肺炎は大きく細菌性肺炎(定型肺炎)と非定型肺炎に分けられ、マイコプラズマ肺炎は後者の非定型肺炎の代表的な肺炎です。市中肺炎の9〜29%を占め、入院を必要とする市中肺炎の5%を占めます。

今回はそんなマイコプラズマ肺炎について症状から、診断、治療までまとめました。

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マイコプラズマ肺炎の症状は?

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マイコプラズマ肺炎の症状にはどのようなものがありますか?
医師
乾いた頑固な咳が有名ですが、下のような症状があります。
細菌性肺炎 非定型肺炎(マイコプラズマ肺炎など)
症状 咳嗽、喀痰、悪寒、発熱 乾性咳嗽

呼吸器以外の症状(頭痛、神経症状、全身倦怠感、関節痛、消化器症状)

一般検査 白血球上昇 白血球は正常〜やや上昇。

AST/ALTの上昇。

呼吸器以外の症状があるのは意外ですね。
医師
そうですね。非特異的な症状に加えて、白血球が上がりにくいので、なかなか肺炎と診断できないこともあります。

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マイコプラズマ肺炎にかかるのはどんな人?子供もかかる?

マイコプラズマ肺炎は健康な若年者にかかりやすく、5歳〜25歳程度に多いとされます。したがって、子供にもかかります。

ただし60歳以上の方がかかることもあるので、注意が必要です。

マイコプラズマ肺炎の潜伏期は?

潜伏期は2〜3週と言われています。

症状が出始めてから3-5日後に咳の症状が出現し、徐々に増悪して、熱が下がった後も1ヶ月近く咳の症状が続くことがあります。

まさに頑固な咳ですね。

マイコプラズマ肺炎が多い季節は?

秋の終わりころから冬にピークはありますが、年中いつでも発生します。

オリンピックの年に多いと以前は言われていましたが、最近はその周期は関係ないようです。

マイコプラズマ肺炎はうつるの?

マイコプラズマ肺炎の特徴の一つに、

  • 家族内感染
  • 集団感染

が比較的多いことが挙げられます。マイコプラズマは、

  • 飛沫感染:咳やくしゃみにより感染
  • 接触感染:細菌が付着した物品などに触れた手が何らかの理由で口に入ることにより感染

という2つの感染経路で感染します。したがって、マイコプラズマ肺炎はうつるということです。

ただし、マイコプラズマ病原体が体に侵入しても、ほとんどは発症しないで終わります。肺炎を発症するのは、わずか5%程度と言われています。

マイコプラズマ肺炎にかかると出席停止になる?

マイコプラズマ肺炎は、

  • 感染症法:5類感染症に分類。
  • 学校保健安全法:第3種に分類。

されています。

この学校保健安全法の3種というのは、マイコプラズマ肺炎が学校でもしも大流行した場合、校長と学校医とで相談した上で、出席停止措置をとることができるというものです。

個人が感染した場合に法律で出席停止が義務付けられているわけではなく、主治医が感染のリスクが減るまで登校や登園を控えるように助言することがあるという程度のようです。

ただし、学校側は医師の許可が出るまで登校や登園をしないでくれと申し出るようで、実際は、1週間から長い場合は1ヶ月程度休むことが多いようです。

マイコプラズマ肺炎の診断は?

そんなマイコプラズマ肺炎ですがどのように診断しますか?
医師
以下の方法があります。
  • マイコプラズマ抗体の血清免疫反応:確定にはペア血清(感染初期と回復期の血清を比較して4倍以上の上昇が診断基準)
  • 寒冷凝集反応

これに加えて、一般的な採血、さらに補助的に画像診断が行われます。

医師
特にペア血清には時間がかかり、初期の治療には間に合いません。そこで、画像診断による補助診断の意味は大きいとされます。

Laboratory (3)

マイコプラズマ肺炎のCT画像診断の特徴は?子供と大人の違いは?

