乳がんの治療の一つに抗がん剤(化学療法)がありますが、すべての乳がんの人にこの抗がん剤(化学療法)が適応になるわけではありません。
今回はどのような場合に抗がん剤治療を用いる適応となるのか、またどのような種類があるのか、副作用にはどのようなものがあるのかなどについてまとめました。
乳がんの抗がん剤(化学療法)の対象は?
早期がんの場合
再発リスクが高いと予測される場合に適応となります。
化学療法を3ヶ月〜6ヶ月行います。画像では捉えられないような小さながんを根治させることが目的です。
手術の前にこの抗がん剤が投与されることがありますが、抗がん剤によりサイズを小さくして乳房を温存する乳房温存術が行われる場合です。
一方乳房の温存は厳しいと判断された場合は、まず手術(乳房全摘)をして、その後抗がん剤治療を行います。
再発・転移の場合
ホルモン療法が効果的である場合は、ホルモン療法から開始します。
ただし
- ホルモンの受容体が陰性でその適応にない場合
- ホルモン療法の効きが悪くなってきた場合
には、抗がん剤(化学療法)の適応となります。
またホルモンの受容体が陽性で、ホルモン療法が効く場合であっても、
- 進行が早い場合
- 症状が強い場合
などは適応となることがあります。
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どんな抗がん剤を使うの?
乳がんの術前や術後の治療で選択される抗がん剤は以下の通りです。
- アドリアシン A
- ファルモルビシン E
- タキソテール T
- タキソール P
- エンドキサン C
- 5-FU F
- メソトレキセート M
これらは単独でではなく、組み合わせて使われます。
- アドリアシン+エンドキサンを組み合わせたAC療法
- ファルモルビシン+エンドキサンを組み合わせたEC療法
- エンドキサン+5-FU+メソてオレキセートを組み合わせたCFM療法
などがあります。
アドリアシンやファルモルビシンと組み合わせで使った後、タキソテール、タキソールといった薬を3ヶ月用いるのが標準的な治療です。
ただし、再発や転移に対して抗がん剤治療を行う場合は、副作用を最小限として、治療を続けられるためにも、抗がん剤を1つのみ選択することがあります。
抗がん剤(化学療法)の副作用は?
抗がん剤はがん細胞だけではなく、正常細胞にも作用するため副作用が起こることがあります。抗がん剤治療を行う場合はこの副作用を上回るメリット(治療効果)がある場合に行います。
- 頭髪の脱毛
- 吐き気
- しびれ
- 全身の痛み
- 便秘
- まつげの脱毛
- だるさ
- 眉毛の脱毛
- 足の爪が剥がれる
- 味覚障害
- 足のむくみ
など。(国立がん研究センター中央病院HPを参照)
関連記事)乳がんのホルモン治療とは?副作用は?
最後に
乳がんの治療は、がん細胞の病理学的な特徴により、ホルモン療法を行ったり、化学療法を行ったり、分子標的薬を行ったりします。またこれらを組み合わせます。
今回は
- どのような場合に抗がん剤である化学療法を行うのか
- 抗がん剤にはどのような種類があるのか
- 副作用にはどのようなものがあるのか
についてまとめました。