昨日の夜から右眼が見えにくい。それだけではなくて、頭痛もあるし、気持ち悪くて何度か吐いている。こんな時に、考えるべき疾患は、急性緑内障発作です。
なかなか日常的に起こる発作ではないので、この病気の可能性があることを考えることが重要です。つい、頭の中の病気(脳出血や脳梗塞、髄膜炎)などをまず考えてしまいがちです。
この発作は起こりやすい人と起こりにくい人がいます。まずはそれをチェックしましょう。
今回は急性緑内障発作についてまとめました。
急性緑内障発作とは?
隅角の閉塞による急激な眼圧上昇発作のことを急性緑内障発作と言います。
虹彩と角膜の間のことを隅角と言います。隅角が閉塞すると房水の流れが停滞してしまい、その結果眼圧が上昇して、この発作が起こります。
どんな人が急性緑内障発作になりやすい?
- 高齢女性
- 遠視
- 隅角が閉塞性の人
隅角が閉じてしまうことにより発症するので、逆に言えば、隅角が開放性の人では発症しません。隅角が閉塞性かどうかのチェックは、ペンライトを用いてもできます(ペンライト法)。
急性緑内障発作になりにく人は?
- 白内障の手術を受けた人
- 若い頃、近視であった人
ですので白内障の手術を受けた人はこの隅角は開放性になっているので、急性緑内障発作は起こらないということができます。
他にも、若い頃近視であった人の場合も、隅角は開放性になっているので起こりません。
急性緑内障発作の症状は?
眼圧の上昇により、
- 眼痛、さらに関連痛として、頭痛や悪心・嘔吐
- 角膜浮腫により視力低下
- 強い充血
が起こります。
隅角の閉塞が原因で、眼圧上昇し、それにより散瞳が起こります。
眼の病気ではありますが、眼の症状よりも、頭痛や嘔吐がメインの症状となることがあります。
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急性緑内障発作の診察・診断は?
ペンライトを目に当てると縮瞳が起こります(対光反射)が、散瞳したままでこの対光反射が起こらなくなります。
また、軽く眼球を押して、左右の硬さをチェックします。
さらに眼圧計で眼圧を測定します。急性緑内障発作の場合眼圧が40-80mmHgと上昇することが多いとされます。(正常は10-20mmHg)
急性緑内障発作の治療は?
治療は大きく2つあります。
- 浸透圧利尿薬点滴
- 縮瞳薬点眼の頻回点眼
浸透圧利尿が眼圧上昇を抑え、縮瞳薬点眼が散瞳を抑え、この2点から緑内障発作を治療します。。
処方例)
- Dマンニトール1瓶点滴 100ml/3-10分程度
- 2%ピロカルピン塩酸塩点眼液 15分ごと
最後に
眼の痛みだけでなく、充血があり、散瞳している、おまけに頭痛や吐き気がある。
こんな場合は、急性緑内障発作の可能性があります。
超緊急性の高い疾患ではありませんが、のんびりしてもいられません。怪しいと思えば、眼科を早急に受診するようにしましょう。