バリウム検査を受けたあとに、「下痢が続いている」「白い便が出たが、これで全部出たのか」「腹痛もあるが大丈夫なのか」と不安になる人は少なくない。

結論からいうと、バリウム検査後の下痢は、検査後に飲む下剤の影響で起こることが多く、多くは一時的である。

一方で、強い腹痛、嘔吐、発熱、便やガスが出ない、お腹が強く張るといった症状がある場合は、単なる下剤の影響と決めつけず、早めに医療機関へ相談すべきである。

また、白い便が出ることはバリウムが排出されている目安になるが、1回出ただけで完全に出切ったとは限らない。便の色が通常に戻るまで、数回は排便状況を確認することが大切である。

この記事では、バリウム検査後の下痢がいつまで続くのか、白い便の意味、完全に出た目安、腹痛や便秘がある場合の注意点、受診すべき症状について整理する。

この記事のポイント

  • バリウム検査後の下痢は、下剤の影響で一時的に起こることが多い。
  • 白い便はバリウムが排出されている目安である。
  • 白い便が1回出ただけで、完全に出切ったとは限らない。
  • 便の色が通常に戻るまで、数回は排便状況を確認する。
  • 強い腹痛、嘔吐、発熱、便やガスが出ない場合は医療機関へ相談する。

バリウム検査後に下痢になるのはなぜか

バリウム検査後に下痢や軟便になる主な理由は、検査後に飲む下剤の影響である。

胃のバリウム検査では、バリウムを飲んで胃の形や粘膜の状態をX線で確認する。バリウムは体内で吸収されるものではなく、便として排出される。

バリウムが腸の中に長く残ると、水分が抜けて硬くなり、便秘や腹部膨満感の原因になることがある。そのため、多くの医療機関では、検査後にバリウムを早く出す目的で下剤が渡される。

この下剤により腸の動きが促され、白っぽい便、軟便、下痢として排出されることがある。

検査後の下痢で多いパターン

  • 下剤を飲んだあとに水っぽい便が出る。
  • 白っぽい便や白い水のような便が出る。
  • 数回トイレに行くうちに、便の色が徐々に通常に戻る。
  • 腹痛が強くなく、体調がよければ一時的なことが多い。

バリウム検査後の下痢はいつまで続くのか

バリウム検査後の下痢は、下剤の効き方によって個人差があるが、多くは検査当日から翌日ごろに目立つことが多い。

下剤の効き方は、体質、普段の便通、水分摂取量、食事量、腸の動きによって異なる。検査後数時間で排便がある人もいれば、翌日以降に白い便が出る人もいる。

下剤が効いている間は、何度かトイレに行くことがある。白い便や水っぽい便が出たあと、徐々に通常の便色・便性状に戻っていくことが多い。

ただし、下痢が何日も続く、強い腹痛を伴う、発熱がある、血便がある場合は、バリウムや下剤の影響だけとは限らない。

状態 考え方
検査当日〜翌日に白い下痢・軟便が出る 下剤によりバリウムが排出されている可能性が高い。
数回排便して便色が通常に戻る バリウムがかなり排出された目安になる。
下痢が数日続く 脱水や別の腸炎なども考え、症状次第で相談する。
強い腹痛・嘔吐・発熱を伴う 早めに医療機関へ相談する。

白い便が出るのは正常か

バリウム検査後に白い便が出るのは、基本的にはバリウムが排出されているためである。

バリウムは白い造影剤である。そのため、検査後に出る便は白色、灰白色、白っぽい水様便として見えることがある。

白い便が出ると驚く人もいるが、検査直後から翌日にかけて白っぽい便が出ること自体は、バリウムが体外に出ているサインと考えられる。

ただし、白い便が出たからといって、必ず完全にバリウムが出切ったとは限らない。腸内に一部残っていることもあるため、便の色が通常に戻るまで確認することが重要である。

白い便で確認したいこと

  • 白い便が出たか
  • 1回だけでなく、数回排便があるか
  • 便の色が通常の茶色に戻ってきたか
  • 腹痛や吐き気がないか
  • 便だけでなくガスも出ているか

バリウムが完全に出た目安は?

