認知症にも色々種類があるということ、ご存知ですか?
もっとも有名で患者数が多いのは、アルツハイマー型ですが、それ以外にも有名なところでいうと・・・若年性認知症。
また、脳血管障害が原因で起こる脳血管性認知症などもあり、その認知症の種類は70種類ほどあると言われています。
今回はその認知症の中でも、レビー小体型認知症(英語表記で「Lewy body dementia」「dementia with Lewy bodies」)について
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療法
をまとめました。
レビー小体型認知症とは?
- 進行性の認知機能障害
- 幻想などの特有疾患
- パーキンソニズム
などが見られる、老年期に多く発症する神経変性疾患です。
認知症の中で18%を占めるもので、比率として女性の倍の確率で男性に多い認知症です1)。
それ以外の認知症についてはこちら。
レビー小体型認知症の症状とは?
- 注意障害
- 失認
- 構成失行
- 遂行機能障害
- 問題解決能力障害
- 幻視
- 仮面様顔貌
- 寡動
- 筋強剛
- 歩行障害
- 繰り返す転倒
- めまい
- 失神
- 記憶消失発作(一過性)
- 起立性低血圧
- 体温調節障害
- 抑うつ
- 不安
- 妄想
- 幻聴
- 不眠
- レム睡眠行動異常
このような様々な症状が出るものなのですが、特徴的なものでいうと、理解や把握に波がある認知機能の変動・幻が見えてるかのような具体的な幻視や幻想・静止時振動は省くパーキンソン様症状などが挙げられます。
また、これらはの症状は、1日のうちでも波のあることがLewy小体型認知症の特徴のひとつです。
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レビー小体型認知症の原因は?
基本的に遺伝的要因は関係なく、レビー小体という異常な蛋白が脳内に蓄積し、脳神経細胞が次第に減少していくことが原因で起こります。
このレビー小体とは、脳神経細胞内にたまった異常な蛋白で円形状の封入体ですが、どうしてこのように蓄積するのか・・・詳しい原因は解明されていません。
そもそも認知症とは何なのかについて、こちらで解説。→認知症とは?症状は?検査は?
レビー小体型認知症の診断は?
- 中心的特徴
- 中核的特徴
- 示唆的特徴
- 支持的特徴
- レビー小体型認知症の診断を支持しない特徴
- 症状の時間的経過2)
(レビー小体型認知症の臨床診断基準改訂版2005 国際ワークショップより)
診断基準として、以上のような項目がありますが、なかなかピンとくるものではありませんよね?
そこで、実際に診断のために行う検査、CT・MRIやSPECT・PET、心筋シンチグラフィーについて解説します。
CT・MRI
アルツハイマー型認知症同様、脳の全体的な萎縮が見られます。
海馬の萎縮は軽度です。
SPECT・PET
後頭葉の血流低下が特徴的で、それがアルツハイマー型との大きな違いでもあります。
心筋シンチグラフィー
心臓交換神経の分布や機能を可視化する検査で、心臓交感神経におけるMIBGの集積低下が確認できます。
この検査を行うことで、アルツハイマー型認知症や他のパーキンソン症候群との鑑別にもなります。
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レビー小体型認知症の治療法は?
症状に合わせた対処療法が基本となります。
ですが、それも進行を防ぐものではなく、根治とはなりません。
認知機能障害に対して
コリンエステラーゼ阻害薬として塩酸ドネペジルが用いられます。
認知機能低下や幻覚、妄想、意欲低下などの症状に対して有効です。
精神症状に対して
幻視や妄想にも効果的な、塩酸ドネペジルの他、漢方薬の抑肝散・非定型抗精神病薬が用いられます。
パーキソニズムに対して
レボドパやドパミン作動薬が運動症状に対して用いられますが、副作用として精神症状を悪化させることもあるため、使用には慎重です。
対処療法も簡単に出来るものではなく、症状を見ながら調整し、慎重に行うことがが大切です。
その他、環境調整やリハビリテーションなどを行うことも治療には重要です。
参考文献:
病気がみえる vol.7:脳・神経 P336・337・350 1)337
全部見える 脳・神経疾患―スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! P180・181
2)Lewy小体型認知症P296
最後に
レビー小体型認知症について、ポイントをまとめます。
- Lewy小体型認知症は老年期の特に男性に多く見られる精神変性疾患
- 認知機能の低下・幻視や幻覚・パーキンソン様症状が特徴
- Lewy小体が蓄積し、脳神経細胞が減少していくことが原因
- 臨床症状・CT・MRI・SPECT・PET・心筋シンチグラフィーから診断する
- 症状に合わせた対処療法が一般的
認知症は介護する家族の負担も大きく、時に幻視や幻覚が現れるLewy小体型認知症の場合、介護者の精神的負担も大きくなります。
介護者がひとりで抱え込まず、地域の病院や介護支援等をうまく活用しながら患者を支えていくのがよいでしょう。