日本でのピロリ菌患者数は3500万人ともいわれ、かなり多くの方が感染しているということがわかります1)。
そして、検査によってピロリ菌に感染していることが判明した場合、除菌治療をおこなうことになるのですが・・・
- どういう方法で行うのか?
- いくらくらいかかるのか?
- 除菌できたかどうか、どうやって判定されるのか?
など、わからないことも多いですよね?
除菌することにより、胃癌など様々な病気のリスクを伴うピロリ菌を退治することが期待できます。
ですが、実際ピロリ菌の除菌とはどのようなものか、気になりますよね?
そこで今回は、ピロリ菌の除菌について
- 方法
- 費用
- 飲み方
- 飲み忘れ
- 判定
- 除菌後
など、気になる全てを徹底的にまとめましたので、参考にされてください。
ピロリ菌の除菌方法は?
除菌は、1回おこなえばそれで終わりと思っていませんか?
もちろん、1回で除菌できる方も多くいますが、中には1回の除菌ではうまく効果が発揮できず、2度おこないやっと効果が発揮できるという方もいます。
一次除菌法
初回でおこなう除菌方法には、胃酸の分泌を抑える胃薬と、2種類の抗生物質を合わせた3つのお薬が用いられます。
この3種類の薬を、1日2回、1週間服用することでピロリ菌の除菌が可能となるのです。
治療の際に使用される薬をご説明します。
胃酸の分泌を抑える胃薬
- ランソプラゾール(タケプロン)
- オメプラゾール(オメプラール・オメプラゾン)
- ラベプラゾール(パリエット)
- エソメプラゾール(ネキシウム)
- ボノプラザン(タケキャップ)
などがあります。
2種類の抗生物質
- クラリスマイシン(クラリス・クラリジット)
- アモキシシリン(アモリン・パセトシン・ワシリン・ワイドシリン・アモキシシリン・アモペニキシン)
などがあります2)。
この一次除菌法によって、約70~80%の人が除菌に成功するといわれています。
二次除菌法に入る前に、こちらの記事を参考にされて下さい。→ピロリ菌除菌の失敗原因は3つ!効果UPのためにはコレ!
二次除菌法
一次除菌法が失敗に終わり、ピロリ菌を完全に除菌できなかった場合、二次除菌法がおこなわれます。
二次除菌の方法は、一次除菌の時に使用したお薬を変更しておこなうことになります。
その際、一次除菌から最低でも3〜6ヶ月程、期間をあけることも必要です。
服用の仕方は、一次除菌法と同様、1日2回1週間になります。
二次除菌法では約90%の人が除菌に成功する、というデータがあります3)。
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ピロリ菌の除菌の費用は?保険適用ある?
費用は、保険が適用されるかどうかによって変わってきます。
ピロリ菌除菌保険適用の条件
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さん
- 胃MALTリンパ種の患者さん
- 特発性血小板減少性紫斑病の患者さん
- 早期胃がんで内視鏡治療が済んだ後の患者さん
- 内視鏡検査でピロリ菌による慢性胃炎と診断された方
上記の場合、保険適用で除菌治療が受けられます。
ただし、慢性胃炎と診断されるまでの内視鏡などの検査については、保険適用にはなりません。
上記以外、例えば以下のような場合には、内視鏡検査でまず胃の状態を検査するところから始めなければいけないのです。
- 健康診断などで、ピロリ菌陽性と言われたので除菌したい
- 胃がん予防のためにピロリ菌がいれば除菌したい
そのため、診察代や内視鏡代に加えてお薬代などで合わせて、約2万円ほどかかる計算になります。
お薬は処方される薬局によって多少価格は異なることがありますが、自費で約6,000円くらいになりますので、保険適用がされた場合その2~3割で済むということになりますね。
ピロリ菌除菌薬の飲み方は?
除菌薬は、決められた通りに飲まないと除菌の成功率が下がることがわかっています。
1日2回、7日間忘れずに服用するようにしましょう。
中途半端に飲んでしまうと、除菌に失敗するばかりか、お薬に対して抵抗力を持ったピロリ菌(お薬が効かない)があらわれる場合があります。
ピロリ菌除菌薬を飲み忘れた場合どうすればいい?
処方されたお薬を、決められたとおり服用することでピロリ菌除菌の成功率が上がるわけですが、うっかり飲み忘れるということもあります。
- 飲み忘れた場合は気付いた時に服用
- 次の服用時間まで5時間以上あいているか確認
- 5時間ない場合は、その分は忘れて次の分から通常通りに戻す
- 間違っても2回分一緒に服用することは避ける
中にはこの飲み忘れが原因でうまく効果が発揮されないこともありますので、くれぐれも飲み忘れには注意し、自分で量や時間を調整するのではなく、医師や薬剤師の指導を守りましょう。
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ピロリ菌の除菌ってどうやって判定する?
ピロリ菌の除菌成功率は、100%ではありません。
失敗する場合もありますので、除菌できたかどうかの判定は重要になります。
1週間の除菌薬の服用が終わった後、4週間以上経過した方に対しておこなう判定方法として、内視鏡検査よりも簡単かつ精度の高い尿素呼気試験がすすめられています。
胃の中のピロリ菌感染を調べる検査で、検査薬を服用する前と後の呼気を集めて診断します。
除菌できていなかった場合は、菌が持つウレアーゼという酵素により尿素はアンモニアに分解され、服用した検査薬は二酸化炭素となって呼気中に多く検出され、除菌できた場合には検出されません。
除菌後には症状はなくなるの?
除菌前に胃になんらかの症状が出ていた人は、その症状がまったく出なくなった、緩和されたとの報告もあります。
私の場合ですが、5年前にピロリ菌の除菌治療をおこないました。
それまで、キリキリする胃の痛みや胸焼け、不快感などがしょっちゅう出ていたのですが、除菌後はうそのように出なくなりました。
ただし、胃がんなどになる原因はピロリ菌だけではありませんので、完全に症状がなくなる、ということは人によってはないかもしれません。
こちらの記事内に書かれているように、副作用や更なる疾患をともなうこともありますので、参考にされて下さい。
参考書籍:これでわかる ピロリ除菌療法と保険適用 改訂第5版)1)13 2)53 3)55
最後に
ピロリ菌除菌について、ポイントをまとめます。
- 胃酸の分泌を抑える胃薬と、2種類の抗生物質の合わせて3つのお薬を1日2回1週間服用
- 1回目の除菌に失敗したら、3〜6ヶ月空けて薬を変えて同じ方法でもう1週間服用
- 保険適用外だと、診察代や内視鏡代に加えてお薬代などで合わせて約2万円くらいかかる
- 保険適用だと、約6,000円ほど
- 飲み忘れにより除菌失敗となることも
- 飲み忘れたら間隔が5時間空くことを確認して服用
- 間違っても2回分合わせて服用してはいけない
- 服用終了4週間後に尿素呼気試験をおこない判定する
私の場合、健康診断でのオプション「ペプシノゲン検査」の結果が擬陽性だったことを受けて、その結果用紙を持って近くの病院を訪ねました。
念のため、血液検査と胃カメラ受けてください、と言われ、胃カメラ中の検査でピロリ菌に感染していることが判明・・・。
費用は、2万円まではいかないまでもけっこう支払った記憶があります。
その後、除菌治療をおこない胃痛や胃の不快感から解放されたことを思うと、検査・除菌ともに受けておいてよかったと思います。
決められたとおりにお薬も服用しなければいけませんし費用もかかりますが、ピロリ菌に感染していることが判明したなら、私は除菌治療をオススメします。