バリウムが完全に出たかを自宅で正確に判断することは難しいが、便の色が通常に戻ることがひとつの目安である。

検査後は、白っぽい便が出たあと、徐々に薄い色から通常の茶色い便へ戻っていくことが多い。

「白い便が1回出たから完全に出た」と考えるより、数回排便があり、便の色が普段に近づいているかを見る方が現実的である。

また、腹痛や嘔吐がなく、食事や水分がとれており、便やガスが出ている場合は、重いトラブルの可能性は低くなる。

目安 意味
白い便が出た バリウムが排出され始めている。
数回排便がある 排出が進んでいる可能性がある。
便の色が通常に戻る バリウムがかなり排出された目安になる。
腹痛・嘔吐・発熱がない 重い合併症の可能性は低くなる。

完全に出たか不安な場合や、数日たっても白い便が出ない場合は、検査を受けた医療機関へ相談するのが安全である。

白い便が出ない場合はどうするか

バリウム検査後に白い便が出ない場合は、水分摂取、下剤の服用状況、腹痛や嘔吐の有無を確認する。

下剤を飲んでも、すぐに白い便が出ないことはある。普段から便秘気味の人、高齢者、水分摂取が少ない人では、バリウムの排出が遅れることがある。

まずは、医療機関から渡された下剤を指示通りに飲んだか、水分を十分にとっているかを確認する。

ただし、自己判断で下剤を追加しすぎるのは避けるべきである。便秘が続く場合や、腹痛・吐き気がある場合は、検査を受けた医療機関へ相談する。

白い便が出ないときに確認すること

  • 下剤を指示通りに飲んだか
  • 水分を十分にとっているか
  • 腹痛や吐き気がないか
  • 便やガスが出ているか
  • 普段から便秘が強くないか

バリウム検査後の腹痛は大丈夫か

軽いお腹の張りや軽度の腹部不快感は、検査後にみられることがある。

バリウム検査では、発泡剤で胃をふくらませるため、検査直後にげっぷ、お腹の張り、軽い気分不快を感じることがある。また、下剤の影響で腸が動き、軽い腹痛やゴロゴロ感が出ることもある。

しかし、強い腹痛、徐々に悪化する腹痛、嘔吐、発熱、お腹の強い張り、便やガスが出ない症状がある場合は注意が必要である。

上部消化管バリウム検査後の下部消化管穿孔はまれであるが、症例報告や症例集積があり、特に便秘や大腸憩室などの背景がある場合には注意が必要とされている。

すぐ医療機関へ相談した方がよい症状

バリウム検査後の重い合併症はまれであるが、見逃すと重篤化することがある。

特に、バリウムが腸管内に長く残ると、便秘、腸閉塞、まれに大腸穿孔が問題になることがある。

以下の症状がある場合は、早めに医療機関へ相談する

  • 強い腹痛がある
  • 腹痛が徐々に悪化している
  • 吐き気や嘔吐がある
  • 発熱がある
  • お腹が強く張っている
  • 便もガスも出ない
  • 数日たっても白い便が出ない
  • 冷や汗、ふらつき、ぐったりする感じがある

「下剤のせいだろう」「検査後だからよくあることだろう」と決めつけず、症状が強い場合は早めに相談することが重要である。

便秘の人は特に注意が必要である

普段から便秘がある人は、バリウム検査後に排出が遅れることがある。

バリウムは腸の中に長く残ると水分が抜けて硬くなり、さらに出にくくなることがある。便秘気味の人では、白い便が出るまで時間がかかったり、腹部膨満感が出たりすることがある。

特に以下に当てはまる人は、検査後の排便状況に注意すべきである。

  • 普段から便秘が強い人
  • 高齢者
  • 水分摂取が少ない人
  • 腹部手術歴がある人
  • 腸閉塞を起こしたことがある人
  • 大腸憩室を指摘されたことがある人

