多嚢胞性卵巣症候群とは卵巣の疾患の1つです。卵巣にはもともとたくさんの卵細胞があり、だいたい月にひとつづつ成熟して排卵が起こります。ですが多嚢胞性卵巣症候群になるとこの卵細胞がたくさん出来てしまい、排卵が起こりにくくなってしまう疾患です。
多嚢胞性卵巣症候群はpolycystic ovary syndromeと言い、この頭文字をとってPCOまたはPCOSと呼ばれます。今回のお話しはこの多嚢胞性卵巣症候群についてのお話しです。主な内容なこちらです。
- 多嚢胞性卵巣症候群の症状は?
- 原因は?
- ストレスと関係がある?
以上です。それでは始めます!
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状は?
主な症状はこのようなものです。
- 月経異常
- 不妊
- 多毛
- にきび
- 声の低音化
- 肥満
- 内分泌検査にてLH(黄体形成ホルモン)上昇、FSH(卵胞刺激ホルモン)横ばい
- GnRH検査にてLH上昇、FSH横ばい、エストロン上昇
- 無月経の場合はゲスターゲン試験にて第一度無月経(エストロゲンは分泌されている)
- 超音波検査にて小さい卵胞を10個以上認める(ネックレスサイン)
月経異常
自覚症状がある最も大きなもので月経異常が挙げられます。月経が来ない、少ないなどの症状が現れます。
男性化
この疾患になると男性化の症状が現れます。声が低くなる、体毛が濃くなる、肥満なども男性化の症状です。
検査ではこうなる
内分泌検査にてLH(黄体形成ホルモン)が上昇し、FSH(卵胞刺激ホルモン)が横ばいになります。またGnRH検査でもLH上昇、FSH横ばいとなります。またエストロンが上昇します。
第一度無月経の症状がある
第一度無月経とは無月経の中でもエストロゲンの分泌が確認できる無月経のことを言います。この疾患になると検査で第一度無月経と診断されます。
ネックレスサイン
超音波や上のようにMRI(T2強調像)で卵巣を見るとネックレスサインと呼ばれる卵胞がネックレスのように連なっている画像が見られます。
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多嚢胞性卵巣症候群の原因は?
PCOSの原因はアンドロゲン(男性ホルモン)産生過剰が原因とされています。アンドロゲンは男性器の発育、筋肉や骨格の形成にかかわるホルモンですが女性にも分泌されています。通常は男性の10%以下ですがこれが過剰に分泌されることで排卵障害を起こしてPCOSになると言われています。
ちなみにアンドロゲン産生過剰は男性にも起こります。
PCOSになると高アンドロゲン血症も併発することが多いです。男性ホルモンが過剰に分泌されることで食欲が増し、肥満となり、毛深くなったり声が低くなったりします。
アンドロゲン産生過剰は副腎の肥大や腫瘍などが原因で起こります。特に女性は卵巣でのアンドロゲン産生過剰が起こることで発症します。
ストレスは関係がある?
PCOSがストレスと関係があるのか、という問題に対して様々な医師が見解を述べています。以下のような意見です。
- ストレスは関係ない。体質によるところが大きい
- ストレスも十分に関係がある。ただストレスがすべてではない
ストレスがはっきりとした原因にはなっていませんが可能性は否定しきれません。
その他の関連記事はコチラ→多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは?診断基準は?治療は?
まとめ
- 多嚢胞性卵巣症候群とはPCOSとも呼ばれ、卵胞が過剰に出来てしまう病気のことである
- 主な症状は月経異常や不妊、多毛や肥満、などである
- 超音波で見るとネックレスのように卵胞が連なっているのが確認できる
- 原因は男性ホルモンの過剰分泌と言われている
- ストレスが原因になるかははっきりとはわかっていない
いかがでしたか?今回のお話しは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)についてでした。この疾患ははっきりとした原因が特定されているわけではなく、あくまでも仮説です。そのため治療は長期間かかることが多い疾患でもあります。この疾患になると肥満などをはじめとする様ざまな症状を引き起こしますのできとんと最後まで治療することが肝要です。