カロリー制限といえば、ほぼ脂質制限を意味していました。その根拠として、20世紀は糖尿病患者数は脂質摂取量と同じ推移を示していたからです。つまり、食の欧米化に伴い脂質摂取量が増えていき、同じような勢いで糖尿病患者は増えていきました

当然、両者には正の相関関係があると考えられてきたんですね。ところが21世紀になると、脂質摂取は減っているのに、糖尿病患者は増え続けています。

本当に脂質(油)は悪なのでしょうか?

今回は最新の論文を引用して、脂質と糖尿病の関係を見ていきたいと思います。

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糖尿病患者は本当に脂肪を制限した方がいいのか?

当たり前だろ!と少し前まで考えられていたことですが、アメリカ糖尿病学会誌に掲載された低脂質食に関する検討では、

低脂質食にしても脂質が下がらなかった。

と報告しています。

また、

2型糖尿病患者では、中等度の脂質摂取群の方が、少量脂肪摂取群よりも、中性脂肪を大きく減少させた。(Miller M,et al.Circulation 2011,123,2312;2292-2333)

つまり、ある程度脂質をとった方がむしろ、中性脂肪が減ったということです。

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そして、

糖質のカロリーを脂質で摂取することにより、中性脂肪が減少した。(Miller M,et al.Circulation 2011,123,2312;2292-2333)

という報告もされたのです。

つまり、糖質を減らして、油を摂取した方が、むしろ中性脂肪が減ったということです。

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脂質摂取比率が大きくなればなるほど、中性脂肪が減少しやすく、それは健常者よりも糖尿病患者で特に顕著である。(Cao Y,et al.J Clin Lipoidol 2009;3;19-32)

これらでわかるように糖尿病患者は、カロリーを抑えるために脂肪摂取も減らそうとしてきましたが、適度な脂肪は摂取したほうがむしろ中性脂肪は減るということがわかってきたのです。

「脂肪を摂取した方が、脂肪が減る」、だなんてすごく意外ですよね^^;;

しかし、そんなことが最近わかってきたのです。

また日本のデータでは、

 

飽和脂肪酸の摂取量が多かった方が、脳梗塞の発症率が少なかった。(Yamagishi K,et al. Eur Heart J 2013;34:1225-1232))

という報告があります。

もちろん多いと言っても適度な多さ(飽和脂肪酸摂取量20g/日前後)ですが、脂肪の摂取=悪と考えられていたものが根底から靴覆りましたね。

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脂肪ならどんな脂肪でもいいのか?

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脂肪はある程度摂取した方がいいことはわかった。じゃあ、どんな脂肪でもいいのでしょうか?

オメガ3といった魚の脂肪を摂取した方が、死亡率や心筋梗塞などによる冠動脈による死亡を下げる(Marhioilr R,et al.Circulation 2002;105:1897-1903、Saravannp,et al.Lancet 2010;376:540-550)

オメガ6といったナッツの油やオリーブ油を積極的に摂取した方が、油を控えた人よりも心血管イベントが少なかった。(Estruch R,et al.N Engl J Med 2013;368:1279-1290)

という報告があります。

米国糖尿病学会は、脂肪の摂取は量ではなく、質こそが重要であると勧告しています。

脂肪(油)の質についても詳しく考えていく必要がありそうですね。

最後に

糖尿病患者に糖質制限は、むしろ血糖値を上げるという報告が出ており、制限するべきではないというのが新しい常識となりました。これはもちろん健常人にも言える事です。

「油=悪」という時代は終わったということです。

この事実が浸透するまでには時間がかかるかもしれませんが、数十年前まで考えられていた当然のことと、全く逆のことが実は真実だったということですね。

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