「鼻の骨が折れたらどうなるのでしょうか?」

顔面の骨の骨折で最も多いのが、鼻の骨が折れる、いわゆる鼻骨骨折(読み方は「びこつこっせつ」英語では、Nasal fracture)です。

「鼻をへし折る」という言葉もあるように鼻の骨が折れる頻度は多いのです。

鼻骨骨折の原因としては、スポーツ外傷や、人に殴られたり、交通外傷など、何らかの衝撃が鼻骨に加わることが挙げられます。

何かに鼻をぶつけたり、殴られた後、もしかしたら鼻の骨が折れているかもしれない!と思った場合、

  • 何科を受診すればいいのか?
  • 症状はどういったものがあるのか?
  • 判断・診断はどのようにするのか?
  • 治療はどうするのか?放置したらどうなるのか?

気になることがたくさん出てくると思います。

今回はそんな鼻骨骨折について実際の図やCT画像を用いて徹底的にまとめました。。

鼻の骨が折れたかもしれない!何科を受診すればいい?

鼻骨骨折があるかもしれないときは、次の科を受診しましょう。

顔面の骨の骨折や外傷は基本的には、

  • 形成外科
  • 耳鼻咽喉科

を受診するようにしてください。

ただし、頬の骨なども折れている可能性がある場合は、耳鼻咽喉科の範囲外となることがあるので注意が必要です。

夜中など病院が通常に空いていない場合で、鼻血(鼻出血)が止まらないなどの症状がある場合は、週明けの診察を待ってから受診というわけにはいきません。

その場合は、近くの救急指定病院に問い合わせて、対応できるかを聞いてみましょう。

なかなか対応してくれる病院が見つからない場合などは、救急に電話して、耳鼻咽喉科、形成外科の先生が当直している病院や、いない場合は初期対応をしてくれる病院を教えてもらうのが良いでしょう。

鼻骨骨折の症状は?

鼻骨骨折の症状には以下のようなものがあります。

  • 鼻の痛み
  • 鼻の変形
  • 鼻の腫れ
  • 鼻血(鼻出血)
  • 鼻づまり(鼻閉)

鼻の腫れや鼻づまりは3時間以上経過してから出てくることあります。

鼻の変形には2種類!判断にも使える!

また鼻の変形には大きく2種類あります。

つまり、鼻が外傷を受ける方向により、変形具合が異なるということです。

  • 鼻が横から外傷を受けた場合:鼻すじが斜めに曲がる斜鼻型(lateral type)
  • 鼻が正面から外傷を受けた場合:鼻の付け根が陥没する鞍鼻型(frontal type)

の2種類です。

鼻すじが斜めになる斜鼻型のほうが頻度が高く、特に骨が薄い鼻骨の尾側部(足側)に多いとされます。

一方で、鼻の付け根が陥没する鞍鼻型は、より外傷の力が強い場合に起こりやすいとされます。

 

鼻骨骨折の判断・診断方法は?

鼻が折れているってどうやって判断・診断は、もちろん見た目でわかることもありますが、軽い骨折の場合はわからないことが多いです。

診断は一般的にCT検査にて行います。

CT検査で

  • 鼻骨骨折の有無
  • 鼻中隔の骨折の有無
  • 鼻骨や鼻中隔の彎曲の有無
  • 粘膜の腫れの有無
  • 血腫の有無

などを評価することができます。

特に鼻中隔血腫は、放置しておくと鼻中隔に穴が開いたり(鼻中隔穿孔)、壊死を起こすことがあるので注意が必要で、早期に血腫を取り除く処置が必要とされます。

さらに注意点として、鼻骨には鼻骨上顎縫合という線があり、これを骨折と誤診しないように注意が必要です。

鼻骨骨折のCT画像7選

では実際の鼻骨骨折のCT画像を見ていきましょう。

症例 30歳代女性 外傷

鼻骨の両側の骨折及び軽度の陥没あり。

鞍鼻型(frontal type)の鼻骨骨折と診断されます。

ここで注意点としては、この症例で認める鼻骨上顎縫合(上の黄色の矢印)は骨折線ではないということです。

これを骨折と診断しないように注意しましょう。

症例 10歳代男性 外傷

鼻骨の両側の骨折及び陥没を認めています。

鞍鼻型(frontal type)の鼻骨骨折と診断されます。

さらに冠状断像において鼻中隔の骨折を認めています。

鼻中隔が左側に偏位しています。

症例 40歳代男性 外傷

鼻骨右側に骨折線を認めており、左側へ偏位を認めています。

斜鼻型の鼻骨骨折です。

症例 50歳代男性 外傷

鼻骨右側に骨折線を認めています。

斜鼻型の鼻骨骨折です。

症例 20歳代男性 外傷

  • 鼻骨根部両側に骨折線
  • 鼻中隔に骨折線

矢状断像で見ると次のようになり、鼻骨根部に骨折線を確認できます。

症例 10歳代女性  外傷

鼻骨右側に骨折線を認めています。

斜鼻型の鼻骨骨折です。

症例 10歳代男性  外傷

鼻骨右側に骨折線を認めており、左側への偏位があります。

さらに鼻骨の左側にも骨折線があります。

斜鼻型の鼻骨骨折です。

鼻骨骨折の治療は?

治療は、受傷後どれだけで受診したかなどにもよって異なります。

受傷後3時間以内の場合

受傷後3時間以内の場合は、腫れが強くないケースが多く、この時に専門科を受診することができれば、

  • 指や骨膜剥離子、ワルシャム鉗子を鼻に入れて矯正(整復)する。
  • その後、鼻内にタンポンを挿入し固定する。

方法(非観血的整復)がとられます。

ただし、骨が折れていても、骨の転位が軽度であれば、様子を見られることもあります。

受傷後3時間以上経過している場合

3時間以上経過すると一般的に腫れ(浮腫)が強いことが多く、この場合、鉗子が鼻に入らず治療をすることができません。

基本的に命に関わる骨折ではないのでその場合は

  • 数日後に再評価し、受傷後5−10日で鉗子により整復される

ことが多いです。

縫合したり、ワイヤーを埋め込んだりとする観血的整復が行われるのは、

  • この治療でうまくいかなかった場合。
  • 放置して変形治癒した場合。

のみであり、一般的には、整復で治療します。

 

最後に

鼻に外傷を受けて、明らかに鼻の形が変わっている場合は、整復治療が必要な鼻骨骨折の可能性が高いです。

その場合、当日(できるだけ早い)の整復がより望まれます。

鼻骨骨折を放置して、整復が遅れるとそのままの形で治癒してしまいます(受傷後1-2週間で癒合すると言われています)

その場合は速やかに該当科もしくは救急外来を受診しましょう。

また、強い衝撃を受けた場合は、鼻の骨が折れただけではなく、

  • 他の顔面の骨が折れる(鼻骨骨折は単独骨折が多いのが特徴ですがそれでも15%に他の骨折を合併すると言われています。)
  • 頭の中に出血を起こしていたりする

場合もありますので、何かおかしいと思えば受診するようにしましょう。

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