手足の冷え、下腹部の冷え、下半身の冷えなど冷えの部位やそれに伴う症状はさまざまです。冷えを解消するには、そもそもの深部の体温を上げる必要がありますが、新薬にはその機能はありません。一方で漢方には、正確な機序はわかっていませんが、冷えを解消する効果があります。
そこで今回は、冷えに効く漢方を実際にあげました。また、どうして冷えが起こるのかという根本的なところについて解説しました。
冷えに効く漢方8選!
それぞれ冷え以外にも効果がありますので、症状の組み合わせで漢方を選びましょう。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん 、ツムラ23)
効果のある症状:四肢冷感、貧血、浮腫、腹痛
加味逍遥散(かみしょうようさん、ツムラ24)
効果のある症状:下半身の冷感、精神神経症状
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん、ツムラ25)
効果のある症状:下半身の冷感、のぼせ
真武湯(しんぶとう、ツムラ30)
効果のある症状:四肢冷感、代謝機能の低下
当帰四逆加呉茱萸生姜湯 ( とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう 、ツムラ38)
効果のある症状:四肢冷感、冷感による腹痛、腰痛
温経湯(うんけいとう、ツムラ106)
効果のある症状:四肢・下腹部冷感、唇の乾燥、手足ほてり
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう、ツムラ118)
効果のある症状:腰、下肢の冷感、頻尿、腰の重い感じ
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう、ツムラ127)
効果のある症状:四肢冷感、深部体温が低い場合、無気力
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そもそもどうして冷えが起こる?
そうしないと、根本的な解決にはならないからです。
どうやって人は体温を調節している?
人体のエネルギー代謝量は安静時と動いている時で大きく異なります。特に顕著なのが、筋肉です。なんとその差は10倍です。
筋肉がエネルギー代謝量を増やして、熱を産生するのはなぜでしょうか?
それは、体温を維持するためです。
体温には皮膚温と深部体温がありますが、このうち深部体温は、生きて行くために37度を維持する必要があります。ヒトが恒温動物と呼ばれるゆえですね。もし42度を越すようなことがあれば、タンバク質が変性を起こします。生存するには42度以下でなければなりません。
42度を超えないように体温調節されていますが、その方法は、以下の通りです。
- 発汗による水分の蒸発量を調節する。:汗腺による。
- 血流量を調節する。:皮膚の血管の拡張と収縮による。
- 熱の産生量を調節する。
汗をかくことにより体温を調節するのは、暑い環境においてです。汗をかくことは非常に重要ですね。
血流量を調節できなければ、暑い環境において血管が開いてしまい、皮膚への血流が増え、その結果、筋肉や脳への血流が相対的に減ってしまいます。すると、筋肉が痙攣を起こしたり、熱射病で倒れたりしてしまいます。
熱を産生するのは、寒い環境においてですが、これには大きく2つの方法があります。
- ふるえでない熱産生(遊離脂肪酸による)
- ふるえによる熱産生(筋肉による)
このうち、ふるえによる熱産生が行なわれる場合、筋肉の本来の機能が犠牲になりますので、姿勢保持や歩行が困難になります。
雪山でふるえているシーンを考えるとわかりますね。
冷え症はなぜおこる?
- 筋肉での熱産生が低くなっている、あるいはもともと低い。
- ストレスによる微小循環障害が起こっている。
- 動脈硬化により末梢の血流低下が怒っている。
- エアコンに過度に当たっている。
これらはいずれも深部体温を下げるものです。
深部体温の維持は生きていく上で絶対ですので、すると末梢つまり、手足の血流は犠牲になり、血流不足ということになります。
ということです。
ですので、手足の冷えを解消するには、末梢(手足)を温めるだけでは、根本的な解決になっていません。深部体温を下げる因子を取り除き、体全体の熱産生量を増やさなくてはならないということです。
その際に重要なのは、まず筋肉の収縮を活発化させて、熱の産生を調節できるようになることです。そのためには、ストレスを解消して、普段から暖かい食べ物や飲み物を摂取することが大事です。その次に重要なのが、血流量を調節すること、つまり血管の拡張と言われています。
漢方が体を温める機序は正確にはわかっていませんが、この筋肉の収縮の活発化以外に関与していると言われています。
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最後に
四肢の冷えがあるから、四肢を温めようでは、根本的な解決にはなっていないということがよくわかりますね。大事なのは、深部体温を上げるということ、そのためにそれを阻害する因子を取り除くということです。
ストレスや動脈硬化があったり、そういえば冷房によく当たっているなと思えば、そこに根本的な解決策があるかもしれません。