上の血圧はそんなに高いわけではないのに、下の血圧が90近くあるんだけど…。

高血圧治療ガイドラインでの高血圧の基準は、上の血圧(収縮期)が140mmHg以上、あるいは下の血圧(拡張期)が90mmHg以上とされています。

上の血圧は正常値におさまっているのに、下の血圧だけが90以上の方もいます。
これも立派な高血圧になります。

では、なぜ血圧の下が高くなってしまうのでしょう。

  • 考えられる原因
  • 対処法や治療方法

など、今回は下の血圧が高い場合の原因についてまとめました。


下の血圧が高い場合の原因は?

下の血圧が高いのは、どんな原因が考えられるのでしょうか?
  • 肥満
  • 塩分の摂りすぎ
  • 糖尿病の人
  • 年齢的に若い

 

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肥満、いわゆる太り過ぎの人は食べる量や質に問題があることが多く、また必然的に塩分も摂りすぎる傾向にあるんです。

また糖尿病の人は糖尿病でない人よりも高血圧になるリスクが高いとされていますが、合併症として高血圧を発症した場合に下の血圧が高くなりやすいことがわかっています。

高齢者の高血圧は上の血圧(収縮期血圧)が高くなりますが、比較的若い高血圧患者の人に下の血圧が高い、という状態がみられます。

なぜ肥満・糖尿病・塩分摂り過ぎで下の血圧が高くなるのか?

ここはちょっと難しい話になりますので、興味のある方だけ読んでください。

血圧を上げる因子にはいくつかありますが、下の血圧は、抵抗細動脈と呼ばれる直径200μm程度の細い血管が締まる(収縮する)ことによる全身血管抵抗が上昇した時に上がります。

high DBP figure1

もちろんこの時、上の血圧も上がるのですが、下の血圧がより大きく上がります。

糖尿病・肥満の人は、インスリン抵抗性があり、血中のインスリン濃度が高い傾向にあります。

インスリンが高くなると、腎臓でのNa(ナトリウム)の血中への再吸収が増加します(塩分の過剰摂取も同じ機序です)。

Na(ナトリウム)は水を引き連れて動きますので、循環血漿量が増加することになります。

循環血漿量が増加すると、

  • 持続的高血圧
  • 夜間高血圧
  • 早朝高血圧

といった病態を引き起こすと同時に、相対的に全身血管抵抗が上昇します。

結果、下の血圧(拡張期血圧)が高くなるのです。

図で表すと以下のようになります。

high DBP figure2

比較的若い高血圧患者の人に下の血圧が高いということですが、高齢者ではこうはならないのですか?
高齢者の場合を説明します。

高齢者の血圧上昇の特徴は?

高齢者の場合は、加齢などにより動脈硬化が進行します。

動脈硬化により大動脈が硬くなります。

大動脈の硬さ(stiffness)が増すと、上の血圧(収縮期血圧)を上がり、下の血圧(拡張期血圧)を下がるようになります。

ですので、下の血圧(拡張期血圧)が上昇するということは通常比較的若い人であり、上の原因に当てはまる人に起こります。

下の血圧が高い場合の治療は?対処法は?

下の血圧が高いからといって、すぐに薬が処方されるわけではありません。

降圧剤を服用すると、正常である上の血圧が下がりすぎてしまうこともあるからです。

まずは、生活習慣の見直しから始めてみましょう。

肥満気味の人は・・・

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  • 食事
  • 運動

まずは食事を見直しましょう。
量もそうですが、献立の改善も大切です。

減塩が基本ですが、それが無理だという人には塩分を体から排出させる食事を心がけたいですね。

カリウムを多く含む食材は、血液の中のナトリウム(塩分)を尿と一緒に排出してくれる効果があります。
積極的に献立に取り入れたいですね。

カリウムを多く含む食材については『高血圧での食事、積極的に摂りたいカリウムとは?』をご参照ください。

運動については、ウォーキングやジョギングなど1日30分程度の有酸素運動を継続するようにしましょう。

塩分を摂りすぎている人は・・・

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まずは減塩!

高血圧の人は1日の塩分摂取量6gを目標にします。

意識しないでいると、1日12〜13gは塩分を摂ってしまっています。
外食やコンビニ食はどうしても塩分を摂りがちになってしまいます。

調味料や料理に大体どれくらいの塩分が含まれているか知ることでも、意識を高めることにつながりますよ。

糖尿病の人は・・・

高血圧の基準は、140/90以上となっていますが、糖尿病の人の場合は、上の血圧(収縮期)が130mmHg、下の血圧(拡張期)が80mmHg未満が理想とされています。(家庭で測る場合は125/75未満を目標に)

逆に、糖尿病の人はここまでの降圧目標を定めなければ、糖尿病でない人よりも動脈硬化などにつながるリスクが何倍も高いのです。

まずは3ヶ月を超えない期間、生活習慣の修正から降圧を試みることとしますが、その期間を超えても血圧が下がらない場合は、降圧剤を用いることもあります。

血圧の下が高い場合、注意したいことは?

下の血圧が高い場合にも上の血圧が高い場合と同様に、動脈硬化が進行しようとしていると考えなければいけません。

なぜなら、まだ心臓から送り出される血液が血管内に流入していないのにもかかわらず、血管が圧力を受けて詰まり気味の状態と同じになるためです。

血圧の下が高い時の症状については、『血圧の下が高い場合に出る症状とは?薬は必要?』をご参照下さい。

動脈硬化は、脳卒中脳梗塞心筋梗塞といった命にかかわる病状の原因になるものです。

また、血圧の下が高い場合には早朝や夜間においても高血圧の状態であることがあることがわかっています。
特に夜間高血圧は発見するのが難しい上に、治療が必要な高血圧になります。

ですから、血圧の下が高い状態を甘く見ないようにしたいですね。

血圧の上は正常、下だけ高い場合も高血圧?

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冒頭でも述べましたが、下の血圧だけが高い場合も高血圧であるといえます。

高血圧とは一般的には、血圧の上の数値に注目してしまいがちですよね。

しかし、たとえ上が正常であったとしても、下の数値が高い場合には、高血圧の状態なのです。

参考文献:高血圧治療ガイドライン2014 P10.11.23.24.37.39
薬に頼らない高血圧の正しい下げ方 P20.21.36.48.49

最後に

下の血圧が高い原因についてまとめます。
  • 下の血圧が高くなる原因は主に、(肥満)(塩分の摂りすぎ)(糖尿病の人)(年齢的に若い)この4つが考えられる
  • 食事、運動、減塩など生活習慣の見直しから始める!
  • 下の血圧だけが高い場合も立派な高血圧

 

血圧の上が正常だったとしても、下が高い場合は拡張期高血圧と呼ばれる高血圧なので注意したいですね。

日頃の生活を見直しを始め、他にもストレス睡眠不足喫煙飲酒の量・機会が多い等があれば、改善する努力が必要です。

血圧の下が高いのは動脈硬化が進行しようとしている恐れがあるからですね。

ですから、血圧の下が高い状態を安易に捉えず、生活習慣を見直してみませんか。




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