年齢を重ねると共に、お肌の老化も気になってくるものですね。
特に女性においては、お肌のお手入れに余念がない方も多いと思います。
しかし、いくら完璧なお肌のケアをしても、それに伴わない結果を目の当たりにしてしまう事もあるのではないでしょうか。
それは、お肌の老化には紫外線や生活習慣のほかに、遺伝的な体質も関係していると考えられているためかもしれません。
今回は、肌の老化に関する遺伝子検査でわかること・わからないことについて、中立的な立場で整理します。
先に結論:肌の遺伝子検査は「傾向」を示すもので、診断ではありません
- 肌の老化の遺伝子検査は、シワ・シミなどに関連するとされる遺伝子の個人差を調べ、傾向として示すものです
- 日本人類遺伝学会は、一般市民向けの遺伝子検査の多くについて、結果の解釈や有用性が科学的に確認されていないと指摘しています(2010年見解)
- 検査を受けても、シワやシミを防げると断定できる根拠は確認できません。紫外線対策や保湿などの基本のケアが土台になります
- 費用は検査機関で差があります。申し込む前に、検査の根拠・結果の説明・遺伝情報の取り扱いを確認しましょう
遺伝子検査で肌の老化がわかるの?

以下に、検査項目として紹介されることが多い遺伝子の例をご紹介します(肌の老化との関わりが報告されているとされる遺伝子ですが、個人の結果が肌の状態を決めるわけではありません)。
*MMP1遺伝子
この遺伝子は、コラーゲンを分解する酵素(MMPー1)の活性に関しています。
MMP1遺伝子のタイプによって、コラーゲンの分解されやすさが異なる可能性があるとされ、その結果、お肌のハリや弾力、シワのできやすさに関わると説明されています。
*ASIP遺伝子
この遺伝子は、メラニン色素の合成にかかわるASIPの働きに関しています。
ASIP遺伝子のタイプによって、紫外線からお肌を守るメラニン色素の合成に違いがあり、シミのできやすさに関わると説明されています。
*GPX1遺伝子
これは、有害物質フィルター遺伝子です。
肌老化に影響を与えてしまう有害物質の解毒に関する遺伝子とされます。
* SOD2遺伝子
これは、ストレス代謝遺伝子です。
肌老化に影響を与える活性酸素の除去に関する遺伝子で、この 活性酸素は、MMP-1酵素を活性化させ、コラーゲンの質に影響を与えるとされています。

遺伝子検査のもうひとつの例として、乳がんの遺伝子検査(BRCA検査)とは?対象者・保険適用・費用の目安で対象者や費用を解説しています。
遺伝子検査をすれば肌の老化を防ぐことができる?
結論から言うと、検査を受けるだけで肌の老化を防げるわけではありません。
肌に悪い影響を与えてしまう原因は、生活習慣(食事、睡眠、ストレス)や環境要因(紫外線、アレルギー、大気汚染)など色々と挙がります。検査会社は、遺伝子検査で「どのような影響を受けやすい肌なのか」を知ることで、お手入れ法を選ぶ参考になると説明しています。
ただし、検査の結果に合わせたお手入れによって、実際にシワやシミが減る・防げると示した公的な資料や学会の資料は見当たりません。日本人類遺伝学会の見解(2010)では、一般市民向けの遺伝子検査について、事業者に科学的根拠を説明する責任があるとされています。

肌老化遺伝子検査キットってどんなことをするの?
どのメーカーの検査キットでも大体以下のような物が送られてくるようです。
・検査同意書
・検査申込書

1、検体を採取するための綿棒で、頬の内側を左右10回ずつぐらい擦ります。
食べ物や飲み物が残った状態で採取すると、正確な結果が出ない事もある様ですので、
口の中が清潔な状態で行う事が大切です。
そして、採取後は綿棒をよく乾かす事もお忘れなく。
2、次に、返信用の封筒に、検体採取した綿棒、同意書、申込書を同封して送付するだけです。
3、結果は、2週間から3週間後に郵送されてきます。
その際、結果に対してお肌のお手入れ方法やおすすめの美容品、サプリメント、食べ物などのアドバイスも同封されるようです。

肌老化遺伝子検査にかかる費用は?

気になる検査の費用ですが、検査機関(メーカー)により違いがあります。
この記事を書いた当時は、安い物で約6千円ほど、高額なもので約1万9千円ほどの例がありました(目安であり、現在の価格や内容は検査機関でご確認ください)。
検査後のアドバイスの内容は、検査機関によって、結果の説明のみのシンプルなものから、化粧品やサプリメントの紹介を含むものまでさまざまなようです。申し込む前に、検査の目的や、検査後の勧誘の有無を確認しておくと安心です。
検査をされる前に、検査の根拠や内容を比べて、納得できるものを選ぶことが大切です。
最後に
生まれ持った遺伝子の配列そのものは基本的に変わりませんが、検査項目の意味づけや解釈は、その後の研究によって見直されることがあります。日本人類遺伝学会の見解(2010)でも、検査が依拠する論文が、その後の研究で結果が否定されたり再現されなかったりしていないか、事業者が確認し続ける必要があるとされています。
また、検査には頬の内側の粘膜などから採った個人の遺伝情報が使われます。検体や結果の取り扱い、保管、廃棄の方法を、同意書でよく確認してから申し込みましょう。
これまで色々なお肌のお手入れ方を試されても思ったような効果が得られていない方は、検査を一つの参考にしつつ、日焼け止めや保湿などの基本のケアを続けることが大切です。シミやほくろが急に大きくなる、形がいびつ、出血するなどの変化があるときは、皮膚科を受診してください。
よくある疑問
Q. 遺伝子検査でシワやシミの原因がわかりますか?
A. 肌の老化は、紫外線や生活習慣など多くの要因が関わります。遺伝子検査は、そのうち遺伝的な傾向の一部を調べるもので、原因を特定するものではありません。
Q. 検査は病院で受けられますか?
A. 肌の遺伝子検査の多くは、医療機関を通さずに事業者が提供するものです。病気の診断で行われる遺伝学的検査とは位置づけが異なります。気になる肌の症状がある場合は、皮膚科で診察を受けましょう。
Q. 一度調べれば、再検査は要りませんか?
A. 遺伝子の配列自体は変わりませんが、結果の解釈は研究の進展で変わることがあります。再検査が必要かどうかは検査機関に確認してください。
参考:日本人類遺伝学会「一般市民を対象とした遺伝子検査に関する見解」(2010)

