肺アスペルギルス症は肺に発生する真菌症の中で最多であり、空気中に浮遊するアスペルギルス(Asperigillus)という真菌が原因となります。そして、感染した人の免疫能により様々な病態をきたします。

そこで今回はこの肺アスペルギルス症について原因から分類、症状、検査、治療までまとめました。

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肺アスペルギルス症の原因は?

この真菌に感染する原因は何でしょうか?
医師
基本的には免疫能が低下した人がかかりやすいとされます。

この真菌は自然環境内に広く存在し、動物の糞や土壌に含まれるほか、空気中に普通に雑菌として浮遊しているため、日常的に私たちはこの胞子を吸い込んでいることになります。

ですので、この真菌が原因で、肺アスペルギルス症を起こす場合、既存の肺構造に空洞などがある人や、免疫能が低下している人に起こる日和見感染症が重要です。

つまり、肺にCOPDや陳旧性の結核などのない綺麗な肺の元気な人には通常は発症しない真菌です。

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肺アスペルギルス症の分類は?

感染した宿主(人)の状態により様々な病型を取り得るのがこのアスペルギルスです。

肺アスペルギルス症としては次のように分類されます。

pulmonary aspergillosis

急速に進行するタイプが侵襲性肺アスペルギルス症です。

侵襲性肺アスペルギルス症とは?

好中球減少や機能低下を主体とした免疫能が低下した人がかかりやすく、高い致死率を示すのが、この侵襲性肺アスペルギルス症です。

侵襲性肺アスペルギルス症は

  • 血管侵襲性
  • 気道侵襲性

の2種類にさらに分けられます。

一方で、慢性的に進行するのが、慢性肺アスペルギルス症(CPA:chronic pulmonary aspergillosis)です。

慢性肺アスペルギルス症(CPA)

陳旧性肺結核や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など肺組織の破壊が基礎に存在するケースが多く、そこにアスペルギルスが感染をきたします。1ヶ月以上の経過をたどりますが、

慢性肺アスペルギルス症には、肺内にできた単一の嚢胞や空洞にアスペルギルスが侵入し、そこで増殖し、真菌球(fungus ball)を形成しますが、非活動性で、手術で治癒が見込める

  • 単純性肺アスペルギローマ(SPA:simple pulmonary aspergilloma)

と、活動性の病変があったり、複数の空洞に及び手術での治癒が望めない

  • 慢性進行性肺アスペルギルス症(CPPA:chronic progressive pulmonary aspergillosis)

に分けられます。

慢性進行性肺アスペルギルス症はさらに、壊死が進行して空洞が形成され、肺組織への侵襲を認める

  • 慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA:chronic necrotizing pulmonary aspergillosis)

と既存の空洞にアスペルギルス感染を起こし活動性病変を伴うが、肺組織への侵襲は認めない

  • 慢性空洞性肺アスペルギルス症(CCPA:chronic cavitary pulmonary aspergillosis)

に分けられます。

chronic pulmonary aspergillosis

さらに気管支喘息などアレルギー疾患を引き起こし、気道の炎症性破壊を伴うのが、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA:allergic bronchopulmonary aspergillosis)です。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

これまで見てきたアスペルギルスとは少し異なり、喘息症状が必ず見られ、アスペルギルスが粘液栓の形で中~細気管支に停留し、その強い抗原刺激のため,Ⅰ,Ⅲ,Ⅳ型アレルギーを生じるものがアレルギー性気管支肺アスペルギルス症です。

症状は、反復する喘息発作、発熱、喀痰などが見られます。

肺アスペルギルス症の検査、診断は?

どのようにアスペルギルス症の診断を行いますか?
医師
アスペルギルスそのものを証明することが確定診断となります。
  • 気管支肺胞洗浄液(BALF)
  • 経気管支肺生検(TBLB)

いずれかにより、病変部位から死守した検体を分離して、培養し、アスペルギルスそのものの存在を同定します。

あるいは、Grocotto染色やPAS染色などで菌糸の存在を証明する事もあります。

 

肺アスペルギルス症の症状は?

症状はどのようなものがありますか?
医師
以下のように様々です。

単純性肺アスペルギローマの場合は、

  • 長期間無症状

の事もありますが、慢性進行性肺アスペルギルス症の場合は、

  • 発熱
  • 喀痰・咳嗽
  • 血痰

という症状をきたしますし、急速に進行するタイプである侵襲性肺アスペルギルス症の場合は

  • 呼吸苦

などの症状を伴う事があります。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の症状は上に述べた通りです。

肺アスペルギルス症のCT画像所見は?

これもタイプによって異なります。ここでは、真菌球(fungus ball)を形成する単純性肺アスペルギローマ(SPA:simple pulmonary aspergilloma)の症例を見てみましょう。

70歳代女性 陳旧性肺結核あり。

pulmonary_aspergillosis002

医師
左肺尖部の空洞に菌球(fungus ball)を認めています。

この症例のCT画像を実際に見てみる。→肺アスペルギルス症のCT画像

肺アスペルギルス症の治療は?

単純性肺アスペルギローマの場合は、根治するためには基本的には手術をしてその部位を切除します。それ以外の場合は、手術ができない場合は、抗真菌薬にて治療をします。

  • ポリコナゾール(VRCZ)
  • イトラコナゾール(ITCZ)
  • ミカファンギン
  • リポゾーマルアムホテリシンB(AMPH-B) など。

参考文献)画像診断 vol.36 No.3 2016 P229-230

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