Acute pyelonephritis Eye-catching image

 

尿路感染症のうち、その感染が腎実質、腎盂・腎杯に及ぶ病気を腎盂腎炎と言います。

Pyelonephritis figure1

腎盂腎炎はときに敗血症から多臓器不全となり、命に関わることがある病気であり、早期診断し、早期治療が重要となります。

腎盂腎炎の診断には、

  • 症状:発熱、悪寒、腰背部痛、嘔気・嘔吐など
  • 身体診察:肋骨脊柱角(CVA)叩打痛
  • 採血結果:CRP、WBCの上昇など
  • 尿検査:膿尿、細菌尿

などからなされますが、CT画像検査が有用なことがあります。

そこで今回は、急性腎盂腎炎のCT画像検査でどのような所見を示すことがあるのかを中心に、急性巣状細菌性腎炎(AFBN)及び腎膿瘍の画像所見についてもまとめました。

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急性腎盂腎炎のCT画像所見は?

まず注意するのは、急性腎盂腎炎はほとんどCTで異常所見を示さないことが多いということです。

つまり、CTで急性腎盂腎炎を疑う所見がない→急性腎盂腎炎は否定的!だとは全く言えないということです。

急性腎盂腎炎の診断は上に述べたように、あくまで臨床症状などから診断されます。

ですので、ここで挙げるCT画像所見はあくまで補助的に診断に用いることになります。

それを踏まえた上で、急性腎盂腎炎のCT画像所見は以下のようになります。

Pyelonephritis CT findings1

すなわち、

  • 腎臓そのものの変化
  • 腎臓周囲の変化

と分けることができます。

それぞれ見ていきましょう。

腎臓そのものの変化

感染により、腎臓そのものが腫大することがあります。

また造影剤を用いたダイナミックCTにおいて早期動脈相で楔形の造影不領域を示すことがあります。

Pyelonephritis figure3

(平衡相において楔形の造影不領域を示す場合は、厳密には、急性腎盂腎炎よりも進行した急性巣状細菌性腎炎(AFBN:acute focal bacterial nephritis)に分類されます。)

腎臓周囲の変化

Pyelonephritis figure2

腎臓や腎盂・腎杯に起こっている炎症が、周囲に波及した様子がCT画像で捉えられることがあります。

それが、腎臓の周囲の脂肪織の濃度上昇(腎臓周囲の毛羽立ち)や、腎臓の周囲の筋膜(Gerota筋膜)の肥厚という形でCTで所見として現れます。

医師
それでは実際の症例を見ていきましょう。
症例 30歳代 女性 発熱、左腰背部痛、嘔吐

CRP高値、プロカルシトニン高値。

Pyelonephritis CT findings2

左腎腫大あり。

腎周囲の脂肪織濃度上昇(毛羽立ち)及び腎周囲筋膜の肥厚を認めています。

臨床所見と合わせて、左腎盂腎炎と診断されました。

症例 30歳代女性 発熱、右下腹部痛

WBC 14900、CRP 5.84、膿尿細菌尿あり。

Pyelonephritis CT findings4

造影CTで右腎に淡い造影不良域2箇所あり。

右腎盂腎炎と診断、加療されました。
(厳密には平衡相での撮影であり、あとで解説するAFBN相当)

症例 30歳代 女性 発熱

CRP高値、膿尿あり。

Pyelonephritis renal abscess CT findings4

左腎に淡い造影不良域の内部にリング状に辺縁に造影効果を有する低吸収域を認めています。

左腎膿瘍を疑う所見です。

急性巣状細菌性腎炎(AFBN:acute focal bacterial nephritis)とは?

上に述べたように平衡相において楔形の造影不領域を示す場合は、厳密には、急性腎盂腎炎よりも進行した急性巣状細菌性腎炎(AFBN:acute focal bacterial nephritis)に分類されます。

また、急性巣状細菌性腎炎(AFBN)がさらに進行すると、膿瘍を形成して腎膿瘍(renal abscess)となります。

ですので、急性巣状細菌性腎炎(AFBN)は、急性腎盂腎炎と腎膿瘍の間の状態であり、Rosenfileldらの疾患概念によると、急性腎盂腎炎の一病型であり、

  • 膿瘍形成(液状化)を伴わない腎実質の炎症が組織学的に証明される
  • 炎症の存在を示唆する症状があり、画像診断により腎臓に明瞭な腫瘤像を認め、治療によりこれらが消失する

このいずれかを満たすものとされています(Radiology 132:553-561,1979)。

ですので、急性腎盂腎炎、AFBN、腎膿瘍のCT画像所見の違いをまとめると以下のようになります。

Pyelonephritis classification1

ただし、急性腎盂腎炎との鑑別や違いは臨床的には非常に曖昧であり、実際の臨床の現場では、急性巣状細菌性腎炎(AFBN)を含めて急性腎盂腎炎ということが多いと思われます。

関連記事)腎盂腎炎の原因は?診断は?抗生剤は何を使う?

最後に

急性腎盂腎炎に加えて、急性巣状細菌性腎炎(AFBN)及び腎膿瘍のCT画像所見についてまとめました。

急性腎盂腎炎と急性巣状細菌性腎炎(AFBN)を厳密に分類する意義はあまりないのかもしれませんね。

また、なんども申し上げるようにCTはあくまで補助的な役割を果たします。

ただし、膿瘍形成の場合は、ドレナージなど外科的治療の必要性も考慮せねばならずCT撮影の意義は高いと言えますね。

参考になれば幸いです( ^ω^ )

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