脳出血が脳に起こっても、サイズが小さかったり、出血の場所によっては症状として表に出ません。しかし、小さな出血が起こるということは、やがて大きな出血が起こる危険因子となります。
自分が過去に小さな出血が起こっているということを知る方法はないのでしょうか?
小さな出血を検出するMRIの画像診断
たとえそれが古い出血であっても、サイズが小さいものであっても、検出できるのが、脳のMRI検査です。
脳のMRI検査では、撮像方法がいくつかあって、代表的なものが、
- T1強調像
- T2強調像
- 拡散強調像
- FLAIR像
といったものです。これに加えて、脳の動脈の形状を見るために、MRAという撮像方法を撮られるのが一般的です。
ところが、これらでは、小さな古い出血は検出しにくいことが大半です。
小さな古い出血を検出するには、
- T2✳︎強調像
- SWI
といった撮像方法で撮影する必要があります。SWIは比較的新しい撮影方法ですので、脳ドックなどには入っていないのが一般的です。一方のT2✳︎強調像は、脳ドックにも入っていることがあります。
ただし、低価格帯の脳ドックにはおそらく入っていないことが多いでしょう。
低価格帯のものは、T2強調像とMRAのみしか入っていないものもありますので、値段で決めずに、何を撮影しているのかをチェックしておきたいところです。
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どうやって小さな脳出血は見えるの?
こちらはT2✳︎強調像で実際に撮影されたMRIの画像ですが、写真のようにポツリと小さな黒い点として見えるのが、小さな出血ということになります。
ただし、生理的な鉄の沈着などは脳内のさまざまな部位に起こり、この場合も同じように見えますので、黒く見えるものがすべて出血というわけではないので注意が必要です。
普段見慣れた専門家がきちんと読影する必要がありますね。
ちなみに正常のT2✳︎強調像の画像は以下の動画のようにみえます。
症状の出ない小さな古い出血が見つかったらどうする?
このような症状が出ない小さな古い出血は、さまざまな原因で起こります。原因を突き止めて、その原因を治療していくことになります。
最も多い原因は、やはり高血圧によるものです。その場合は、より血圧のコントロールが重要ということになります。
そのほか、高齢者に多いアミロイドアンギオパチーという病気や、脳動静脈奇形、脳血管腫などが原因になります。古い微小出血が何が原因で起こったのかを、突き止めるには、さらに別の撮像方法でMRIを撮影したりします。
脳梗塞後の人は小さな古い出血を起こしやすい?
さらに、脳梗塞が過去にある人も、脳出血を起こす頻度が上がります。
「ん?脳梗塞は血管が詰まる病気。脳出血は血管が破れる病気だからまったく逆ではないの?」
と思われるかもしれませんが、いずれも動脈硬化が原因にあるため、動脈硬化を起こした動脈が、詰まるか破れるかは実は表裏一体で、脳梗塞を起こした血管は、次に出血する可能性もあるのです。
最後に
脳ドックで大丈夫と言われた、その数ヶ月後に脳出血で運ばれてきた。なんてことはあり得ることです。
せっかく脳ドックを受けるのであれば、もちろん個人の危険因子などをしっかり考慮した上で、小さな古い出血をきちんと検出できる撮像法も加えておきたいところですね。