健康診断や人間ドックで「LDLコレステロールが高い」「脂質異常症の疑い」と言われると、すぐに薬を飲まなければいけないのかと不安になる人は多い。
結論からいうと、LDLコレステロールが140mg/dL以上だと「高LDLコレステロール血症」とされるが、すぐに薬が必要かどうかは、年齢や血圧・血糖・喫煙などのリスクをあわせて判断する。ただし、180mg/dL以上と大きく高い場合は、体質(遺伝)の可能性もあるため、一度医療機関で相談してほしい。
この記事では、LDLコレステロールとは何か、基準値、高くなる原因、受診の目安、下げるためにできることを整理する。
- LDLコレステロールが140mg/dL以上で高LDLコレステロール血症、120〜139mg/dLは境界域とされる。
- 高い状態が続くと、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がる。
- 治療を始めるかや目標値は、年齢・持病・喫煙などのリスクで変わる。
- 180mg/dL以上は、家族性高コレステロール血症などの体質も考える。
LDLコレステロールとは何か
コレステロールは、細胞の膜やホルモンの材料になる大切な脂質である。血液の中では、たんぱく質と結びついた粒(リポたんぱく)の形で運ばれる。
LDLは、肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ役割をもつ。LDLが多すぎると血管の壁にたまり、動脈硬化を進めるため、「悪玉コレステロール」とよばれる。一方、余分なコレステロールを肝臓へ戻すHDLは「善玉コレステロール」とよばれる。
LDLコレステロールの基準値
日本動脈硬化学会のガイドライン(2022年版)では、脂質異常症のスクリーニングの目安として次の値が示されている。

これは「脂質異常症かどうか」を見分けるための値であり、この値を超えたらすぐに薬を始める、という意味ではない。
治療の目標はリスクによって変わる

LDLコレステロールをどこまで下げるべきかは、その人が将来、心筋梗塞などを起こすリスクによって変わる。たとえば、ほかに危険因子が少ない人と、糖尿病や慢性腎臓病がある人、すでに心筋梗塞を起こしたことがある人では、目標とする値が大きく異なる。
血圧、血糖、喫煙、年齢、性別、家族歴などをあわせて評価するため、健診の数値だけで自己判断せず、医師に相談してほしい。
LDLコレステロールが高くなる原因
- 食事:肉の脂身、バター、生クリーム、洋菓子など、飽和脂肪酸の多い食品のとりすぎ
- 運動不足・肥満
- 閉経:女性ホルモンの減少により、閉経後はLDLコレステロールが上がりやすい
- 体質(遺伝):家族性高コレステロール血症など
- ほかの病気や薬:甲状腺機能低下症、腎臓の病気(ネフローゼ症候群など)、一部の薬

脂質異常症の症状や合併症については、高脂血症(脂質異常症)とは?症状・診断の目安の数値と起こる合併症で解説しています。
コレステロールが上がる原因のひとつ甲状腺機能低下症は、甲状腺機能低下症の症状は?セルフチェックの項目とTSHの見方・治療・食事で解説しています。
受診の目安
次のような場合は、内科(かかりつけ医)や循環器内科に相談してほしい。
- LDLコレステロールが140mg/dL以上で、糖尿病・高血圧・慢性腎臓病・喫煙などがある
- LDLコレステロールが180mg/dL以上
- 家族に、若いうちに心筋梗塞や狭心症になった人がいる
- 毎年の健診で、少しずつ値が上がってきている
脂質異常症で受診する科や治療法は、高脂血症(脂質異常症)は何科に行けばいい?診断基準・治療法・薬の種類で解説しています。
LDLコレステロールを下げるためにできること

飽和脂肪酸を控える
肉の脂身、バター、ラード、生クリーム、洋菓子などは控えめにする。肉は脂身の少ない部位を選び、魚や大豆製品を取り入れるとよい。
食物繊維をとる
野菜、海藻、きのこ、大麦などに含まれる食物繊維は、コレステロールの吸収をおだやかにする働きがある。
体を動かし、体重を管理する
ウォーキングなどの有酸素運動を続けることは、脂質の改善や体重の管理に役立つ。
禁煙する
喫煙は、動脈硬化を進める大きな原因である。
薬による治療
生活習慣を見直しても目標に届かない場合や、リスクが高い場合は、コレステロールを下げる薬(スタチンなど)が使われる。薬を始めたあとも、自己判断でやめずに定期的に検査を受けることが大切である。
まとめ
- LDLコレステロールが140mg/dL以上で高LDLコレステロール血症、120〜139mg/dLは境界域とされる
- 治療が必要かどうかや目標値は、年齢・持病・喫煙などのリスクで変わる
- 180mg/dL以上や、家族に若い心筋梗塞の人がいる場合は、体質の可能性も考えて受診する
- 飽和脂肪酸を控える、食物繊維をとる、運動、禁煙が対策の基本である
ほかの検査項目の見方 → 健康診断の結果の見方まとめ(A〜E判定の意味と検査項目の一覧)





