閉ざされた狭い場所などにいることに過剰な恐怖心を感じる閉所恐怖症。
そんな症状をお持ちの方が、一種の密室であるMRIに入り検査を受けることは精神的にも大きな負担となってしまいます。
特に脳ドックで行われる脳のMRI検査では、狭い空間に頭から入らなくていけません。
その様な閉所恐怖症の方へのMRI検査での対策にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、オープン型MRIとはどのようなものでしょうか?
そこで今回は、
- MRIでの閉所恐怖症の対策は?
- オープン型MRIとは?
- MRIでの閉所恐怖症の対策に睡眠薬や麻酔は使用できるの?
- 閉所恐怖症は克服できるの?
以上についてまとめました。
MRIでの閉所恐怖症の対策・克服する方法は?
- 薬(鎮静剤や睡眠薬など)を使用する方法
- 閉所での恐怖感を和らげる工夫
- 他の検査法や機械を用いる方法
それでは、以下に詳しく説明していきます。
薬(鎮静剤や睡眠薬など)を使用する方法
鎮静剤や睡眠薬などを使用して検査の間、眠ってもらう方法です。
閉所での恐怖感を和らげる工夫
閉鎖感を減らすためにアイマスクを配布し、耳栓もしてもらい閉所での恐怖感を和らげます。
他の検査法や機械を用いる方法
どうしてもMRIによる検査が困難な場合は、稀ですがMRI検査を断念し、X線を使用したレントゲン装置やCTスキャナー装置による検査を行うことがあります(その場合はその日はMRIは中止して、後日再検査となることもあります)。
また、密室に近い空間に入っていく従来のMRI装置ではなく、よりオープンなオープン型MRIによる検査を行なう方法があります。(これについては次にご説明します。)
閉所恐怖症の人は検査前にその旨を伝えることが大事
脳ドックの際は頭部からMRI装置に入ることになりますので、人によってはこの状態でパニックになってしまい検査が出来なくなってしまう場合もあります。
ですので、閉所恐怖症の人はMRIの検査前にそのむねを検査技師などにきちんと伝えておく必要があります。
オープン型MRIとは?
MRIという機械はトンネルの中に身体を入れて行くというイメージがあり、そのことに対し非常に大きな不安を抱えてしまったり、恐怖感を抱いてしまう方もいるようです。
そんな従来のものに比べて、恐怖感を与えずに診察を行えるようになったのがオープン型MRIというタイプです。
オープン型MRIの特徴
- 狭さに恐怖を感じる方に対して作られており、恐怖感やパニック感から開放され安心して診察出来る。
- トンネル型ではなく、周りが切り開かれた状態のままで、MRIによる画像所見を行える。
- トンネル型と違い開口部が広いデザインで、関節を動かしながらの撮像や手術中の撮像など特殊な検査にも応用されている。
- 小さいお子さんの検査の際には保護者が付き添える利点もあり、親子共に安心して検査に望む事が出来る。
- 性能においても従来のトンネル型とはほとんど差がないとされている。
百聞は一見に如かず!ということで実際の動画を見ていただいた方がわかりやすいと思います。
MRIでの閉所恐怖症の対策に睡眠薬や麻酔は使用できるの?
まずMRI検査を受ける前に、担当の医師に睡眠薬や麻酔薬などを使用できるか相談して下さい。
また、検査内容によっては、他の方法(CTなど)で代用できる場合もあります。
睡眠薬・抗不安剤(安定剤)・静脈麻酔は?
MRI検査がどうしても必要な場合は、経口睡眠薬などではなく、催眠鎮静剤、抗不安剤(ホリゾン®、ドルミカム®など)の静脈麻酔を使用することで眠っているような状態で検査を行うこともあります。
しかし、検査後もしばらくはボーっとした状態が続きますので、車の運転などは出来ません。
使用する薬剤や注意点は、胃カメラや大腸カメラで使用する静脈麻酔(鎮静薬)と同様です。
ただ、そこまでしてMRI検査を受ける必要があるかは、担当の医師とよく話し合うようにして下さい。
閉所恐怖症は克服できるの?
閉所恐怖症とは、閉ざされた狭い空間や場所に身を置くことに極度の恐怖を感じる症状のことです。
ちなみのこの場合の閉所とは、以下の通りです。
- エレベーターやトイレの中
- 締め切った部屋
- 車やバス、電車、飛行機などの乗り物
- トンネルなどの入ったらすぐには出れない場所
- 身動きがとれない狭い空間
症状は人それぞれで、極度の発汗、吐き気、全身または手足のしびれ、めまいなどで、酷い場合は発狂して叫んでしまう事もあり、異常に恐怖や不安を感じます。
自然(自己)治癒力を信じることが大切
閉所恐怖症を克服するには、ある程度の時間がかかることを理解して真剣に治療に取り組む気持ちが大切です。
時間はかかりますが、ご自分の治癒力を信じ、治そうという強い気持ちを持ち続けることが大切です。
専門医の力をかりることも必要
病気を治すのはご自身ですし、治そうという強い気持ちがあれば閉所恐怖は治ると言われています。
しかし間違った治療法では一時的に症状を悪くさせてしまったり、時間を必要以上に要する事になります。
ですから、専門家に診断をしてもらい、相談しながら適切な治療を進める事も大切です。
適切な処方のもと薬物の服用も考慮
薬物療法に対してネガティブな考えや副作用などを心配する方もいますが、適切な処方で服用するのであれば心配はありません。
ただし、医師の指示に従い正しく服用することが大切です。
周りからの理解と協力
閉所恐怖症を恥ずかしいことではありませんし、一人で悩むことは、病状をさらに悪化させる原因になります。
周囲の方に閉所恐怖症である事を伝え、症状が現われる可能性のある状況や場所では家族や友人に助けを求めて下さい。
共に助け合うのが家族であり、友人なのですから、周りの理解を求める事も大切です。
まとめ
- MRIでの閉所恐怖症への対策はあるので、検査前に閉所恐怖症である事を伝えておく事は大切である
- オープンMRIとは、閉所での恐怖感を与えずに診察を行えるタイプのものである
- 睡眠薬や麻酔などを使用してまでMRI検査を受ける必要があるかは、担当の医療スタッフとよく話し合うべきである
- 閉所恐怖症とは、閉ざされた狭い空間や場所に身を置くことに極度の恐怖を感じる症状のことだが、克服することは可能である
閉所恐怖症だから、MRI検査に対して大変な恐怖感を懐いている方や検査自体を拒否されている方も多いと思います。
しかし、今回ご紹介しました様に、閉所恐怖症の方のために色々な対策やオープン型MRIも導入されています。
ですから、まずはお受けになる医療機関の設備や方針をしっかり確認され、不安事項を取り除いて検査に臨まれて下さい。
また、閉所恐怖症は克服できますので、諦めずにご自分を信じて前向きに治療に専念することも大切です。