肉などの細胞に異常が無いかを調べる事が出来ます。
AST(GOT)とALT(GPT)の示す数値は、検査時点で破壊状態にある肝細胞はどの程度なのかと言うものです。
基準値は、共に35IU/L以下とされています。
もしこの数値が、基準値から100以下の場合は、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝の可能性。
数値が100以上でしたら、ウイルス性肝炎の可能性があります。
また慢性肝炎の場合、ASTよりもALTが優位に上がることが多いとされています。線維化の程度を示すと言われている、血小板の低下、ヒアルロン酸やⅣ型コラーゲンが上昇するのが特徴です。
一般肝機能検査では次のような変化を認めます。
肝臓細胞障害 | ALT優位の肝酵素の上昇。ただし急性肝炎ほどは上昇なし。 |
線維化の程度 | 血小板の減少、ヒアルロン酸・Ⅳ型コラーゲンの増加。 |
胆道系酵素 | ALP軽度増加、γGTP軽度増加。 |
間葉系 | γグロブリン・TTT・ZTT増加。 |
総合機能 | ICG停滞率・ビリルビンの増加。 |
また、慢性肝炎の診断には時に肝臓の生検が行われれ、この場合、病理検査で門脈域を中心とした炎症(piecemeal necrosisと呼ばれる)や線維化、門脈域の拡大を認めます。
慢性肝炎と肝硬変は違いは?
何らかの原因により肝臓に炎症が起きたのが肝炎で、それが慢性化して、されに病状が悪化したのが肝硬変です。
肝炎の状態なら、食生活の改善や禁酒などである程度回復する見込みはありますが、一度肝硬変になってしまうと元に戻る事はなく、その進行を止めるための治療となります。
先に述べました様に、肝炎が慢性化している間は自覚症状が殆ど無い為に、肝硬変になってしまってから始めて症状を感じる事は多いようです。
その様な事にならない為にも、定期的な検査を受けて早期発見を心掛けて下さい。
最後に
肝臓は『沈黙の臓器』と言われるほど、我慢強い臓器の為、病気の症状がよほど悪化しないと症状を出さないようです。
その様な点から、今回取り上げた『慢性肝炎』も自覚症状が無い為に早期発見が遅れ、病状が進行してしまう事もあります。
もし、日頃の食生活、飲酒量などで不安がある場合は、繰り返しますが、早めに検診を受けるようにして下さいね。