脳梗塞には大きく

  • 心原性脳梗塞
  • アテローム血栓性脳梗塞
  • ラクナ梗塞

の3種類に分けられます。

今回取り扱う脳梗塞のBADタイプ(bad type)少し特殊な脳梗塞です。

アテローム血栓性脳梗塞に分類されるのですが、血管はラクナ梗塞が起こる血管(深部穿通動脈)であるためです。

今回はBADタイプ(読み方はそのまま、ビーエーディー)の脳梗塞について、図や実際のMRI画像、さらにはそれらを動画にしてまとめました。

BADタイプの脳梗塞とは?

BAD型脳梗塞とはBranch-atheromatous disease 型脳梗塞の頭文字を取ったもので、日本語にすると分枝粥腫病型の脳梗塞ということになります。

すなわち、深部穿通枝(の起始部)に動脈硬化(粥腫形成)が生じるタイプの脳梗塞ということができます。

深部穿通枝はその末梢でラクナ梗塞が起こる動脈です。

また動脈硬化(粥腫形成)はアテローム血栓性脳梗塞の原因となります。

つまり、本来ラクナ梗塞が起こる血管に、アテローム血栓性脳梗塞が起こるのがBAD型脳梗塞です。

ただし、ラクナ梗塞とは梗塞が起こる場所が異なります。

すなわち、

  • BAD型脳梗塞は深部穿通枝の起始部が閉塞して起こる梗塞
  • ラクナ梗塞は深部穿通枝の末梢が閉塞して起こる梗塞

という違いがあります。

起始部が閉塞すると、末梢が閉塞するラクナ梗塞よりも梗塞の範囲は当然広くなり、症状も重症です。

ラクナ梗塞は症状が現れない無症候性のものもありますが、BAD型脳梗塞の場合は、発症時に症状が増悪しやすい傾向にあります。

BADタイプの脳梗塞のMRI画像所見は?

BAD型脳梗塞の好発部位は

  • 基底核〜放線冠(レンズ核線条体動脈領域)
  • 橋(傍正中橋動脈領域)

の2カ所が挙げられます。

基底核〜放線冠(レンズ核線条体動脈領域)のBAD型脳梗塞の画像所見

MRIの拡散強調像において、基底核〜放線冠へと連続する通常の5-7mm程度のスライス厚横断像で3スライス(1.5cm以上)に渡る梗塞巣が見られるのが特徴1)です。

症例 60歳代男性 右上肢運動障害

レンズ核線条体動脈領域のBAD型脳梗塞のMRI画像 拡散強調像で高信号

拡散強調像(DWI)の横断像です。

左の基底核から放線冠にかけて3スライス連続する異常高信号を認めています。

レンズ核線条体動脈領域のBAD型脳梗塞のMRI画像 拡散強調像で高信号

拡散強調像(DWI)の冠状断像では、上下方向に伸びている異常な高信号域を認めています。

左レンズ核線条体動脈領域のBAD型梗塞(分枝粥腫型梗塞)と診断されました。

橋(傍正中橋動脈領域)のBAD型脳梗塞の画像所見

橋では橋腹側面から被蓋方向(背側)へ進展する梗塞巣が特徴的1)です。

症例 80歳代男性 座れない、立てない、呂律困難

橋のBAD型脳梗塞のMRI画像 拡散強調像で高信号

橋腹側面から被蓋方向(背側)へ進展する異常高信号を認めています。

傍正中橋動脈領域のBAD型梗塞(分枝粥腫型梗塞)と診断されました。

BADタイプの脳梗塞の治療は?

同じ血管に生じる梗塞ではありますが、BAD型脳梗塞はラクナ梗塞とは異なり、アテローム硬化(粥腫形成)が原因で脳梗塞が起こるため(発症機序が異なるため)、治療法もアテローム血栓性脳梗塞に基づきます。

BADの注意点

BAD型脳梗塞は、あくまで1つの深部穿通枝領域に限局するものです。

複数の深部穿通枝領域に広範に生じる梗塞は、線条体内包梗塞(SCI:striatocapsular infarction)と呼ばれ、中大脳動脈M1が一過性に塞栓性に閉塞して生じる梗塞であり、BADとは異なるので注意が必要です2)

最後に

通常の脳梗塞とは少し特殊なタイプであるBAD型の脳梗塞(分枝粥腫型梗塞)についてまとめました。

  • BAD型脳梗塞は、深部穿通枝(の起始部)に動脈硬化(粥腫形成)が生じるタイプの脳梗塞。
  • ラクナ梗塞よりも梗塞の範囲が広く発症時に症状が増悪しやすい傾向にある。
  • 好発部位は、
    中大脳動脈→レンズ核線条体動脈(→大脳基底核〜放線冠を栄養)
    脳底動脈→傍正中橋動脈(→橋を栄養)

という点がポイントなります。

参考になれば幸いですm(_ _)m

参考文献:

1)画像診断 Vol.36 No.2 2016 P150-151
2)ここまでわかる頭部救急のCT・MRI P330-331

 

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