PET検査では、リンパ節に集積することがあります。
一つはがんのリンパ節転移と、もう一つは炎症による反応性の集積です。
しかし、PET検査で集積をするリンパ節が、がんの転移なのか、反応性の集積なのかは基本的には見極められません。
炎症による反応性の集積の一つに、インフルエンザワクチン接種後の集積が報告されていますのでここでは紹介します。
インフルエンザワクチン接種後に集積?
PET検査前の5-12日前にインフルエンザ予防接種を受けた10人全員に、予防接種を受けた側の腋窩リンパ節に集積があった。(Panagiotidis,et al.Eur Radial 2010)
という報告があります。
ですので、人間ドックなどでPET検査を受ける事が決まっている場合、その前には、インフルエンザの予防接種の予定は入れない方がよさそうですね。
とはいえ、じゃあインフルエンザワクチンを接種する冬の時期は、PET検査を受けられないじゃないか!という声が聞こえてきそうです。
それでは、万が一、PET検査の前にインフルエンザワクチンを接種してしまったら、どれくらい日にちが経過したらPET検査を受けてよいのでしょうか?
インフルエンザ予防接種後の腋窩リンパ節集積が正常化するのには40日かかった。(Thomassen,et al.Eur J Nucl Med Mol Imaging 2011)
という報告があります。
ですので、万が一、PET検査の前にインフルエンザワクチンを接種してしまったら、少なくとも1ヶ月くらいはPET検査は遅らせた方がよさそうです。
冬の時期のPET検査は、インフルエンザ予防接種前に行う。
これがやはりベストですね。
PET検査とインフルエンザワクチンの予防接種の時期がかぶりそうな場合は、
- PET検査→インフルエンザワクチンの順番
で受けるのが、思わぬ病気(偽病変)を作らなくて済みます。
万が一、インフルエンザワクチンを先に受けてしまったら?
万が一、インフルエンザワクチンを受けてしまった直後にPET検査を受けざるを得ない場合は、ワクチン接種を受けたことを必ず施設に知らせるようにしましょう。
そうしないと本来病的ではないのに、病的な集積となり(偽陽性)、精密検査へと誘導されることがあります。
PET検査で病的ではない集積に褐色脂肪腫があります。詳しくはこちら。→PET検査による褐色脂肪細胞へのFDG集積とは?
冬の時期には、若い女性の場合は、褐色脂肪腫にもFDGが集積することもありますので、この点にも注意が必要ですね。
最後に
PET検査とインフルエンザワクチンに一見何の関係もなさそうですよね。
しかし、ワクチンを受けることで腋窩(脇の下)のリンパ節が腫れることがあり、そこにFDGが集積することで、異常と指摘されることがあるというお話でした。
なお、FDG-PET検査における生理的な集積(異常とは言えない集積)はこちらにまとめました→【画像・動画あり】PET検査の生理的集積の3つのポイント!
参考になれば幸いです。