日本人の死因の原因でも上位を占める胃がんですが、そのがん検診の方法は主に、
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡)
- バリウムを飲む胃透視
の2種類があります。
バリウムの方がなんとなく楽なのかな・・・とついバリウムを選んでしまうこともあると思います。
でも本当にバリウムの方が苦しみもなく楽に検査できるのでしょうか?
今回は、
- 胃カメラとバリウムの違い
- メリットデメリット
- どっちがいい?
など、胃カメラとバリウムについてまとめてみました。
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胃カメラとバリウム検査の違いは?
胃カメラとは?
胃カメラとは、上部消化管内視鏡、胃部内視鏡検査などとも呼ばれる検査です。
先端にカメラのついたスコープを口から飲み込んで、
喉頭→食道→胃→十二指腸
へと進めていき、テレビに映し出される実際の胃の内部の状態を見ながら、病変がないかをチェックする検査です。
バリウム検査とは?
一方、バリウム検査とは、胃部レントゲン検査、胃透視などとも呼ばれる検査です。
レントゲンを出す装置の前に立ってもらい、バリウムを飲んで、レントゲン透視下でバリウムの流れや、胃への付着を見て、胃壁の凹凸を見ながら、病変がないかをチェックする検査です。
両検査のメリット、デメリットは以下のようになります。
胃カメラとバリウムの違いとメリット・デメリット
検査の精密さでは、明らかに胃カメラが上です。
逆に言えば、がんがあるのにわからないということは、バリウムの方がより起こりやすいということです。
もちろんいかなる検査も100%ではなく、胃カメラもその例外ではありません。
例えば、胃カメラでも見えない粘膜の下を広がる癌もあるからです。
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バリウム検査には被ばくもある
しかもその被ばく量は術者にもよりますが、実はCTよりも多い被曝量なのです。
胸部のCTを撮影すると胸部のレントゲンを撮影するよりも100倍の被ばくをします。
そのCTよりも胃透視の被ばくは多いということです。
そんなこと全然知りませんでした・・・。
じゃあなんで、バリウム検査はなくならないのですか?
なぜバリウム検査はなくならない?
- 胃カメラは時間がかかる
- 胃カメラは医師でないとできないが、バリウム検査は放射線技師でも施行できる
胃カメラは時間がかかる
胃カメラはバリウム検査に比べて時間がかかるということが挙げられます。
一つは、検査そのものに時間がかかります。
怪しい病変があれば、生検をすることもありますが、これにも時間がかかります。
胃の状態によって検査時間は大きく変わってしまうのが胃カメラです。
また、胃カメラに使うスコープは、当たり前ですが1人に使ったあときちんと消毒をして、次の人に使わなくてはなりません。
この消毒・洗浄にも7-20分程度の時間がかかってしまいます。
逆に言えば、検査後上記の消毒・洗浄にかかっている時間内は、次の検査をはじめることができないということです。
胃カメラのスコープがたくさんある病院ならば話は別ですが、仮にそうであっても、ほぼ同じ時間で施行できるバリウム検査に比べると時間がかかってしまうのです。
胃カメラは医師でないとできない
また胃カメラは、医師が施行します。
逆に言えば医師でなければ施行することができません。
生検というのは胃粘膜の組織を取ってくるという侵襲的な行為であり、そこから出血が起こることもあります。
迅速に対応するには、医師でないといけません。
となると、胃カメラをしてくれる医師を確保する必要があります。
ただでさえ医師不足が嘆かれている状態ですので、この医師の確保が難しいという点があります。
コストもかかります。
バリウム検査は医師でなくても、放射線技師であれば施行することができます。
バリウムを飲んでもらい、基本的にはルーチンの撮像方法で撮影するだけですので、技術的にも胃カメラよりはるかに簡単なのです。
(ちなみに、これを書いている私は医師であり、胃カメラもバリウム検査も施行しています。)
コスト的にも技師でよいので削減することができ、なおかつ、同じ時間でたくさんの検査をできるバリウム検査は、医療施設側からするとなくなってはいけない(すべて胃カメラにすると回らない)検査だということがわかります。
結局胃カメラとバリウムどっちがいいの?
胃カメラをオススメします。
途中でも言いましたが、胃カメラの方が精密さで言えば優れていることは確かです。
胃カメラにも発見できない癌もありますし、スコープによって臓器に傷がつく、というリスクもゼロではありません。
また患者が受ける負担も胃カメラの方が大きいといえます。
ですが、
- バリウム検査では早期治療が見込める早期胃がんの見逃しが多い
- 胃カメラだと疑わしい病変があった場合にすぐに組織を採取できるため、検査が1回で済む
ということから考えれば、バリウム検査と比べると胃カメラの方が感度も特異度も高い検査であるといえます。
同じ胃がん検診であっても、胃カメラとバリウム検査には病気の発見しやすさに、違いがあるということです。
マンパワーなどの問題でも、バリウムによる胃がん検診は今後もなくなることはないでしょう。
バリウム検査であっても胃がんを見つける上で、受けないよりは受けた方が遥かによいことには違いありません。
ただし、胃がん家系であるとか、ピロリ菌が陽性で胃炎を指摘されているなどの状態であれば、積極的に胃カメラによる胃がん検診を受けられることをオススメします。
参考文献:本当は怖い!健康診断&人間ドック P92.93
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最後に
- 胃カメラとバリウム検査の大きな違いは、中から見るか、外から見るかということ
- 両検査にもメリット・デメリットがある
- 感度と特異度から考えれば胃カメラがオススメ
胃カメラとバリウム検査にはそれぞれ違いがあります。
胃カメラをオススメするといっても、どちらを選択するか最終的にはご自身で決めることになると思います。
今回の内容を参考にしていただければ幸いです。
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