男性と異なり、女性の場合、下腹部の痛みには婦人科系の病気が関与している可能性があります。そのため、消化器内科を受診すべきなのか、産婦人科を受診すべきなのか悩ましいこともしばしばあります。

今回は女性の下腹部痛の原因と、どんなときに婦人科系の病気を疑うべきなのかについてまとめました。

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女性の下腹部痛の原因は?

婦人科の病気

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  • 子宮外妊娠
  • 卵巣嚢腫の茎捻転
  • 卵巣出血
  • 骨盤内炎症性疾患(PID:pelvic inflammatory disease)
子宮外妊娠

救急の現場では、「女性を見たら妊娠を疑え」と言われるほど、妊娠の可能性は常に考えなければなりません。妊娠している場合は、被曝をしてしまうCT検査などは避けないといけませんし、この子宮外妊娠の場合は、大出血をして命に関わることがある病気だからです。

妊娠反応の検査をして、陽性であり、なおかつ子宮の内腔に胎児である胎嚢が見当たらない場合に疑います。

卵巣嚢腫の茎捻転

卵巣嚢腫は5-6cmになると、捻れることがあります。捻れると血流が途絶えますので、激しい腹痛を引き起こします。放置すると壊死に陥り、敗血症から死に至ることもある命にかかわる病気です。

卵巣出血

黄体出血と呼ばれる出血が多く、比較的若い女性で、月経中期から後半期に起こることが多いとされます。お腹の中に、血液を含んだ液体がたまり、CTや場合によってはMRIで診断されることが多いです。

骨盤内炎症性疾患

ややこしい名前ですが、女性の子宮や卵巣・卵管の感染症です。炎症が広がれば腹膜炎を起こすことがあります。膣から逆行性に卵巣・卵管へと感染を起こします。CTやMRIでは分かりにくいことが多く、診断は難しいこともしばしばあります。

消化器・血管の病気

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  • 腸炎
  • 憩室炎
  • 虫垂炎
  • 消化管穿孔
  • 腸管血流障害などの血管病変
腸炎

腸炎には小腸炎と結腸炎(大腸炎)に大きく分かれます。それぞれに複数の原因があります。腹痛に加えて、下痢や下血を伴う場合は、腸炎を疑います。

憩室炎・虫垂炎

憩室炎は大腸の憩室に感染を起こし、虫垂炎は、盲腸から出ている虫垂と呼ばれる管状の構造に感染を起こす病気です。ともにCTで診断されることが多いです。虫垂は右下腹部にありますので、虫垂炎は右下腹部痛として発症することが多いです。

消化管穿孔

腸炎や憩室炎・虫垂炎などが原因で、消化管に穴が空いてしまう病気です。消化管に穴が開くと、消化管の糞便などがお腹の中に出てしまい、腹膜炎を起こし、命に関わります。緊急手術が必要な病気です。これもレントゲンやCTで診断されます。

腸管血流障害などの血管病変

血管が血栓などで詰まると、その先の血流が少なくなったり、場合によっては途絶えてしまいます。するとその血管が栄養している腸管が虚血に陥ったり、場合によっては壊死してしまいます。こうなると緊急手術をして壊死に陥った腸管を切除しなくてはなりません。血管病変は診断が難しいことが多いですが、造影剤を使ったCTで診断されます。

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どんな症状のときに、どの病気を考えるの?

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持続的腹痛

腹痛が持続的に起こる場合は、骨盤内炎症性疾患、憩室炎、虫垂炎などの感染症を考えます。

急性発症の激痛

急に激痛が生じる病気としては、卵巣嚢腫茎捻転、子宮外妊娠、卵巣出血、消化管穿孔、イレウス、虚血性腸炎などを疑います。緊急度が高い病気が多いです。

下痢・下血

下痢や下血は、肛門から出てきますので、消化器疾患を強く疑います。

月経との関連

排卵期であれば、卵巣出血を考え、生理が来ていないのであれば、子宮外妊娠の可能性を考えます。

腹痛のとき、どんな検査をするの?

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血液検査

炎症反応をチェックして、上がっているようだと炎症性の病気を考えます。

尿検査

尿からは、妊娠反応を見ることができ、女性の場合は特に重要です。

画像検査:エコー、CT、MRI

・腹水の有無、血性か否か。
・卵巣嚢腫などの腫瘤の有無。
・卵管拡張の有無。
・膿瘍形成の有無。
・骨盤内の脂肪織濃度上昇の有無。
・free airの有無。
・腸管のむくみの有無。
・虫垂のむくみの有無。
・腸管の拡張の有無。

などをチェックしてします。該当するものがあれば、それを起こす病気を考えていきます。

最後に

0-44一般に消化器系の病気は、CTが強く、婦人科系の病気はMRIが強いと言われます。
言い換えれば、婦人科系の病気はCTではわからないこともしばしばあります。

腹痛があり、消化器内科を受診してCTを撮ってもらったけども、異常はないと言われた。

しかし、婦人科系の病気が隠れている可能性があるということです。

特に骨盤内炎症性疾患は、しばしば画像での診断が困難で、他の疾患を除外した上で診断することもありますので、一つの科を受診して、何もないといわれたが、痛みが続くという場合は、再度病院を受診するようにしましょう。

 

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