消化管は、食道〜胃〜十二指腸〜小腸〜大腸〜直腸〜肛門へと繋がります。
このうち、
- 食道〜胃〜十二指腸の一部→上部消化管内視鏡(胃カメラ)や胃透視(バリウム検査)
- 大腸〜直腸〜肛門→下部消化管内視鏡(大腸カメラ)や注腸透視(バリウム検査)
でそれぞれ観察することができます。ところが、間にある小腸には、このような検査がありません。今回は小腸の検査方法の種類、それぞれのメリットおよびデメリットについてまとめたいと思います。
小腸の検査にはどんなものがある?
カプセル内視鏡
- メリット:直接観察できること。
- デメリット:カプセルが停留することがある。
※狭窄疑い、嚥下障害、小腸の蠕動障害があるとあらかじめわかっている場合はこの検査は行わない。
ダブルバルーン内視鏡
- メリット:直接観察できること。生検や治療ができること。
- デメリット:時間がかかること、人手が取られること。
CT検査
- メリット:小腸全体を見ることができること。CT装置があれば可能。
- デメリット:平坦型の腫瘍はわからないこと。被曝してしまうこと。
MR enterography
- メリット:小腸全体を見ることができること。CTのような被曝がないこと。
- デメリット:平坦型の腫瘍はわからないこと。時間がかかること、人手が取られること。
出血シンチ
- メリット:0.05~0.1 ml/min程度の出血を診断可能。
- デメリット:空間分解能が低い。
血管造影
- メリット:0.5 ml/min程度の出血を診断可能。血管を塞栓することができる。
- デメリット:時間がかかること、人手が取られること。被曝してしまうこと
参考)Am J Med.2012;125:1228
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どんなときに小腸を検査する?
小腸にできる腫瘍は、胃や大腸などと比べて少ないのが特徴ですが、稀に小腸にもがんや悪性リンパ腫などの腫瘍ができることがあります。
また、貧血の原因を調べる上で多いものは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、あるいは胃や大腸に腫瘍ができていることなどですが、まれに小腸から出血していることもあります。
このような腫瘍の検索や、原因不明の出血の原因をつきとめるために、小腸の検査がされることが一般です。
小腸壁の特徴は?病気は?
小腸は、空腸と回腸に分けられます。それぞれの違いは以下の通りです。
空腸 | 回腸 | |
径 | 2-4cm | 2-3cm |
壁 | 厚く重い | 薄く軽い |
輪状ひだ | 大きく、高さがあり密。 | 背が低くまばら。遠位部にはない。 |
小腸の輪状ヒダの形態異常の原因としては、ジカルジア症、アミロイドーシスといったびまん性に認めるものと、リンパ腫やクローン病など限局的で不整な結節として認められるものに分けられます。
また小腸の蠕動の異常としては、強皮症や甲状腺機能低下症が有名です。