尿沈渣の円柱とは?正常値(硝子円柱)と、種類別にわかる腎臓の病気

健診に行けば誰もが行う尿検査。

ここで何か見つかるとまた再検査になります。

この再検査で行われるのが尿沈渣です。

尿沈渣では顕微鏡を用いて尿についてさらに詳しく調べるので、尿検査の段階ではわからなかったこともわかるようになります。

尿沈渣の成分には、有機成分、無機成分に大きく分けられます。

そして今回お話しすることは、尿沈渣で検査され有機成分に分類される円柱についてです。

  • 円柱とはどういうものなのか
  • 正常値
  • 異常な場合

これらことについて解説します。

先に結論

  • 円柱は、腎臓の尿細管でできた「尿の成分の鋳型」で、尿沈渣を顕微鏡で調べて見つけます。
  • 硝子円柱は健康な人でも少数見られることがあります。それ以外の円柱(顆粒・蝋様・脂肪・赤血球・白血球円柱など)は、陰性が基準とされる施設が多く、見つかれば腎臓の病気を考えて調べます(京都大学医学部附属病院 検査部の基準値表)。
  • 円柱の個数の基準は、施設や報告方法で異なります。結果票の表記(LPF・HPF・全視野など)を確認してください。
  • 円柱が出ても、尿が濃いとき・運動後などで一時的なこともあります。再検査と、蛋白尿・血尿の有無とあわせて判断します。

尿沈渣で円柱とは?

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尿を遠心分離器にかけると、沈殿する固形成分があり、その沈殿成分を顕微鏡で調べる検査が尿沈渣です。

その沈殿物の中には、赤血球・白血球・上皮細胞・結晶成分・円柱などが見られます。

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この円柱は、簡単に言うと、「名前の通り尿の成分が、腎臓の尿細管で円柱状に固まったもの」です。

詳しくは、T-Hムコ蛋白(Tamm-Horsfall protein:THP)という物質が、流れてくる尿中の塩類、淡白、細胞などと結合して、積み重なり固まったものです。

そして尿細管の水分の再吸収により濃縮され、ゲル化し、上の図のように尿細管の鋳型となります。

この円柱を調べ、増加の有無で、腎実質の病変を推定することができます。

同じ円柱でも異常な円柱かどうかを判断すれば、腎臓の病気なのか尿路の病気なのかがわかります。

円柱が形成されるのはどんな時?

円柱が形成するためには

  • アルブミン濃度の上昇
  • 尿浸透圧の上昇(尿の濃縮)
  • pHの低下
  • 尿流速の低下
  • ある種イオン物質の介入

これらが相互に関与して円柱が作られると考えられています。

ただし、健康な人でもph値が低かったり、尿が濃い時にはこの円柱が出て検出されることがあります。

腎臓の位置を示す人体図

腎臓の位置については、腎臓の場所はどこ?図とCT画像で解説、腎結石で痛む場所は側腹部・背中で解説しています。

尿沈渣で円柱の正常値は?

尿沈渣の単位には以下があります。
  • WF:全視野での個数
  • LPF:低倍率視野(100倍程度)での個数
  • HPF:高倍率視野(400倍程度)での個数

円柱はLPFで数えて報告されることが多く、硝子円柱は健康な人でも少数見られることがあります。個数の基準は施設や報告方法で異なり、結果票の基準範囲で判断します。

一方、硝子円柱以外の円柱は、陰性(見られない)が基準とされる施設が多く、見つかるときは疾患を考えます。(京都大学医学部附属病院 検査部の尿沈渣基準値表では「円柱(硝子円柱を除く):陰性」。)

尿沈渣で円柱の種類は?異常だった場合はどんな病気?

