Function of liver Eye-catching image

 

人間の臓器で最大なものといえば、肝臓!

肝臓というと、お酒を飲みすぎると悪くなる場所というイメージがあります。

しかしそれだけではなく、肝臓には人体にとって必要不可欠な働きがあり、肝臓の機能に障害が起こると様々な症状が出現します。

そこで今回は肝臓の働きについて、イラストを用いて詳しくご説明していきます。


 肝臓の主な働きについて

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肝臓には様々な働きがありますが、主なものとして

  • 代謝
  • 解毒
  • 免疫
  • 胆汁生成

に大きく関わってきます。

これ以外にも、母親のお腹に宿った胎生期から誕生までの胎内において、骨髄へ移行する前の造血としての役割を果たしています。

liver

また、肝臓には肝動脈と門脈が流入しています。

では、それぞれの働きについて、詳しく説明していきます。

肝臓の代謝機能とは?

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肝臓は、様々な物質の貯蔵・合成・分解をおこなうというのが主要機能となります。

その中でも栄養素である

  • 糖代謝
  • 蛋白質代謝
  • 脂質代謝
  • ビタミン代謝
  • ビリルビン代謝
  • ホルモン代謝

などの働きを担っています。

糖代謝

正常な血糖値維持のために、口から入った食べ物は小腸で吸収され、門脈を介し、グルコースを合成し、肝臓でグリコーゲンとなり貯蔵・分解され、グルコースを静脈へ戻すという働きをします。

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血糖値とは血液中のグルコースの量で、この血中糖濃度は、低すぎても低血糖となり様々な症状が現れますが、高すぎても高血糖となり糖尿病などを引き起こします。

つまり・・・

  • 小腸から吸収したグルコースをグリコーゲンとして蓄え→蓄えたものを再びグルコースに分解して放出

という働きをし、蓄えると血糖値低下、放出すると血糖値上昇となります。

蛋白質代謝

門脈を介し、アミノ酸を取り込み、血液凝固に関する蛋白質を合成する働きがあります。

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またそれだけではなく、アミノ酸からアンモニアなど有害な毒素となったものを無毒な尿素に作り変え、尿として排出させる働き(解毒)もあります。

つまり・・・

  • 蛋白の合成・分解をおこない、有害物質を解毒し尿素として合成する

という働きをします。

脂質代謝

血液の中から脂肪酸を合成し、トリグリセリド(中性脂肪酸)・コレステロール・胆汁酸・リン脂質・リポ蛋白を合成します。

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つまり、この機能が障害されると中性脂肪が合成されなくなり、脂肪肝となるだけではなく、エネルギーとして生産されなくなるのです。

ビタミン代謝

摂取したビタミンは、腸管を介して吸収され、ビタミンA・D・B12などは肝臓に貯蔵されます。

またビタミンDは、肝臓と腎臓にて水酸化され、活性化ビタミンDとして血中のカルシウムリンの調節に関係します。

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このビタミン代謝が障害されると、栄養問題にも関わり、骨の成長などにも影響を及ぼします。

ビリルビン代謝

体内から肝臓に運ばれたビリルビンは、直接ビリルビンとなり、グルクロン酸と抱合されることによって直接ビリルビンとなり、胆汁へ排泄されます。

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しかし、このビリルビンの働きが障害されると、胆汁への排泄がうまくいかなくなり、体が黄色くなる(特に白目)黄疸症状が出現します。

ホルモン代謝

ステロイドホルモンという物質が肝臓で不活化され、胆汁へと排出されます。

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しかし、このホルモン代謝が障害されると、様々な症状が出現しますが、よく耳にする女性ホルモンであるエストロゲンの働きにも関与し、男性の胸が女性化(これを女性化乳房といいます)したりといった変化が現れます。

解毒の働きとは?

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先ほど蛋白質代謝の部分で、解毒についても少し触れましたが、この肝臓の解毒機能にはアミノ酸利用時に発生するアンモニアだけでなく、よく耳にする

「飲み過ぎは肝臓を悪くする」

というように、アルコールの解毒作用にも関わっています。

つまりこうしたアンモニア・薬物・毒物といった体にとって有害な物質を、肝臓で無毒の物質へと解毒し、胆汁中や尿中へと排泄する働きもあります。

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ここが障害されると、有害な物質が体内に解毒されずに蓄積してしまい、脳など様々な部位にまで影響をおよぼし、重篤な症状をも引き起こしてしまうためです。

まだまだ肝臓の働きはあり、上記でご説明したもの以外にも、以下のような人体を正常に保つための重要な部分を担っています。

その他の働き

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免疫

肝臓には、病原体やウイルスなどを排除する働きがあります。

それは、門脈血中にある腸管からの有害な物質を、肝臓にある細胞が消化して除去する生体防御機能があるためです。

そのため、肝臓の機能が衰えると免疫機能も低下し、防御反応が障害され病気になりやすくなってしまうのです。

胆汁生成

胆嚢では作られた胆汁を貯留しますが、そもそも胆汁を作るのは肝臓の働きなのです。

胆汁は、消化酵素(脂肪を分解)とヘモグロビンの分解産物である胆汁色素として不要物排出するというわけです。

つまりこの肝臓で胆汁が生成されなくなると、脂質の吸収や不要物の排泄に関わり、解毒ができないといった症状が出現します。

体温調節

先程ご説明した蛋白質の代謝に関与します。

蛋白質などの分解で熱が発生し、それによって体温が上昇し、発熱となります。

そもそも肝臓とは?

最初に述べましたように、人間の人体において最大の臓器で、右上腹部(横隔膜に接し、助骨弓に隠れる位置)に存在します。

このイラストを見ると、胸の肋骨部分に隠れるようにあるのが分かります。

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また、横隔膜は、肝臓の上・肺の下にあります。

大きさとしては、成人で1000〜1500g程あり、体重の約2%にあたります。

肝臓に流入する血管は、肝動脈・門脈で、胆管とも並走しています。

参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P234〜248
参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P162〜167
参考文献:パッと引けてしっかり使える 消化器看護ポケット事典[第2版]  P22・23

最後に

  • 肝臓は人体の臓器で最大
  • 代謝・解毒・免疫・胆汁生成などの働きをする
  • 肝臓は、様々な物質の貯蔵・合成・分解をおこなっている

 

肝機能障害という言葉を耳にすることもよくありますが、それだけ肝臓には様々な働きがあり、この肝臓が障害されて起こる症状も様々です。

肝臓は沈黙の臓器ともいわれますが、症状が出現するまで徐々に見えないところで悪化し、症状に気付いた時には重篤なことになっていることもあるためです。

肝臓を正常に保ち、健康に過ごすためには、日常生活において

  • 食生活
  • 便通コントロール
  • 過度なアルコール摂取
  • 適度な運動

にも気をつけたいですね。




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