大腸がんにかかる人は30年前の5倍にまで増えています。大腸がんの手術をする際に、がんの場所によってはストーマと呼ばれる人工肛門を作る場合があります。
今回はこの
- ストーマとはどういうものなのか?
- ストーマケアで注意する点
についてまとめました。
ストーマとは?オストメイトとは?
消化管や尿路を人為的に体外に誘導し造設した開放口のことです。
つまり、肛門から便を出すことが物理的にできなくなってしまった人のために、別のところから便を出すための開放口を作ります。消化管に限らず、尿路の開放口を作りこともあり、ともにストーマと呼ばれています。
そしてストーマを保有している人のことをオストメイトと呼びます。
ストーマリハビリテーションとは?
と定義されています。
ストーマを増設することによりこれまでの生活と変わってしまうことも出てきます。その点を一緒に医師や看護師などと考えながらこなしていくことをストーマリハビリテーションと言います。
がんの化学療法が皮膚に及ぼす影響は?
- 抗がん剤自体によるもの
- 抗がん剤の有害事象による2次的なもの
- 抗がん剤の進行や病状悪化によるもの
- 他の治療との関連によるもの (がん化学療法中のスキントラブルとケア、医歯薬出版株式会社,2008)
抗がん剤の副作用による2次的な皮膚のトラブルには以下のものがあります。
- 下痢 →肛門周囲の紅斑、びらん
- 口内炎、嘔気嘔吐 →皮膚の乾燥や損傷
- 好中球減少 →損傷を受けた皮膚の感染合併、傷口の治癒の遅延
- 倦怠感、体力低下 →皮膚の清潔保持が困難、瘙痒、乾燥、発疹、感染
ストーマ周囲の皮膚の観察のポイントは?
ストーマのある中心部から、外側にかけて、
- ストーマ粘膜皮膚接合部
- その近接部
- 皮膚保護剤貼付部
- 皮膚保護剤貼付部外縁
と注意深く見ていく必要があります。
ストーマトラブルを予防するためのポイントは?
ストーマのトラブルで多いものは
- かゆみ
- ただれ
- 発赤
が最も多いです。これらがあれば保湿剤などでスキンケアをしていきます。これらを防ぐために、スキンケアで大事なのは、
- 粘着力の強い皮膚保護剤は避ける。
- 皮膚保護剤の粘着力が低下した時は、交換間隔を調整して交換する。
- 可能ならば全面皮膚保護剤の装具を選択する。
- 皮膚被膜剤を塗ることで剥離刺激を減少させる。
ということが重要です。
排便コントロールのポイントは?
ストーマから出てきた便はしっかり観察することが重要です。具体的には
- 便の性状や量
をチェックします。
特に回腸ストーマの場合、下痢が持続すると脱水や電解質の減少につながる場合があり、体内の水分、電解質のバランスが崩れることがありますので、普段よりも便の量が多いとか、水のような便が続いているなどがあれば早めに受診することが重要とされます。
感染予防をする。
抗がん剤治療をすると白血球が減少し、免疫力が低下します。そのため風邪などにかかりやすくなります。ですので、手洗いやうがいはしっかりとして感染予防をすることが大事です。
関連記事)大腸がんの手術の方法は?手術後の食事など注意点は?
最後に
ストーマは特に永久に使う場合は、当たり前ですが長い付き合いが必要となります。
ストーマケアのゴールはスマート保有者自身が完全にケアをできるようになることですが、近年ベッド数の問題などで、必ずしも完全にできない状態で退院せざるを得ないケースもあります。
そういった場合には、退院後もストーマ外来や介護施設、患者会、ストーマ用品メーカーなどと一緒に確立していく必要があります。