過敏性腸症候群の薬とは?処方薬・漢方薬・市販薬の選び方と警告症状

 

過敏性腸症候群になると、しばらく治療し症状が治まっていても、急に症状が出ることもあります。

調子が良いと思って過ごしていても、急に感じる不安やストレスなどによって症状が現れることが度々あります。

そんな時、すぐに受診できれば適切な薬を処方してもらえますが、医療機関を受診する暇がなければ市販の薬に頼ることになると思います。

また、頻繁に必要とする薬であれば、漢方の方が良いという方もおられると思います。

そこで今回は、過敏性腸症候群の薬について・・・

  • 処方薬
  • 漢方薬
  • 市販薬
  • 薬以外の対処法

をご紹介したいと思います。

先に結論

  • 過敏性腸症候群の薬には、高分子重合体、消化管運動機能調節薬、プロバイオティクスのほか、便秘・下痢・腹痛・不安など症状に合わせた薬があります。
  • 漢方薬は桂枝加芍薬湯などが症状に合わせて使われます。
  • 市販薬は医療機関を受診するまでの対処薬と考え、長く続けて使わないようにしましょう。
  • 血便・発熱・体重減少などがあるときは、過敏性腸症候群と決めつけず検査が必要です。
おなかの調子が、緊張するとすぐ悪くなる…
腸に異常がないのに腹痛や下痢・便秘をくり返すなら、過敏性腸症候群かもしれません。薬のほか、生活リズムを整えることも大切ですよ。

過敏性腸症候群の薬とは?

過敏性腸症候群と診断されたら、症状の軽減・生活習慣の改善・心療内科的治療が大切です。

日本消化器病学会のガイドライン(2020年)では、まず食事・生活習慣の改善とともに、

  • 高分子重合体
  • 消化管運動機能調節薬
  • プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌製剤)

などが有用とされ、症状に合わせて処方されます。薬の種類や量は、体質や症状によって医師が決めます。

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医師
それぞれについてご説明します。

高分子重合体

ポリカルボフィル・カルシウムという薬があり、消化管にてゲル化することにより水分を吸収調整し、便を正常にする働きがあります。

消化管運動機能調節薬

トリメブチンという薬があり、腸の動きを調節して腹痛や便通の乱れをやわらげる作用があります。ガイドラインでは、国内で保険適用があるこの種類の薬はトリメブチンのみとされています。

またその他の薬として、便秘・下痢・腹痛・精神的不安など症状に合わせた対処薬が処方されます。

便秘

下剤効果や水分分泌を高め、便の通りを良くする薬が選択されます。

  • 大腸刺激性下剤・・・ピコスルファート(ガイドラインでは、使う場合は頓用が原則とされています)
  • クロライドチャネル賦活薬(ふかつやく)・・・ルビプロストン
  • セロトニン5-HT4受容体刺激薬・・・モサプリド
  • 塩類下剤・・・酸化マグネシウム
下痢

便の水分や腸の動きを調整し、便通異常を改善する薬が選択されます。

  • セロトニン5-HT3受容体拮抗薬・・・ラモセトロン(下痢型の過敏性腸症候群に用いられます)
  • オピオイド受容体作用薬・・・ロペラミド
  • プロバイオティクス・・・乳酸菌製剤・ビフィズス菌製剤・ラクトミン製剤
腹痛

痛みを緩和し、腸内のけいれんや緊張を鎮める薬が選択されます。

  • 抗コリン薬・・・ブチルスコポラミン・チメピジウム・チキジウム
精神的不安

不安やストレスといった精神状態を緩和させる薬が選択されます。

  • 抗不安薬・抗うつ薬・・・ジアゼパム・オキサゾラム・ブロマゼパム・イミプラミン・アミトリプチン・フルボキサミン

症状に合わせて使われる薬の一覧表

参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P145
参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P140

薬にも相性があり、これが効果があると聞いたからといってもそれが自分に効果的かどうかは分かりません。

自分に合った薬を見つけることも重要で、定期的に通院し、担当医と相談しながら治療を進めていくことをオススメします。

参考文献:日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2020―過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)」(PDF)

過敏性腸症候群の漢方薬は?

ガイドラインでは、一部の漢方薬が有用であるとされています。症状が頻繁に出る方に、症状に合わせて継続して使われることがあります。

  • 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)・・・腹痛や便通異常に使われ、過敏性腸症候群で臨床試験が行われています
  • 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)・・・下痢型で使われることがあります(報告は小規模なものです)
  • 大建中湯(だいけんちゅうとう)・・・腹部膨満や腹痛を伴う便秘型で使われることがあります(報告は小規模なものです)

漢方薬は、病院で処方されるほか、市販薬としても入手できます。体質や症状に合うものを選ぶことが大切なので、医師や薬剤師に相談してから選びましょう。他の薬を飲んでいる場合も、組み合わせを確認してもらってください。

参考文献:新 病態生理できった内科学 8 消化器疾患 P96.97

過敏性腸症候群の市販薬は?

