若いのに手足の筋力が徐々に弱くなる難病疾患にも指定される病気がCharcot-Marie-Tooth病(読み方は、シャルコー・マリー・トゥース )と言います。
10代~30代という若い世代(特に10歳代後半)に多く発病する疾患です。
今回はこのCharcot-Marie-Tooth病(CMT)について
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療法
を分かりやすくご説明したいと思います。
Charcot-Marie-Tooth病の症状は?
- 足の筋力低下
- 足の萎縮
- 足の変形
- 特異的歩行
- 腱反射(特にアキレス腱反射)の低下
- 手足の感覚障害
- 声帯麻痺
- 排尿障害
- 自律神経障害
- 糖尿病の合併
太ももより下の筋萎縮が起こり筋力が低下し、逆シャンパンボルト型やコウノトリ足と呼ばれる外観を示すようになり、つまずきやすくなったりといった症状で異変を感じ始めます。徐々に進行し様々な症状が出現します。
足の甲が盛り上がる凸型、下垂足とよばれる膝を高くあげて歩く鳥のような特異的な歩行になってしまいます。また、筋力以外の症状も出てきます。
側湾症という背骨の変形も約30%に見られます。
Charcot-Marie-Tooth病の原因は?
原因は遺伝です。
遺伝性疾患として染色体優位性遺伝であることが多く、PMP22、P0などの異常が分かっています。
10~30代に多く、中でも10代後半が好発年齢としてピークです。
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Charcot-Marie-Tooth病の診断は?
特徴的な症状からCharcot-Marie-Tooth病を疑い検査をします。
- 神経伝導速度検査
- 神経生検
- 遺伝子検査
神経伝導速度検査
末梢神経障害が出てる場合、この検査をすることになります。足の後脛骨神経と腓腹神経に沿い刺激を加えることによって、刺激が神経を伝わる速度を調べる検査です。
Charcot-Marie-Tooth病の場合、速度が遅くなる特徴があります。
神経生検
足の傷害された神経を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です。
Charcot-Marie-Tooth病の場合は、神経線維が脱髄といって通常なら包まれているはずのものが剥がれた状態になっている(onion bulb所見と呼ばれる)ため、そこを顕微鏡で確認します。
遺伝子検査
遺伝子が原因で起こるため、遺伝子検査を行い確定診断となります。
Charcot-Marie-Tooth病の治療法は?
実はこの病気、有効的な治療が確立されておらず難病指定されるもので、対処療法が一般的です。
対処療法
リハビリを行い、筋肉の低下予防のために疲れが残らない程度の運動を行ったり、転倒防止のために装具を付け、日頃の動作の補助を行うこともし、アキレス腱持続的伸長、関節可動域訓練が一般的です。
また、骨や関節の変形が著しく装具のみで対処できない場合等には、整形外科手術を行うこともあります。
最近では、抗ホルモン剤やビタミンB12の投与によって効果が見られることも報告されています。
最後に
- 両側下肢の筋力低下や萎縮症状が出る
- 凸足や鶏足歩行などが現れる
- 原因は遺伝性によるもの
- 神経伝導速度検査・神経生検・遺伝子検査で診断を行う
- 有効的な治療が見つかっておらず、対処療法が一般的
進行は緩やかなため、急激な変化は見られないものの、リハビリを続け少しでも筋萎縮を防ぐことが大切です。