消化管ポリポーシスの1つにPeutz-Jeghers症候群というものがあります。
Peutz-Jeghers症候群(ポイツ・イェガース)という聞きなれない病名かもしれませんが、J・ポイツさんが1921年に報告、H・イェガースさんが1949年に発見してこの名前が付いたという病気です。
このPeutz-Jeghers症候群について
- 原因
- 症状
- 診断方法
- 治療法
このような順で詳しくご説明していきます。
Peutz-Jeghers症候群とは?
Peutz-Jeghers症候群は、過誤腫性の消化管ポリポーシスといって、多数のポリープが存在する状態をきたす疾患です。
小腸に最も多く発生しますが、食道以外の全ての消化管(胃や大腸)にも発生します。
原因は?
常染色体優性遺伝で、両親のどちらかがこの遺伝子を持つ染色体だったということです。
ただし、孤発性が約半数あり、家族にこの病気がなくてもPeutz-Jeghers症候群になることはあります。
好発年齢は?
好発年齢は、小児・青年期が多く、幼少期は色素斑が少しでも年齢を重ねるにつれ、数が増えたり、大きくなる傾向です。
Peutz-Jeghers症候群の症状は?
- 色素斑
- 消化管ポリポーシス
- 血便
- 腹痛
口腔粘膜・口唇・指趾・手掌・足蹴などに色素斑(褐色や黒い色素沈着)などが左右対称で現れることが多いものです。
特にこの色素沈着は90%の患者に幼少期から出現します。
症例:23歳男性
幼児期から、口唇と掌蹠とに小色素斑が散在。
(出典:医師国家試験99A7)
多数発生したポリープは、小さい段階ではほとんど症状が出ることはありませんが、大きくなるとポリープから出血し、血便を伴うこともあります。
また、腹痛や血便がひどくなり、腸重積を引き起こすこともあります。
合併症として癌化することも稀にあり、癌化すると消化管だけでなく、膵臓・乳房・子宮など他臓器にも出現することがあります。
Peutz-Jeghers症候群の検査方法や診断は?
まずは、症状からPeutz-Jeghers症候群を疑った場合、消化器内科に行くことをオススメします。
- 胃カメラ
- 大腸カメラ
- 生検
を行えば、肉眼でポリポーシスを確認でき、他のポリープとは異なるため一目瞭然です。
そして、一緒に生検を行うと病理学的診断も出来ます。
なので、色素沈着だけを見てPeutz-Jeghers症候群を疑うというのではなく、あくまでも不安な場合は検査をオススメします。
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Peutz-Jeghers症候群の治療方法は?
ポリポーシスの治療法
治療は内視鏡手術または開腹手術が行われ、どちらもポリープを切除することが目的です。
しかし、ポリープが癌性であれば転移の有無をまず確認し、それによって治療方法も異なります。
家族性の遺伝によるものと分かってる場合は、癌化を未然に防ぐことにも力を入れ、ポリープのある部位を全部取り除くこともあります。
ですが、術後も定期的に検査をし、経過観察をし、もしまたポリープが出来た場合は切除するということになります。
色素斑の治療法
美容的に色素斑が気になる場合は、レーザー療法や皮膚剥削術で消す方法があります。
レーザーは、色素沈着を起こしている部分だけに照射し、パチンと輪ゴムをはじかれるような一瞬の痛みですが、数が多いと痛みを長く感じます。
レーザー後は、それが徐々にかさぶたとなり、かさぶたと共に剥がれ、色素沈着が薄くなっていき、回数を重ねるごとに気にならないくらいになるでしょう。
- 参考文献:内科診断学 第2版 P867
- 参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P216・217
- 参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P124・125
最後に
- Peutz-Jeghers症候群は消化管ポリポーシスをきたす
- Peutz-Jeghers症候群は口腔粘 膜、口唇、指趾、手掌、足蹴などに色素斑を伴う
- ポリープが小さいうちは症状はほとんどないが、大きくなると下血を伴う
- 原因は常染色体優性遺伝
- 幼少期~青年期に多い
- 胃カメラや大腸カメラ、生検で診断確定を行う
- 内視鏡または開腹手術によってポリープまたは、ポリープを伴う部位を切除する
- 色素斑はレーザーや皮膚剥削術で消す方法がある
もし、家族歴がある場合は、遺伝する可能性もあると考え、気になる色素斑などを認められる場合には、検査をしてみることをオススメします。