持続勃起症とは、文字どおり、ボッキした状態が持続する疾患です。

単にボッキが持続するだけではなく、陰茎に急激な腫れを認めたり、痛みを伴うことがありますし、静脈閉塞性の場合は、発症後24時間以上経過すると陰萎(インポテンツ)となることがあり注意が必要です。

今回は、持続勃起症について、定義から診断、治療までまとめました。

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持続勃起症(priapism)の定義は?

  • 性的な刺激に無関係である勃起が4(6)時間以上続く場合(射精しても勃起が消退しない。)

を持続勃起症と定義します。

ギリシャ神話の多産と性欲の神であるPriapusからこの名前がつけられました。

医師
持続勃起症では、陰茎海綿体が硬くなりますが、尿道海綿体と亀頭部は柔らかいままです。

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持続勃起症の原因は?

何が原因で勃起が持続するようなことが起こるのでしょうか?

  • 特発性(原因不明) 30%
  • 外傷 10%
  • 近傍臓器の腫瘍 10%
  • 白血病 10%
  • その他(薬物など)

と報告されています。

悪性腫瘍が陰茎に転移することがあり、そうなった場合は、実に4割でこの持続勃起症が起こると言われています。また陰茎に転移する腫瘍は、膀胱癌>前立腺癌>直腸癌の順に多いとされています。

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持続勃起症の分類は?

どうして勃起が持続してしまうようなことが起こるのか?原因は大きく3つに分けられます。

  1. 動脈性(流入過剰型(非虚血性))
  2. 静脈閉塞性(虚血性)
  3. 間欠性

3の間欠性は稀とされます。ですので大きく2つに分かれると考えましょう。

勃起が持続するということは、陰茎の、中でも陰茎海綿体への血流が通常よりも増えた状態が持続していることを意味します。

では、なぜ陰茎海綿体への血流が増えるのか? と考えると、

  • 動脈から何らかの血管奇形ができて陰茎海綿体への血流が増える場合=動脈性(流入過剰型(非虚血性))
  • 陰茎海綿体から血流が出られなくなる状態=静脈閉塞性(虚血性)

の2タイプがあることがわかります。

血流が増えるということは、そもそも流入が増えるか、血流が出られなくなって滞っているの2タイプということですね。
医師
その通りです。緊急性を要するのは、静脈閉塞型(虚血型)です。

静脈閉塞型(虚血型)の場合は、治療に緊急性を要する上に、陰茎の痛みも強い傾向にあります。

一方で動脈型の場合は、陰茎または会陰に対する外傷で起こることが多いとされています。

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持続勃起症の診断は?

持続勃起症の診断には、陰茎の視診や外傷の有無、内服薬など問診が第一であり、それによりまずはこの疾患を疑います。疑った後は、それが動脈性なのか静脈閉塞性なのかにより治療法や緊急度が異なりますので、これらを鑑別する必要があります。その鑑別に用いられるのが、

  • 陰茎海綿体血液ガス検査

です。陰茎海綿体の血液を採取して、その成分が動脈性なのか静脈性なのかをチェックするということです。

陰茎海綿体血液ガス検査の見方
  • 動脈性:02含有量>70mmHg
  • 静脈閉塞性:O2含有量<40mmHg

 

画像診断としては、

  • 超音波検査(エコー)
  • 造影CT
  • 造影MRI

が用いられます。

超音波検査ではカラードプラを用いて血流の流れをチェックします。非虚血性の場合、血管に破綻があり、陰茎海綿体への血流が増大しますので、カラードプラで乱流を見ることができます。

症例 30歳代男性 外傷 MRIダイナミック早期相 矢状断像

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ダイナミックにおいて、恥骨直下に海綿体動脈の破綻を認めており、同部位で海綿体動脈と陰茎海綿体が瘻孔を形成している。動脈性の持続勃起症である。

持続勃起症の治療は?

動脈性なのか静脈閉塞性なのかにより治療は異なります。

動脈性持続勃起症の治療

動脈性の場合、緊急性は一般的にはありません。

血管の奇形や破綻部が同定できれば、血管造影で確認して、そこを詰める塞栓術が行われます。それでも勃起が持続する場合は、繰り返し塞栓術を施行したり、時に手術療法の対象となります。

静脈閉塞型持続勃起症の治療

静脈性の場合、α受容体刺激薬を陰茎海綿体に注射することでまずは勃起の消退を試みます。改善しない場合は、シャント作成手術、海綿体平滑筋麻痺の改善を行います。

最後に

消退しない持続する勃起には大きく2つの原因があり、静脈閉塞型は緊急性を要する疾患です。

静脈閉塞性の場合、原因不明の特発性、薬物の使用などにより起こること、動脈性の場合は外傷により起こることがあるという点をまずは押さえておきましょう。

参考文献)泌尿器科疾患の緊急対応 P206-213

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