がんの検診にPET検査(PET-CT検査)は非常に有効な検査の一つです。
症状がない段階で「がん」を発見し、早期のうちに治療することで死亡率を下げることがPET検査を用いたがん検診の目的と言えます。
PET検査は、全身を撮影することができ、画像も一目で異常があるかどうかを見れるというのも、医師にも受け入れられている理由の一つです。
ところが、PET検査は万能ではありません。
他の検査と同じようにPET検査にも見つけるのが得意ながんと苦手ながんがあります。
ここではPET検査が得意ながんと苦手ながんについてまとめます。
PET検査で見つかる数が多いがんとは?
まず、一般にPET検査によるがん検診で発見される事が多い癌は、大腸がんです。
実際のPET検査の画像を見てみましょう。
症例 70 歳代の女性
2014年放射線科診断専門医試験問題77より引用。
上行結腸の→のところにFDG-PET検査で塊状の集積を認めています。
CTでも造影効果を有する腫瘤性病変を認めており、上行結腸がん(大腸がん)を疑う所見です。
大腸がん以外には、以下のがんが見つかる数が多いとされます。
- 肺がん
- 乳がん
- 甲状腺がん
- 前立腺がん
- 胃がん
これはあくまで頻度の問題で、この順番通りです。
ここで注意するべき点として、見つかる数が多い→そのがんをPET検査が得意とするわけではないということです。
実際にがんがあるのに、PET検査で見つからないもの(これを偽陰性と言います。)があることがあるからです。
また、すべてのがんが同じ頻度で生じるわけではないですからね。
PET検査が得意な癌(がん)とは?
一方でPETで引っかかりやすいもの(PET検査が得意とするがん)には、以下のがんが挙げられます。
- 甲状腺がん
- 肺がん
- 大腸がん・直腸がん
- 乳がん
これをみると上とほぼかぶっていますね。
つまり、これらの癌は頻度も高いし、かつPET検診でも引っ掛けやすいと言えます。
これこそPET検査における「がん検診」が力を発揮する「がん」ということができます。
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PET検査が苦手な癌(がん)とは?
一方で、PETで見つかりにくいがん(PET検査が苦手とするがん)に胃がんや前立腺がんがあります。
これを見るといずれも、先ほど頻度が高い癌に入っています。
頻度が高く、発見される数が多いのに、苦手なんですね。
つまり、実際はがんがあるのに、PET検査では見つかっていない数も多いということです。
この像は正常な人のPETの画像を前から見たものですが、正常でも脳や心臓、肝臓、腎臓、尿管、膀胱や消化管などには集積を認めていますよね。
逆に言えば、これらの生理的な集積が認められる部位にできる癌は、生理的な集積に隠されて見つけにくいということになります。
他にも、FDGが集積しにくい肝臓がんや一部の腎がんもあります。
このようにみると、PETは全然万能じゃないということがわかりますよね。
関連記事)PET検査の生理的集積の3つのポイント!
がん検診で大事なのは総合健診
PETで得意、不得意があったように、CTやMRI、エコー、腫瘍マーカー、内視鏡でも得意ながんと苦手ながんがあります。
そしてPETで得意ながんと他の検査で得意ながんは異なるのです。
ここで大事なのは、これらの検査を組み合わせて、苦手なところは補完しあって、総合的にがん検診を行うことが大事だということです。
関連記事)PET検査の料金は?
まとめ
PET検査によるがん検診について得意なもの、不得意なものについてまとめました。
- 一般にPET検査によるがん検診で発見される事が多い癌は、大腸がん。
- PETで見つかりにくいがんに胃がんや前立腺がんがある。
- PETは万能な検査ではない。
- PETで得意ながんと他の検査で得意ながんは異なる。
- 総合的にがん検診を行うことが大事。
PET検査で「がん」が見つからなかったからといって、不得意ながんもあるので、実際はがんはあるかもしれません。
PET検査が不得意とするがんについては、他の検査でカバーしながら総合的にがん検診を受けることが重要です。