CTが出来てから人の体の中は、明瞭に見えるようになりました。
レントゲンなら肺は1枚の写真で、がんを見つけにいかなくてはなりませんが、胸部のCTを撮影すれば、胸部のCT解剖にもあるように、非常に明瞭に肺の中をみることができるのです。

ならば肺がん検診では、誰でもかれでも、レントゲンよりもCTを受けた方が間違いない!と思いますよね?

実はそこに落とし穴があります。今回は、CTによる肺がん検診の有効性についてみていきましょう。

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CTによる肺がん検診の落とし穴とは?

実は肺がんのがん検診は多くの国では行われていません。

CTによる肺がん検診はレントゲンと比較して、より感度が高く今後のがん検診に利用されるべきである。(Lancet.1998 Apr 25;351(9111):1242-5)

と発表されてから、CTによる肺がん検診が急速に進展していくだろうと推定されました。

ところが、肺がん検診をCTで行うと思わぬデメリットもでてきたのです。
まず一つにCTはレントゲンの約100倍被曝します。被曝はがんを誘発します。そんなに頻繁に受けるべき検査じゃないんですよね。がんを見つけるための検診が原因でがんになったら本末転倒ですよね。

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もともと日本では、画像による検査が頻繁に行われる傾向にあります。

人口1000人あたりのX線検査は、アメリカで962回なのに対して、日本では1477回も受けている。その結果、X線検査が原因で発がんしてしまう推定数は世界で日本で最も多く年間7587人と推定される。(Lancet.2004 363;345)

さらに、肺がん検診で明らかな肺がんが見つかる場合もありますが、多くは、

「肺がんが疑わしい」
「肺がんの可能性がある」
「肺がんかもしれない」
「肺がんを否定できない」

こういった肺の結節が見つかるのです。このような場合に、その都度、手術をしてその結節を切除していたら、本来肺がんじゃない人まで手術を受けることになり、合併症が増えることになります。

つまり、肺がんのCTによるがん検診により、病気が作られていったのです。

結果、次のような論文が発表されることになります。

CTによる肺がん検診で、偽陽性率が高くなり、逆に合併症も多くなった。有効性の検証にはRCTにて証明する必要がある。(Lancet.1998 Jul 18;352(9123):235-6)

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CT検査は慎重に

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先ほどX線の被曝が原因でがんが生じてしまうのは日本が世界一と推定されるという論文を紹介しましたが、CTの被曝量は胸部だけでもX線(レントゲン)の100倍といわれますから、CT検査は慎重にならなければなりません。

特に、被曝量は蓄積されていくものですので、若い人は、症状もリスクもないのに頻繁にCT検査は受けてはいけないということです。

もちろん若い人であっても、高度の喫煙者であったり、間質性肺炎などがんを誘発しやすいリスクがある場合は話は別です。

CTによる肺がん検診の今後は?

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その後、CTの精度は上がり、被曝量も以前に比べるとずいぶん抑えられるようになりました。
また見つかった肺結節のフォローや対応についてのガイドラインも作られました。

少ない被曝量で、より「がん」かそうでないかの診断がつけられるようになったということです。

とはいえ、やはりX線(レントゲン)よりもはるかに被曝してしまうことには変わりありません。

若い人や、リスクの少ない人は基本的にレントゲンによるがん検診で良いと考えられます。
若い人やリスクが少ない人はCTがん検診を受けるとしても数年に1度くらいのペースでよいでしょう。

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