アンドロゲン不応症の治療って ?
アンドロゲン不応症とは性分化疾患の1つで、遺伝子的には男性でありながら女性のような外見で生まれてくる症状です。
アンドロゲン不応症の治療は他の病気と違い、複雑な問題が横たわっています。
アンドロゲン不応症の子供は男性とも言い切れず、女性とも言い切れない状態で育っていきます。
ですが治療となるとこの性別をはっきりさせることに繋がります。
つまり男性として生きるのか、それとも女性として生きるのか、ということです。今回のお話しの内容はコチラです。
- 女児として育てる場合の治療法は?
- 男児として育てる場合の治療法は?
- アンドロゲン不応症の告知について
以上です。それでは始めます。
アンドロゲン不応症の治療法~女児として育てる場合~
アンドロゲン不応症の方のほとんどは自分に生理が来ないことをおかしく思い、病院で検査を受けたら気が付いた、という方がほとんどだと言います。
ということは本来なら思春期に差し掛かるころに気が付くということです。
このように自分で気が付いて自分で判断が出来る場合と、子供の症状に早くから気が付いて親のほうで性別を決めて治療をする場合があります。
また医学的な判断も重要です。
- 内・外性器の機能
- 性腺の腫瘍
最も重要なのは性的機能がより適合する性を選択するということです。まずは女性として生きることにした場合の治療法をご説明します。
内科的治療
女性として生きる場合は思春期前のホルモン療法は不要ですが、思春期以降はエストロゲンの投与が行われます。
子宮が保持されている場合にはエストロゲンとプロゲステロンの投与を行いながらカウフマン療法が行われます。
カウフマン療法とは
自然なホルモンバランスの変化をホルモンを投与しながら付くる療法のことです。
外科的治療
外科的にはまず精巣があった場合は精巣の摘出を行います。(早期に精巣を摘出した場合、稀に妊娠できる場合もあります。)
精巣はそのまま残しておくとガン化する可能性もありますが成人期まで摘出しない場合もあります。
これは精巣を摘出するとホルモン療法を一生行わなければならないことを考えると一旦残し自然なホルモン分泌を促したほうが良い、という判断があるからです。
また膣が欠損している場合は膣を形成する手術を行う場合もあります。女性として生きる場合でも卵巣や子宮が無い為、妊娠することは出来ませんが性生活そのものは可能です。ただ膣形成手術は1歳半までに行う事が理想です。
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アンドロゲン不応症の治療法~男児として育てる場合~
次は男児として育てる場合をお話しします。
内科的治療
まず乳児期に陰茎が短い場合にはテストステロンを投与し、立小便が可能な長さまで成長を促します。
定期的に精巣腫瘍の発症などを検査します。思春期以降もホルモン投与を続け、精巣に腫瘍が出来ていないか確認しながら治療します。
外科的治療
まず乳児期に外陰部形成手術を行います。
女性器の摘出などを内科的治療と並行して行います。
男女共通の治療
また、症状によっては男女共通の治療もあります。
ゴナドトロピン分泌不全が原因の続発性性腺機能障害の場合はhMG・hCG療法。
副腎ホルモン産生障害を伴っている場合は糖質、電解質ステロイドを補充する。
アンドロゲン不応症の告知について
アンドロゲン不応症の方にとって重要なのは治療だけではなく、心のケア、サポートです。
自分がアンドロゲン不応症とわかった時には精神的にかなりショックを受けた状態になります。
そのためカウンセリングなどを慎重に行いながら時期を見て告知をしていくようにします。
告知をするメリット
告知をすることは以下のような効果があります。
- 自分の疾患を知ることによる安心感
- 拒否感を無くす
いつ告知するか?
告知にはタイミングが非常に重要です。
一般的な告知の時期は思春期、特に高校1年生(受験が終わり、少し落ち着いたころ)です。
何を話すのか?
告知をしたうえで何を話すべきか、という問題ですがこれは以下のようなものになります。
- 治療についてのこと
- 社会的性を決めること
まとめ
- アンドロゲン不応症の治療は男性として生きるか女性として生きるかで変わる
- 精巣がガン化しやすい為、精巣には特に注意し、こまめに検査をしながら様子を見る
- アンドロゲン不応症の告知は時期を見計らって本人の精神的な負担を最小限にしながら行う
いかがでしたか?
今回はアンドロゲン不応症の治療法や告知についてでした。
社会的性を決めることはとても難しい問題ですが家族や周囲の人が全力でサポートしながら乗り越えていくことが必要です。