便秘気味の人は、検査後に白い便が出たか、便の色が通常に戻ったかを特に確認する必要がある。

下痢が続くときに気をつけること

バリウム検査後の下痢では、脱水に注意する必要がある。

下剤の影響で水っぽい便が何度も出ると、水分や電解質が失われることがある。特に高齢者、もともと体調が悪い人、持病がある人は注意が必要である。

下痢がある場合は、無理のない範囲で水分をとる。水、白湯、お茶、経口補水液などを少量ずつとるとよい。

ただし、腎臓病や心不全などで水分制限を受けている人は、自己判断で大量に水分をとらず、主治医や検査機関の指示に従うべきである。

下痢があるときの注意点

  • こまめに水分をとる。
  • アルコールは避ける。
  • 腹痛や発熱がある場合は無理をしない。
  • 血便がある場合は医療機関へ相談する。
  • 高齢者や持病がある人は脱水に注意する。

バリウムを早く出すためにできること

バリウムを早く出すために大切なのは、水分摂取、下剤の指示を守ること、排便確認である。

  1. 医療機関から渡された下剤を指示通りに飲む。
  2. 水やお茶などでこまめに水分をとる。
  3. 可能であれば軽く体を動かす。
  4. 白い便が出たか確認する。
  5. 便の色が通常に戻るまで排便状況を確認する。

特定の食べ物だけでバリウムが必ず早く出るわけではない。食事よりも、下剤と水分、排便確認が基本である。

飲酒は水分補給の代わりにはならない。アルコールには利尿作用があり、脱水方向に働く可能性があるため、検査当日の飲酒は避けるのが無難である。

よくある質問

バリウム検査後に下痢が出たら、バリウムは出たということか?

白っぽい下痢や白い便が出ていれば、バリウムが排出されている目安になる。ただし、1回出ただけで完全に出切ったとは限らない。便の色が通常に戻るまで確認する必要がある。

白い便が出ないまま普通の下痢だけ出る場合は?

下剤の影響で水っぽい便だけが先に出ることもある。ただし、白い便がまったく出ない、腹痛や吐き気がある、便やガスが出ない場合は医療機関へ相談する。

バリウム検査後の下痢に市販の下痢止めを飲んでよいか?

自己判断で下痢止めを使うのは避けた方がよい。バリウムを排出している途中で腸の動きを止めると、排出が遅れる可能性がある。症状が強い場合は医療機関へ相談する。

白い便が1回出たらお酒を飲んでもよいか?

白い便が1回出ても、完全に出切ったとは限らない。検査当日は飲酒を避け、便の色が通常に戻ってから再開する方が安心である。

何日たっても白い便が出ない場合は?

数日たっても白い便が出ない場合や、腹痛・嘔吐・便秘がある場合は、検査を受けた医療機関へ相談すべきである。

まとめ

バリウム検査後の下痢は、検査後に飲む下剤の影響で起こることが多く、多くは一時的である。

白い便はバリウムが排出されている目安であるが、1回出ただけで完全に出切ったとは限らない。便の色が通常に戻るまで、数回は排便状況を確認することが大切である。

バリウムを早く出すには、水分をとること、下剤を指示通りに飲むこと、白い便が出たか確認することが基本である。

一方で、強い腹痛、嘔吐、発熱、お腹の強い張り、便やガスが出ない、数日たっても白い便が出ないといった症状がある場合は、早めに医療機関へ相談すべきである。

普段から便秘気味の人、高齢者、腹部手術歴や腸閉塞の既往がある人は、特に注意が必要である。

関連記事

出典

  • 庄司良平, 青山克幸, 三金雄大, ほか. バリウムによる上部消化管造影検査後に発症した下部消化管穿孔の8例. 日本腹部救急医学会雑誌. 2019;39(5):979-982.
  • 角掛純一, 藤尾淳, 臼田昌広, ほか. バリウム服用による上部消化管造影検査を契機とした下部消化管穿孔の8例. 日本臨床外科学会雑誌. 2021;82(1):120-126.
  • Hamasaki K, Kawagoe K, Shibuya A, et al. A Case of Colon Perforation after an Upper Gastrointestinal Barium Series. 日本臨床外科学会雑誌. 2015;76(3):550-555.