アレルギー。この言葉を耳にする機会も多いと思います。厚生労働省の調べによると、0~14歳の子供の約40%が何らかのアレルギーを持っているとされます。
アレルギー疾患の種類は多くありますが、近年では、子供の食物アレルギーが急増しているようです。
それでは、食物アレルギーの原因は何でしょうか?また、その症状は?
今回は、子供の食物アレルギーについてまとめました。
子供の食物アレルギーの原因は?
- 卵
- 牛乳
- 大豆
食物アレルギーを引き起こす原因となる食品として上記の食物の他に、魚介類、フルーツ、ピーナッツ、そばなどがあります。これらのアレルゲン食品は年齢によって原因となる割合が異なります。
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食物アレルギーの症状は?
- 皮膚→皮膚が赤くなる、蕁麻疹、湿疹、痒み
- 粘膜
→目の症状:充血、腫れ、痒み、涙目
→鼻の症状:鼻水、鼻づまり、くしゃみ
→口の症状:口の中、唇や下のかゆみ、腫れ - 呼吸器→のどが締め付けられる感じ、咳、喘息、呼吸困難
- 消化器→吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、血便
- 神経→頭痛、元気がない、興奮状態、意識障害
- 循環器→血圧低下、不整脈、顔色が悪い、手足が冷たい
食物アレルギーの診断の流れは?
①原因食物の推定
- 問診
- 食物日誌(複数の食物を食べていて原因が分からない場合につける日誌で、アレルギー症状が出た時に共通して食べたものがないかを確認していくのに役立つ)
②アレルギー検査
- 皮膚テスト(プリックテスト)
- 血液検査(抗原特異的IgE抗体)
③経口負荷試験
→陽性であれば診断の確定となる。
経口負荷試験は、以下の目的で行なわれます。
- 食物アレルギーの診断を確定するため。
- 食物アレルギーが治ったかどうか診断するため。
- アレルギー症状を起こさずに安全な範囲で食べられる量を確認するため。
- 学校での給食でのアレルギー対応の目安にするため。
食物アレルギー 経口負荷試験実施のタイミングは?
特異的IgE抗体検査が陽性で未摂取の場合
- 鶏卵、牛乳、小麦→1歳を過ぎたら検討する
- 米、野菜、大豆、肉類→乳幼児期でも検討する
即時型反応(食物を摂取してから2時間以内にアレルギー反応)の既往がある場合
- 鶏卵、牛乳、小麦、大豆→最終誘発症状から1年が経過したら検討する
- 誤食時に症状を認めなかった場合に検討する
入園や入学前
- 学校生活管理指導表のアレルギー疾患に、診断の根拠として記載が必要となる場合。
食物アレルギーの治療は?
- 食事療法
- 対処療法
食事療法
食事療法では、正しい診断に基づいた必要最小限の食物除去が基本となり、それは以下の点を意味しています。
- 食べると症状が出る食物だけを除去する。
- 原因食物でも症状が誘発されない「食べられる範囲」までは食べる事が可能。
- 代替食品の利用による、栄養面と生活の質への配慮。
- 鶏卵、牛乳、小麦などは、成長に伴い食べられるようになる可能性も考慮し、適切な時期に除去を解除する。
薬物療法
- 抗ヒスタミン薬
- ステロイド薬
- アドレナリン自己注射薬
- 気管支拡張薬吸入
アレルギーの原因食物を誤食してしまい、症状が出た場合には、抗ヒスタミン薬の飲み薬や、アナフィラキシーショックに対してアドレナリン自己注射薬が使用されます。これらの薬を用いることにより、アレルギー反応をおさえ、症状を緩和する事が可能となります。
最近の食物アレルギーの治療の特徴は?
最近は、経口免疫療法(重症の患者に対して行なう治療法)の効果が確認され始めています。これは、症状が出ない量の原因食物の摂取から開始して、段階的に量を増やし食べれるようにしていく治療法です。
しかし、以下の様なリスクもありますので、一般診療として奨励はされていません。
- 増量の途中や一定量を摂取する維持期に、強い副作用が出現する可能性がある。
- 一定量の摂取が出来るようになっても、しばらくして摂取をやめると食物アレルギーの症状が再発する可能性がある。
経口免疫療法は、専門医が体制の整った環境で研究的に行なう段階の治療であり、安易に進めるべきではありません。
食物アレルギーは予防できるの?
- 妊娠、授乳中の母親の食事制限→食物アレルギーへの影響は無いので、偏食をしないことが大切です。
- 離乳食の開始時期→開始の時期を早めたり遅らせる事は推奨されていません。
現在、食物抗原の湿疹から体内へ侵入による食物アレルギーの発症(経皮感作)が考えられており、この事からスキンケアで皮膚を清潔に保つ事により食物アレルギーの発症を減らす可能性があるとされます。
まとめ
- 子供の食物アレルギーの主な原因は、3大アレルゲンと呼ばれる「卵・牛乳・大豆」。
- アレルギー症状では、最も多いのが皮膚症状(皮膚が赤くなる、蕁麻疹、痒いなど)。
- 食物アレルギーの治療方法には、食事療法を対処療法がある。
- 最近は、経口免疫療法(重症の患者に対して行なう治療法)の効果が確認され始めている。
- スキンケアで皮膚を清潔に保つ事により食物アレルギーの発症を減らす可能性がある。