PAU ULP Eye-catching image

心大血管の勉強をしていると、大動脈解離や、大動脈瘤などの頁に、PAUとULPという言葉が出てきます。

両方とも壁が欠損しているように見え、一見似ていますが、実は全く異なるものです。

そこで今回は、PAUとULPの違いについてわかりやすくまとめてみました。

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PAUとは?

まずPAUとは何でしょうか?
医師
以下の通りです。

まず、高血圧や脂質異常症などが原因となり、動脈硬化が起こります。

動脈硬化が起こると、動脈の壁内に粥腫と呼ばれるプラークが形成されます。

プラークが破綻した場合、潰瘍が形成されていき、潰瘍が中膜以下に達したものをPAU(penetrating atherosclerosing ulcer)と呼びます。

pau ulp difference

http://www.radiologyassistant.nl/en/p441baa8530e86/thoracic-aorta-the-acute-aortic-syndrome.htmlより引用。

上の図の右側がPAUです。動脈に粥腫が形成され、そこに大きな洞穴のようなものが開いているのがよくわかります。つまり、

  • PAUは動脈硬化がベースにある。

ということがわかります。

そして、このPAUというのは、顕微鏡で診断する病理組織学的概念なのです。

一方で、このあと説明する、ULPというのは主にCT検査における画像所見上の概念です。

医師
つまり、これらの用語は使われる土俵がそもそも違うということです。

PAUの特徴

PAUの特徴は以下の通りです。

  • 発症年齢は70歳以上。
  • 部位は、大動脈球部から下行大動脈に好発し、しばしば多発する。
  • 致死率は5-25%。
  • 治療は、手術療法、保存療法、ステント療法。

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ULPとは?

ではULPとはどのようなものでしょうか?
医師
以下の通りです。

高血圧が主な原因で、大動脈壁の中膜が破綻することにより大動脈解離が起こります。

大動脈解離については、こちらで詳しくまとめています。→【保存版】大動脈解離まとめ!症状・治療・CT画像所見のポイントは?

大動脈解離には、

  • 解離腔が血栓で閉鎖される偽腔閉鎖型大動脈解離
  • 解離腔に血流が残る偽腔開存型大動脈解離

に分けることができますが、この偽腔閉鎖型大動脈解離の血栓のある腔に、血流のある真腔から突出するような構造が見えることがあります。これをULP(ulcer-like projection)と言います。

このULPとは大動脈解離があることが前提となります。動脈硬化の有無は問題にならないのです。そして上に述べたように、ULPとは、主にCT検査における画像所見上の概念です。

aortic dissection3

ですので、CT検査の所見に、「ULPを疑う所見が認められる。」という記述は正しいですが、「PAUを疑う所見が認められる。」という記述は、誤りではありませんが、厳密には、PAUとは病理組織学的概念ですので、ちょっと違うということになります。

最後に

PAU

  • PAUは動脈硬化をベースに起こる潰瘍性病変であり、組織病理学的概念
  • ULPは偽腔閉鎖型大動脈解離に起こる病態であり、画像診断上の概念

という点で異なります。

ただし、これらが区別しにくい場合もありますし、PAUから大動脈解離に進展することも報告されており、厳密には分けることができないこともあり、注意が必要です。これらを一括して急性大動脈症候群(acute aortic syndrome)として取り扱うこともあります。

 

参考)臨床画像 vol.29,No4増刊号、2013 P193

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