マイコプラズマ肺炎の画像所見に特徴はありますか?
医師
以下のような特徴があります。

マイコプラズマ肺炎の画像の基本は、

  • 気管支肺炎パターン(細気管支肺炎)

    • 中枢気管支〜細気管支壁の肥厚
    • 細気管支周囲の細葉大のすりガラス影〜コンソリデーション:小葉中心性の結節影
    • 子供の場合は、大人よりもコンソリデーションが強い傾向にある。

です。

症例 30歳代男性

Mycoplasma pneumonia CT findings

医師
胸部CTにおいて左の下葉に小葉中心性の分布を示す結節を多数認めています。気管支壁の肥厚も認めており、マイコプラズマにも矛盾しない所見です。

(抗体検査でマイコプラズマと診断された。)

この症例のCT画像を実際に見てみる→マイコプラズマ肺炎のCT画像所見

ただし、マイコプラズマ肺炎においても、広範なコンソリデーションを呈することはあります。

症例 50歳代

Mycoplasma pneumonia CT findings1

この症例では、右の上葉に広範なコンソリデーションを認めていますね。
医師
ですね。ただし炎症所見が軽微なところでは、小葉中心性の粒状影を認めており、細気管支炎を示唆する所見です。

Mycoplasma pneumonia CT findings2 Mycoplasma pneumonia CT findings3

医師
また中枢側まで気管支壁の肥厚を認めており、気管支炎を伴っていることもわかります。

中枢側まで目立つ気管支壁の肥厚は、比較的マイコプラズマ肺炎に特異的な所見と言われています。これはマイコプラズマが、気道上皮(線毛上皮)に親和性が高いためと言われています。

医師
中枢側の気管支炎が起こるため咳が強いのです。
気道上皮(線毛上皮)に親和性が高い病原体
  • 百日咳
  • マイコプラズマ
  • クラミドフィラ・ニューモニアエ

Mycoplasma pneumonia 4

マイコプラズマ肺炎の治療は?

治療には抗生物質が使用されます。

中でもマクロライド系の抗生物質がマイコプラズマ肺炎には有効とされています。

また、その他にはテトラサイクリン系、ニューキノロン系、ケトライド系の抗生物質も有効とされていますが、子供や妊婦にはテトラサイクリン系、ニューキノロン系は禁忌で使えませんので、マクロライド系の抗生物質を用います。

小児を中心にマクロライド耐性(マクロライドが効かない)のマイコプラズマが増加しています。近年は小児だけでなく、成人においても増えており、耐性の場合は、他の抗生物質を考慮します。

多くの細菌に有効なβラクタム系の抗生剤ですが、マイコプラズマは細胞壁を有していないため、マイコプラズマには効きません。

マイコプラズマ肺炎は重症化することってある?

マイコプラズマ肺炎は健康な若い人にかかりやすいということですが、重症化することは愛rますか?
医師
重症化することはあります。

マイコプラズマ肺炎は自然治癒も多い肺炎ですが、稀に重症化することがあります。特に合併症を伴った場合は重症化することがあります。

医師
合併症は以下の通りです。
  • Guillain-Barre(ギランバレー)症候群
  • Stevens-Johnson(スティーブンジョンソン)症候群
  • 脳炎
  • 横断性脊髄炎
  • 髄膜炎
  • 皮膚紅斑
  • 関節炎

また、肺では、重症の閉塞性細気管支炎の合併やARDSをきたすこともあります。上の2症例目のように広範なコンソリデーションをきたす場合も重症化のリスクがあり注意が必要です。

マイコプラズマは非定型肺炎の代表的なものです。非定型肺炎についてはこちらで詳しく掲載しました。→非定型肺炎とは?細菌性肺炎との違いは?診断から治療まで!

最後に

健康な若年者に多いマイコプラズマ肺炎についてまとめました。頑固な咳が症状としては多いですが、呼吸器以外の症状もきたすことがあるので、肺炎かもしれないと疑うことが診断につながります。

確定診断には時間がかかるので、診断を待たずとして治療を開始します。補助診断としての画像診断も重要であり、特徴的な画像を掲載しましたので、ぜひ参考にしてください。

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