どの円柱があるかによって疾患も微妙に変化します。

異常な円柱が出来るということは尿細管、または糸球体に異常があることを示しています。

特徴としては蝋様円柱がある場合は重度の疾患であることが多く、脂肪円柱は高たんぱく尿、赤血球円柱が出る時は糸球体から出血を伴っている、白血球円柱は感染症や炎症になっているということが出来るでしょう。

血尿を指摘された場合は、まず医療機関で尿検査の結果を見てもらいましょう。円柱を伴う血尿は腎臓(糸球体)の病気が疑われ、腎臓内科で調べることが多く、円柱がなければ泌尿器科で尿路を調べることが多いとされます。

円柱にも色々ありますので、順番に解説します。
  • 硝子円柱
  • 上皮円柱
  • 顆粒円柱
  • 蝋様円柱
  • 脂肪円柱
  • 赤血球円柱
  • 白血球円柱

硝子円柱

 

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こちらは蛋白尿で、正常な人にも見られるものです。

運動後などによく出現するものです。

ただあまりにも多く出現していると腎臓の疾患が疑われます。

硝子円柱以外の円柱が出るとそれに比例して増える傾向があります。

上皮円柱

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この円柱は糸球体腎炎・ネフローゼ症候群・ループス腎炎・急性尿細管壊死などで見られます。

また腎移植の時に起こる急性拒絶反応でもよく見られるものです。

顆粒円柱

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この円柱は腎盂炎・腎炎・間質性腎炎・糖尿病性腎炎、などがあり、また上皮円柱でも見られた糸球体腎炎・ネフローゼ症候群の時にも確認することが出来ます。

蝋様円柱

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この円柱は、慢性的に経過した進行した腎疾患で見られることが多いとされ、重い腎炎や慢性糸球体腎炎などが考えられます。

脂肪円柱

 

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この円柱が存在するときはかなりの高たんぱくの尿を伴う腎疾患であることが多く、ネフローゼ症候群・ループス腎炎・糖尿病性腎炎などの可能性があります。

赤血球円柱

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この円柱が見られる場合は、糸球体からの出血を伴う腎疾患が疑われ、IgA腎症・ループス腎炎・糸球体腎炎などの可能性があります。

白血球円柱

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この円柱が見られる場合は尿細管にて感染や炎症が発生している可能性があります。

考えられる病気は腎炎や腎盂炎などです。

ほかの検査項目の見方 → 健康診断の結果の見方まとめ(A〜E判定の意味と検査項目の一覧)

円柱の種類と考えられる病気の表

血尿の原因については、【図解】尿潜血の原因は?陽性ならどんな病気の可能性がある?でくわしく解説しています。

参考文献
最新 病気の検査がよくわかる医学百科P56

今日の臨床検査2011 2012P34〜36
検査結果なんでも早わかり事典P156・157
尿審査ガイドブック P153-P158

京都大学医学部附属病院 検査部「沈渣[随時尿]」検査項目基準値(Ver.15) 原本

再検査・受診の目安は?

  • 硝子円柱が少数で、蛋白尿や血尿がない:運動後や脱水でも出ることがあり、再検査で経過をみることが多いです。
  • 硝子円柱以外の円柱が見つかった、蛋白尿・血尿を伴う:腎臓内科などで血液検査(腎機能)や尿の精密検査を受けましょう。
  • むくみ、尿の泡立ち、尿が赤い・茶色い、発熱や腰背部痛がある:結果を待たず、早めに受診してください。

蛋白尿が出る原因については、尿検査で蛋白が出る原因は?病気でない場合と腎臓の病気・再検査の目安で解説しています。

よくある疑問

Q. 円柱が出たら腎臓が悪いのですか?

A. 硝子円柱だけであれば、健康な人でも出ることがあります。それ以外の円柱が見つかったときは、腎臓の病気を調べる必要があります。

Q. 運動や脱水で円柱は出ますか?

A. 尿が濃いときや運動後には、硝子円柱が一時的に増えることがあります。再検査で確認します。

Q. 尿沈渣の結果は何科で相談しますか?

A. 健診結果の相談は内科で構いません。必要に応じて腎臓内科や泌尿器科を紹介されます。

気になる症状や結果があれば、医療機関に相談しましょう。

まとめ

  • 円柱にも様々なものがるが、硝子円柱は健康な人でも出ることがある
  • 円柱の個数の基準は施設で異なる(硝子円柱以外は陰性が基準とされることが多い)
  • 円柱とは尿細管に出現する鋳型のこと

 

いかがでしたか?

尿沈渣の検査は腎臓や尿管などを詳しく調べるためには非常に重要な検査です。

腎臓の病気は初期には自覚症状が出にくいことがあります。早期発見のためには、健診での尿検査が大切です。