がんは痛みなどの症状が出る頃には、神経や骨にがん細胞が浸潤や転移をしている可能性が高いとされ、症状が出てからでは完全に治癒は厳しいのが一般です。

つまり、症状が出る前に発見しないと治癒が見込める可能性が低いということです。

ところが、症状がないと病院を受診しようとは思わないのが普通です。そこで、がんの早期発見に大事なのががん検診です。

とはいえ、がん検診では100%がんが見つかるわけではありません。また毎年受けていたのに見つかった時には手遅れと言われた。そんなこともありえます。

どうしてそんなことが起こるのでしょうか?

実は

  • 進行の早いがんと遅いがんというものが存在するため

です。

症状が出る前に、このようながんを発見するためにはがん検診を受ける必要があります。がん保険に病気なってから入ることはできません。それと同じように症状が出ない前にがん検診を受けなくてはいけません。

では、

  • どのようながん検診を受けるべきなのか?
  • ガイドラインではどの検査が推奨されているのか?

今回はこの点を説明します。


がんには進行が早いがんと遅いがんがある。

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がん検診で見つかるようなサイズになってから、進行した状態(症状が出る状態など)になるまでの期間に見つかれば、早期発見ということに一般的になります。

ところが、この期間はがんによって異なるのです。

つまり、

  • 進行が遅いがん
  • 進行が早いがん

というものが存在します。

ちなみに、がんはがん細胞が発生して1cmの大きさになるには24-30回程度の細胞分裂を経たのち、1-10億個のがん細胞ができた頃だと言われています。

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進行が遅いがんは?

進行が遅いがんの代表が

  • 胃がん
  • 大腸がん
  • 子宮頸がん
  • 乳がん
  • 甲状腺がん
  • 前立腺がん

といったものです。特に甲状腺がんや前立腺がんは進行が非常に遅いことで有名です(がんなのにがんもどりと呼ばれることもあります)。

このようながんは仮に1年がん検診を受けていなくても、また万が一がんが見逃されるようなことがあってもがんの進行の速さが遅いので、その次に見つかれば大丈夫だということがあります。

ただし、注意点として、これはあくまで一般論です。これらのがんにも速度が速いものもあります。例えば、北斗さんが毎年乳がん検診を受けていたのに、乳がんが見つかったのは、この例外に当てはまり、乳がんの中でも速度が速いものであった可能性が高いです。

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進行が早いがんは?

一方で進行が早く症状が出始めるまでの期間が短いものの代表が

  • 白血病
  • 悪性リンパ腫
  • 一部の肺がん(肺小細胞がんなど)

が挙げられます。これらのがんは1年前や、場合によっては半年前、3ヶ月前には見つからなかったのに、急にがんができて大きくなり症状が出るということがあります。

がん検診ガイドラインでの各がん検診の推奨度は?

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各がん検診で各検査があり、それぞれに推奨度があります。推奨度B以上がオススメということなり、それ以下のものはオススメできないということになっています。

胃がん検診は?

胃がん検診では、

  • 胃X線検査(バリウム検査):推奨度B
  • 胃内視鏡検査(胃カメラ):推奨度B

とされています。

胃がんの傾向として、患者数は、30年前に比べると激減しています。ピロリ菌感染者が減ったために、男性では1/3、女性では1/6程度まで減っています。

これからは、胃がん検診は40歳代ではなく、50歳代からでいいのではないか、またその際の内視鏡検査は2−3年に1回程度でいいのではないかと言われています。

大腸がん検診は?

大腸がん検診では、

  • 便潜血検査:推奨度A
  • 大腸内視鏡検査(大腸カメラ):推奨度C

とされています。

肺がん検診は?

肺がん検診では、

  • 胸部単純X線と高危険群に対する喀痰細胞診:推奨度B
  • 胸部CT:推奨度I

乳がん検診は?

乳がん検診では、

  • マンモグラフィー単独(40-74歳):推奨度B
  • マンモグラフィーと視触診(40-64歳):推奨度B
  • マンモグラフィーと視触診(40歳未満):推奨度I
  • 視触診単独:推奨度I
  • 超音波検査:推奨度I

とされています。

乳がん検診をしてもあまり意味がない=乳がんがあっても見つけにくい乳腺背景に高濃度乳房というものがあります。背景乳腺が発達しており、乳がんがあっても紛れて見えにくいというものです。

そういった乳房の方に、超音波試験を上乗せしたら乳がんの発見率は上がったというデータがあります。

ただし、超音波検査は、

  • 施行する人により技術の差がある。
  • 時間がかかる。
  • お金がかかる。

というデメリットがあり、すべての人に行うにはハードルが高いのです。本当にこれにより乳がんの死亡率が下がるのかというデータが出るまでは、超音波検査を標準検査とはできないのが現状です。

子宮頸がん検診は?

子宮頸がん検診では

  • 細胞診:推奨度B
  • HPV検査:推奨度I

とされています。

前立腺がん検診は?

前立腺がん検診では、

  • PSA検査:推奨度I

とされています。

前立がん検診の関連記事)

最後に

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がん検診を受けていれば100%大丈夫だということはありません。かといって、病気になってから、がんになってからがんけんしを受けても遅いケースがあるということも是非覚えておきましょう。

日本では、諸外国に比べてがん検診の受診率が低い傾向にあります。ガイドラインで推奨されている検査を定期的に受けることで、リスクを減らすことが大事です。




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