高血圧の治療には、食事(減塩、節酒)、運動、禁煙による生活習慣の改善がまず行われますが、それでも改善しない場合には薬物療法が必要になります。

というのは、高血圧の状態が続くと、脳血管障害、冠動脈疾患、慢性腎臓病が増加します。収縮期血圧を4mmHg下げるだけで、脳卒中による死亡を1万人、冠動脈疾患による死亡を5000人減らせると言われています。

それくらい、高血圧を改善することは重要であり、生活習慣で改善しない場合は、薬を使ってでも下げた方が良いということです。

  • しかし、どんな時に薬を使うのだろうか?
  • どんな種類の薬があるのだろうか?
  • どんな順番で使うのだろうか?
  • 値段はどうなのだろうか?

など高血圧の薬については疑問も出てきます。そこで今回は高血圧の薬の適応と種類についてまとめました。

Sponsored Link

成人における高血圧の定義と分類

hypertension

医師
まず高血圧の薬の適応を見ていくためには、高血圧の分類を理解する必要があります。

高血圧の定義は、140/90mmHg以上でしたね。(関連記事はこちら→高血圧の基準は?最新のものは?

その上で、高血圧は次のように分類されます。

  • Ⅰ度高血圧 収縮期血圧140-159mmHg かつ/または 拡張期血圧90-99mmHg
  • Ⅱ度高血圧 収縮期血圧160-179mmHg かつ/または 拡張期血圧100-109mmHg
  • Ⅲ度高血圧 収縮期血圧>180mmHg かつ/または 拡張期血圧>110mmHg
  • 孤立性収縮期血圧 収縮期血圧>140mmHg かつ 拡張期血圧<90mmHg
    (高血圧治療ガイドライン2014)

 

医師
ところで血圧が高いことで何が怖いんでしたっけ?

それは、脳血管障害、冠動脈疾患、慢性腎臓病を含めた心血管病が増加することでしたよね。そしてこれらの疾患が増加するリスクは高血圧だけではありません。

心血管病の血圧値以外の危険因子には以下のものがあります。

  • 高齢(65歳以上)
  • 喫煙
  • 脂質異常症
    • 低HDLコレステロール血症(<40mg/dL )
    • 高LDLコレステロール血症(≧140mg/dL )
    • 高トリグリセライド血症(≧150mg/dL )
  • 尿微量アルブミン排泄
  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 肥満(BMI≧25)(特に内臓脂肪型肥満)
  • メタボリックシンドローム
  • 若年(50歳未満)発症の心血管病の家族歴
  • 糖尿病
医師
つまり血圧以外のこれらのリスクも総合的に考えてどれくらい、本当にリスクがあるのかをチェックする必要があるわけです。

病院

高血圧患者のリスクの階層化

医師
すると次のように本当のリスクがわかります。

ここではリスク第1-3層の詳細は省きます。

Ⅰ度高血圧 Ⅱ度高血圧 Ⅲ度高血圧
リスク第1層 低リスク 中等リスク 高リスク
リスク第2層 中等リスク 高リスク 高リスク
リスク第3層 高リスク 高リスク 高リスク

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2014」より引用改変。

これを見て、血圧と血圧以外のリスクから本当のリスクがどの程度なのかを判断します。そしてこれを血圧の治療薬を導入する際に参考にします。

高血圧の薬物治療はいつ開始する?

ようやく本題です。上の表に当てはめると、高血圧の人は、

  • 低リスク群
  • 中等リスク群
  • 高リスク群

に分けられます。そしてそれぞれ血圧に対する治療も異なります。

低リスク群の治療は?

まずは生活習慣の修正を指導します。いきなり薬物治療は行いません。

具体的には

といったことです。それで3ヶ月以内に降圧を計ります。3ヶ月経っても血圧が140/90mmHg以上ならば薬物治療に入ります。

中リスク群の治療は?

こちらも同様に生活習慣の修正を指導しますが、1ヶ月以内に改善なく、血圧が140/90mmHg以上ならば薬物治療に入ります。

高リスク群の治療は?

こちらは少しでも早く血圧を無理にでも下げる必要があり、直ちに薬物治療を開始します。

Sponsored Link

高血圧の薬物治療は?

drug

使う薬剤は、

  • Ca拮抗薬
  • ARB/ACE阻害薬
  • サイアザイド系利尿薬
  • β遮断薬

といった種類があり、どれから使っても構いませんが、βブロッカーは最初に用いる薬にはなりません。ただし、βブロッカーは心不全や心筋梗塞後では良い適応になります。

Ⅰ度高血圧で合併症がない時の薬物治療は?

通常容量よりも少ない単剤(1つの薬)で開始します。

だいたい半錠くらいから始めて3-4週間様子を見て効果がなければ他の薬と併用します。

Ⅱ〜Ⅲ度高血圧あるいはリスクの高いⅠ度高血圧の薬物治療は?

まず、通常容量の単剤(1つの薬)もしくは少量の2剤を用いて開始します。

→それでも効果がない場合は、通常容量で組み合わせを変えます。
→それでも効果がない場合は、3剤、そして4剤へと薬の量を増やしていきます。

ちなみに合剤が最近出てきていますが、最初から合剤を使うのは保険適用外となるので注意が必要です。

どの降圧薬が良いか?

高血圧の薬の値段の差は?

毎日飲むものですので、値段の問題をまず無視できません。

コストの面では

  • ARB>ACE阻害薬>Ca拮抗薬>利尿剤

の順に高くなります。利尿剤やジェネリックが出ている薬は安価ですが、ARBなどは倍くらいの値段がします。

でも高いってことはやっぱり効くんじゃないですか?
医師
そう思いがちですよね。
ARBとACE阻害薬どっちがいい?

しかし、ARBがACE阻害薬よりも降圧に優れているという確実なデータはまだありません。またARBは新しい薬で、エビデンスが少ない一方で、ACE阻害薬はエビデンスが豊富で安全とも言えます。そしてARBよりも安価です。

ですので、一概にどちらが良いということはできないですよね。

Ca拮抗薬はどういうときに使う?

もちろん最初からCa拮抗薬を用いても構いませんが、Ca拮抗薬にはARBやACE阻害薬にはないある特徴があります。

ACE阻害薬やARBは飲み始めてから降圧の効果が出るまでに2週間かかります。一方で、Ca拮抗薬はすぐに血圧が下がります。つまりCa拮抗薬はより早く効果を実感できるということです。

高血圧は自覚症状がない分、つい病院に通わなくなったり、治療を自己中断しがちですが、すぐに効果があれば、続ける意欲にもつながります。

関連記事

参考文献)高血圧治療ガイドライン2014

最後に

高血圧の薬の種類とその使い方について高血圧治療ガイドライン2014に基づいて大まかなところを説明しました。心血管のリスクを総合的に判断して治療を開始することが大事で、ちょっと複雑ですね。

参考になれば幸いです。

Sponsored Link

 

関連記事はこちら