市販薬を選ぶ場合は、症状に合わせた薬を選択するのが良いでしょう。

医師
治療薬というよりも、対処薬という意味でお使いください。使う前に薬の説明書をよく読み、持病や服用中の薬がある場合は薬剤師に相談してください。

ただ市販薬は、長期間使い続ける薬としてはオススメできません。

あくまでも医療機関で処方してもらうまでの対処薬としてお考えください。

医師
その上で、市販薬の例を3点ご紹介します。

ザ・ガードコーワ整腸錠

腸内環境を整える薬で、便秘や下痢などの症状がある時に用いられることがあります。

ストッパ下痢止め

下痢が止まらないとトイレからも出られず苦しむことになります。

そんな時には下痢止め薬が役立つことがあります。ただし、発熱や血便を伴う下痢には自己判断で使わず、受診してください。

過敏性腸症候群の場合、「もしも症状が出たら」という精神的不安が症状の悪化を招きます。

外出先などでの急な症状に備えて常備しておくことで、精神的不安も減らせます。

ブスコパン

腹痛で苦しい、そんな時にはすぐにでも痛みを止めたいですよね。

痛みを緩和し、腸のけいれんを抑える薬(抗コリン薬)です。緑内障や前立腺肥大、心臓の病気などがある方は使えない場合があるので、薬剤師に確認してください。

腹痛のときに使われるブスコパンなどの注意点については、腹痛に市販の痛み止めは使ってよい?ブスコパン・ロキソニンの注意点と受診の目安でくわしく解説しています。

過敏性腸症候群は薬以外の対処法もある?

安心感がもっとも重要だと感じています。

薬を持つことでも安心感につながりますし、もしもの時のことを先回りして考えトイレの場所をチェックしていたり、非常口をチェックすることで不安を軽減できます。

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医師
また、生活習慣の改善も重要です。
  • 規則正しい生活
  • 脂物・糖分・刺激物を控えめに
  • 魚や野菜、果物を食べる
  • 疲れを残さない運動
  • お風呂に浸かる(冷え対策)

など、出来ることから始めてみましょう。

こんな症状があるときは早めに受診を

ガイドラインでは、次のような警告症状・危険因子があるときは、大腸内視鏡検査などで他の病気を調べるべきだとされています。

  • 発熱、関節痛、血便
  • 6か月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少
  • 腹部のしこりなど、診察での異常
  • 50歳以上での発症

気になる症状があれば、医療機関を受診してください。

湯船でゆっくりくつろぐ女性のイラスト

血便や発熱、体重減少があるときに調べる病気のひとつ、クローン病については、クローン病とは?原因、症状、診断基準、治療法と完治するかをわかりやすく解説でくわしく解説しています。

腹痛と血便が出る別の病気として、虚血性大腸炎については、虚血性大腸炎とは?原因・症状(腹痛・血便)・治療・食事をCT画像で解説でくわしく解説しています。

よくある疑問

Q. 何科を受診すればよいですか?
A. 消化器内科が基本です。ストレスや不安が強い場合は心療内科も選択肢になります。

Q. 市販薬はいつまで使ってよいですか?
A. 症状が続く、繰り返す場合は、医療機関で診断を受けてください。市販薬は対処薬で、診断をつける代わりにはなりません。

Q. 薬を飲んでも治らないときは?
A. 薬との相性や、食事・睡眠・ストレスなど生活の要因も影響します。担当医と相談して薬の種類を見直したり、心理療法を組み合わせたりすることもあります。

最後に

  • ガイドラインで有用とされる薬に、高分子重合体・消化管運動機能調節薬・プロバイオティクスがある
  • 下痢や便秘、腹痛や不安などといった症状に合わせた薬が処方される
  • 漢方薬では、桂枝加芍薬湯・半夏瀉心湯・大建中湯などが症状に合わせて使われる
  • 医療機関で処方してもらうまでの対処薬として、もしもの時の常備薬として市販薬は症状に合わせて選択
  • 安心感が症状を防ぐ

 

私のオススメ対処法は、

  • 外出時には薬や保険証をバッグに入れておく
  • 遠出する際は、安心できる荷物を用意(大荷物になりますが)
  • 初めて行く場所では、トイレや非常口を最初にチェック
  • 夏でも冷たい飲み物を避ける
  • お腹を冷やさない
  • 乳酸菌やビフィズス菌を含む整腸剤や食品を試す(効果には個人差があります)
  • 空を見上げる
  • しっかりお風呂に浸かる
  • 病院には定期的に、早め早めの受診(薬がなくなる前に)

です。

自分に合った対処法を見つけておくことで、それが安心材料となり症状の出現を予防することにもつながりますよ。