心臓MRI検査のうち、瘢痕や梗塞の描出に優れている撮像法に遅延造影があります。

今回はこの心臓MRI検査における遅延造影検査についてまとめてみました。

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遅延造影検査とは?

正常な心筋の場合、ガドリニウムというMRI造影剤を注入すると、速やかに造影され、洗い出し(wash out)されます。ところが、瘢痕や梗塞に陥った心筋には、造影剤が残ってしまいます。これを利用したのが遅延造影です。delayed enhancement5

具体的には、ガドリニウム造影剤を投与して10-15分後に撮影します。この間に正常な心筋の造影剤は洗い出し(wash out)されます。正常な心筋の染まりをゼロにするのが重要です。

この検査のメリットは、検査時間が短いということ、薬剤の負荷の必要がないということです。

遅延造影MRIの適応は?

遅延造影MRIの適応疾患ですが、

  • 虚血性心疾患:心筋虚血(狭心症)、心筋梗塞
  • 心筋症:肥大型心筋症、拡張型心筋症、不整脈源性心筋症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、薬剤性心筋症など
  • 心筋炎
  • 心臓腫瘍
  • 心膜炎

などがあります。

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遅延造影のパターンからわかる疾患とは?

もちろん大事なのは臨床症状で、症状ありきですが、その上で、遅延造影のパターンからどのような心疾患が疑わしいかある程度診断することができます。

適応疾患は大きく、虚血性心疾患かそうでない非虚血性心疾患に分けることができます。下の模式図はいずれもKaramitsos et al. JACC 54;1407-24,2009を引用改変しています。

虚血性心疾患の場合

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このように虚血性心疾患の場合、心筋梗塞は内膜下から進行していくのが特徴で、遅延造影においてもその様子を描出することができます。

非虚血性心疾患の場合

中層優位に遅延造影を認める疾患

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拡張型心筋症、肥大型心筋症、右室負荷、サルコイドーシス、心筋炎などにおいて中層優位に遅延造影を認めます。

外膜側優位に遅延造影を認める疾患

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サルコイドーシス、心筋炎で外膜側優位に遅延造影を認めます。これらはともに中層優位に認めることもあるので、サルコイドーシス、心筋症は中層優位〜外膜側優位に遅延造影を認める疾患として分類しておきましょう。

全内膜下に遅延造影を認める疾患

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アミロイーシス、心移植後で、全内膜下に遅延造影を認めます。

遅延造影がなぜ注目されているのか?

一つは上のように、遅延造影されるパターンから、心疾患を診断できることがあるという点です。心内膜優位なのか、外膜優位なのか、あるいは中層優位なのか、これらが判別できるのは、遅延造影MRIの空間分解能が高いからに他なりません。

これまでのシンチグラフィでは、全層に及ぶような梗塞ならば診断できますが、このような細かな判別はほとんどできません。

また、心筋梗塞において、遅延造影は、予後にも大きく関与します。遅延造影される壁が厚いほど、心筋のviabilityは低くなり、50%以上の壁厚の遅延造影では心筋viabilityがないという報告(Kim et al.NEJM 2000;343:1445-53)もあります。

虚血性心疾患だけでなく、拡張型心筋症、心サルコイドーシスにおいても、遅延造影はのちの心血管イベントに関与していると報告されています。遅延造影される範囲が広いほど予後が悪くなるのです。

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